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追い詰められる習近平

■欧米が警戒

 中国は20世紀末のインターネット普及と、アメリカが推し進めたグローバル・スタンダードの波に乗り急成長。これで中国は世界の工場と呼ばれた。軍事的に相手にされなかった中国だが、経済的に急成長。同時に人民解放軍の近代化に邁進し、欧米から警戒されるまでに成長した。

 中国の習近平は2013年に一帯一路構想を公表。グローバル・スタンダードを利用して、中国の経済圏と覇権は急拡大。この時の習近平は勢いが有り、破竹の快進撃だった。だが2019年辺りから一帯一路構想は減速傾向。

 一帯一路構想に組み込まれた国の実状が明らかになると、富を吸い上げ中国の覇権に組み込むことが知られるようになる。これでは実質的に国家の乗っ取りだから、欧米が中国を警戒する。

 トランプ前大統領が習近平と対立すると、世界は反中国に流れを変えた。トランプ前大統領はアメリカ大統領選挙で敗北したが、欧米軍を中心とした反中国連合軍は形になった。2021年5月になると、イギリス海軍はイギリス空母打撃群を日本に向けて派遣。

 軍事的に反中国が明らかになると、習近平の勢いは減少。2013年辺りの独裁者の様な勢いは無く、今では報道官が代弁者になっている。習近平自ら発言して圧倒するのではなく、安全な場所から見ている立場に変えた。

■存在感が減少

 基本的に軍事を背景にした外交だから、軍事演習を用いて仮想敵国を脅すのが外交。実際に中国は、軍事演習を世界に見せ付けて脅していた。弾道ミサイルは対地攻撃に使うのが基本。だが中国は対艦ミサイルを弾道ミサイルに搭載。2019年までに、中国本土からグアムまで届くと称する対艦弾道ミサイルを保有したと公言。しかも軍事演習で弾道ミサイルの成果を強調した。

 中国は軍事として接近阻止戦略を持ち、中国本土に来航するアメリカ海軍へ損害を段階的に与え、海岸部でアメリカ海軍を撃破する構想を持っている。対艦弾道ミサイルは、その接近阻止戦略の要。

 だが中国が熱心だった対艦弾道ミサイルは、最近では影が薄くなった。中国は軍事演習で対艦弾道ミサイルの存在感を見せ付けたはずが、逆に実際の性能を欧米軍に教えてしまった。これで習近平だけではなく、戦略の要である対艦弾道ミサイルまで存在感が低下した。

 対艦弾道ミサイルは中国本土に来航するアメリカ海軍が攻撃目標であり、空母を攻撃できる命中精度が有るはずだった。実際には無いのであれば、欧米の海軍は強気になれる。実際にイギリス空母打撃群は、出港を公言し日本に寄港することまで明らかにした。さらに、イギリス空母打撃群は南シナ海を航行して日本に向かうことまで公言。

 イギリス空母打撃群は、中国の対艦弾道ミサイルの射程圏内を堂々と航行する。これは対艦弾道ミサイルの性能を知っているから、南シナ海は安全だと判断したからだろう。そうでなければ、イギリス空母打撃群は南シナ海を航行しない。

■人民解放軍の対抗策

 欧米が人民解放軍の戦力を警戒したのは事実。だが軍事演習を何度も見て、本当の能力を見抜いたと思われる。中国が戦略の要にした対艦弾道ミサイルは使えない。本当に使えるならば、定期的な軍事演習で標的に命中させるはずだ。

 だが中国が公表する軍事演習では、予告された標的に、対艦弾道ミサイルが命中した映像など見たことが無い。実際に行えば、欧米軍は人民解放軍との戦闘を回避する。さらに、イギリス空母打撃群を無防備のまま日本に向かわせない。今のイギリス空母打撃群には、弾道ミサイルを迎撃する能力は無いに等しい。だが対抗策が無いのに日本に向かう。つまり、対抗策が無くても南シナ海は安全だと判っているのだ。

 それに長射程の対艦弾道ミサイルには欠点も有る。長射程だから、目の前の敵を攻撃できない。ならば、平時から空母打撃群が中国の近くで活動すれば、戦略の要である対艦弾道ミサイルは使えない。しかも人民解放軍海軍は、弱体化した敵艦隊との交戦を前提としている。

 これでは人民解放軍海軍単独での戦闘は自殺行為で、人民解放軍には対抗策が無いに等しい。海岸部からの既存の地対艦ミサイルを用いるとしても、既存の兵器だから、英米の防空システムで迎撃されてしまう。

 人民解放軍が行える対抗策は、地対艦ミサイルによる飽和攻撃。同時に大量の地対艦ミサイルを英米の艦隊に向けて発射。英米の艦隊の防空システムの限界を超えた数ならば、人民解放軍の地対艦ミサイルで損害を与えることは可能。

 だが既存の地対艦ミサイルの性能も怪しくなった。何故なら軍事演習でも、地対艦ミサイルの性能は未知数。実際に命中するのか怪しいので、飽和攻撃すら行えない可能性も有る。ではイギリス空母打撃群が南シナ海を航行する理由は、中国本土と南シナ海の基地群からの攻撃を警戒していない証。

 南シナ海を航行することは、中国本土と南シナ海の基地群からの地対艦ミサイル攻撃は当たり前。それでも航行するのだから、英米は地対艦ミサイルの性能を知っているのだ。だから危険なはずの南シナ海を選んでいる。

■弱気な習近平

 習近平の威光は既に消えた。欧米は人民解放軍の能力を把握し、何をすれば良いのか判っている。危険視した弾道ミサイルが飾りなら、大陸の海岸に接近しても怖くない。そうなると習近平の言葉など怖くないから、一帯一路構想を否定する動きに出ている。

 習近平が直接発言する機会が減ったことは、習近平が弱気になった証。他の者に外交発言をさせ、責任を取らせることにしている。こうなれば習近平は権力維持に腐心できる。外交で打開することなど考えていない。

 こうなれば、安全第一で勝てる隣国インドに侵攻する可能性も有る。だが人民解放軍は後方支援が不足しているから、インドに侵攻すれば人民解放軍が敗北する。良くても勝利者無き戦争。

 博打を行うなら、沖縄・佐世保への開戦奇襲。仮に成功しても、怒ったアメリカ軍の反撃で中国共産党は消滅。台湾に侵攻すれば、日米が台湾を支援するから、人民解放軍では勝てない。

 中国が大人しくすれば、これまで築いた覇権は失われる。インド洋・南シナ海の覇権は消え、中国は30年前の立場に逆戻り。そうなれば、国民が怒って中国共産党を打倒するかもしれない。

 習近平と中国共産党は追い詰められているから、何をするか判らない。むしろ、弱気になった習近平は危険。イギリス空母打撃群が南シナ海に到達したら、博打の戦争を始めるかもしれない。仮に始めたとしても、行き着く先は習近平の終わり。

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