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予測されるアヘン戦争の再現

■香港を巡る過去から現在

 1840年から2年間、当時の清とイギリスは戦争を行った。アヘンを巡る対立から戦争になったが、海軍力に勝るイギリスが勝利する。イギリスは勝利により香港を獲得。ここから香港はイギリスの一部として歴史を歩むが、1997年に中国に渡された。

 イギリスと中国は一国二制度を約束し、50年間は香港で民主主義が維持されるはずだった。だが中国は約束を破棄。香港の民主主義を否定し、民主派を弾圧。香港は中国に戻ったとされるが、香港人の考えは中国共産党を拒絶している。

 その後の中国は、グローバル・スタンダードの波に乗り急激に成長。中国は世界の工場と呼ばれ、富を世界から集めるようになる。中国は2013年には一帯一路構想を公言し、ヨーロッパまで経済圏を拡大する勢いを見せた。

 だが中国の覇権拡大が欧米に危機感を与え、中国との対立が始まる。そんな時に中国は香港の人権弾圧を強化。イギリスとの約束である一国二制度を破棄し、香港人を露骨に弾圧。イギリスは中国との対立を覚悟したのか、空母打撃群を日本に向けて派遣。表向きはイギリス空母打撃群だが、中身はイギリス・オランダ・アメリカの連合軍。イギリスと中国の対立は静かに進行し、イギリス空母打撃群を日本に派遣するだけでは終わらない様に見える。

■強気に出るが

 中国はグローバル・スタンダードで獲得した資金を元に、人民解放軍の近代化に邁進する。原子力潜水艦・空母・駆逐艦・揚陸艦など海洋進出を強化。人民解放軍海軍は、空母の遼寧・山東の2隻を就役させた。今後も空母建造を計画しているが、就役した空母2隻すら満足な訓練が行われていない。

机上の空論:「戦闘における個艦の戦闘能力が不可欠の要素と見なす」
現実   :「現実の戦闘では艦艇運動の良否が不可欠の要素となる」

 最新兵器を保有すれば戦闘力が向上するのではなく、最新兵器を人間が扱い、他の部隊との連携が行われてから真価を発揮する。海軍の場合は、複数の艦艇が陣形を組み、指揮官の命令で陣形を維持したまま活動できることが勝利の要。

 人民解放軍海軍は空母を保有したが、その後の訓練が少ない。しかも空母を中心とした空母打撃群としての艦隊運用に関しては確認が難しい。艦隊運用は短期間では獲得できないので、長期間の訓練を何度も繰り返すことでノウハウが得られる世界。

 中国は人民解放軍の戦力強化を誇示したが、最新兵器を保有しただけで、その後の運用に関しては後回し。中国が対地・対艦攻撃用の弾道ミサイルの保有に熱心なのは、ミサイルは使い捨て。人間による運用では練度育成に何年も必要。だが弾道ミサイルならば、保有すれば即戦力。しかも生産する限り人海戦術の代用になる。だから中国は弾道ミサイルに熱心なのだ。

■上海付近の空白

 人民解放軍は国家の軍隊ではなく共産党の私兵。だから地方の省は反乱予備軍なので、中央の北京から人民解放軍を地方に直接配置する方式を採用している。これは人民解放軍の致命的な弱点で、人民解放軍の生産基地は北京周辺に限定されている。

 地方の省に生産基地を置けば、反乱軍の拠点になる。だから中国共産党は地方に有力な基地を置かない。そうなれば人民解放軍海軍は、必ず黄海・東シナ海を中継して出撃と帰還をする。

 つまり日米が東シナ海の制海権を握れば、人民解放軍海軍は黄海から出撃・帰還ができない。仮に太平洋・南シナ海に出ていた艦艇は、整備のために渤海に戻ることができない。何故なら南シナ海海岸部には、艦艇・原子力潜水艦を大規模整備できる基地が無い。

 それだけ東シナ海の制海権は重要なのだが、上海付近に人民解放軍の有力な空軍基地・海軍基地が配置されていない。本来であれば、上海付近に有力な空軍基地を配置し、複数の方向から東シナ海で作戦する人民解放軍海軍を支援する。

 さらに上海付近の海岸部には、短距離・中距離・長距離の地対艦ミサイルを配置する。これも東シナ海で作戦する人民解放軍海軍の支援に使うはずだが、これらは配置されていない。仮に見えないようにしているとしても、空軍基地を隠すことはできない。

 さらに台湾侵攻を想定するなら、東シナ海の制海権獲得は必須。仮に日米に東シナ海の制海権を奪われたら、台湾侵攻部隊は敗北する運命。それだけ東シナ海の重要性は高い。だが人民解放軍は、緊要地形の重要性を認識していない。

■孤立する南シナ海

 中国は南シナ海に進出し、強引に人工島を建設。さらに基地化して欧米に危機感を与える原因になった。中国は南シナ海の基地化に成功したが、大陸との連携が不足している。本来であれば大陸海岸部に有力な基地を置き、南シナ海の基地との相互支援を行う。だが人民解放軍の場合は、相互支援ができない状態にしている。

 これでは欧米軍との戦闘で、南シナ海の基地が容易に孤立するのは明白。実際に第二次世界大戦中のアメリカ軍は、日本軍が籠もる島を孤立させて戦っている。ヨーロッパの軍隊は、帆船時代から敵軍が籠もる島を孤立させて戦うことに慣れている。しかもアメリカ軍は、第二次世界大戦でノウハウを持っている。

 中国は勢いで南シナ海の覇権拡大を行ったが、その後の維持で失速。欧米軍が南シナ海の孤立化を行うのは明白で、南シナ海に配置された人民解放軍は、時間稼ぎの生贄にしかできない。

■接近するイギリス空母打撃群

 イギリス空母打撃群は連合軍だから、仮に中国との戦争になればアメリカ軍も参加する。イギリス空母打撃群の編成から見れば、対地・対艦攻撃の任務に見える。そうなれば、南シナ海か香港が想定される戦場と言える。アメリカ軍は、東シナ海を戦場に想定していると思われる。

 イギリスは香港人を保護する大義名分が有るから、中国との戦争で正当性を持つ。しかも中国が一国二制度を破棄し、香港人を弾圧。これらをネタに、アヘン戦争の再現を行うことが予測できる。アヘン戦争では香港を得たが、今度は香港を取り戻すことになるだろう。

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