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覇気が無い習近平

■存在感が低下する習近平

 中国は建国以来、欧米に追いつくことに邁進していた。国民が苦しんでも原子力潜水艦と弾道ミサイルの開発を継続。だが技術が劣り、欧米軍には対抗できない。だがアメリカがインターネットとグローバル・スタンダードを世界に押し付けると、1990年以後から急速に成長を始める。

 2000年辺りになると、中国は“世界の工場”と呼ばれるようになる。中国は国民の安い人件費を武器に生産を請け負った。外国企業は、コスト重視だから中国で生産する。同時に、技術を中国に持ち込んだ。

 外国企業が目先の欲に囚われ、中国に技術を与えたら、今度は中国企業が急成長。中国企業のコピー製品が世界に出回り、各国のオリジナルを駆逐していく。同時に、人民解放軍の兵器開発まで向上させていた。

 技術は容易に向上しないが、中国で生産することで技術が与えられる。これで中国の技術の土台が向上。結果的に人民解放軍の兵器は欧米軍を脅かすまでに成長。そんな時流に乗ったのが習近平。

 習近平は2013年に一帯一路構想を公表し、勢いに乗った中国経済を、さらに加速させる道を選ぶ。この時から中国と習近平の快進撃が始まった。だが各国で強引な手法を行ったので、今度は嫌中論が増加。

 それでも習近平の存在感は拡大するが、アメリカでトランプ氏が大統領になると勢いが妨害される。2019年末から武漢ウイルス(COVID-19)・パンデミックが始まると、習近平の存在感が次第に低下していく。対応は部下任せであり、自らは事後処理で対応。武漢ウイルス(COVID-19)で指導力を発揮すること無く、今も存在感を低下させている。

■中国の舵取り

 習近平が進めた一帯一路構想は、表向きは経済圏だが本音は軍事力の展開。中国の覇権拡大が目的だから、露骨な資金援助の裏に土地を奪い取る事が判明する。これを長期間で行うなら誤魔化せたが、短期間で行うから拒絶反応が出るのは当然。これで中国の支援を受けた国から嫌中論が増加。

国家の戦略論
1:現状拡大派・征服者の戦略
2:現状維持派・強者の戦略(弱者同士を戦争させる紛争作為戦略)
3:現状打破派・弱者の戦略(瀬戸際政策)

 国家戦略は大きく3区分できる。だが基本的には、アメリカが使う現状維持派か、北朝鮮のような現状打破派の戦略に落ち着く。現状拡大派の国家戦略は、歴史上はローマ帝国・モンゴル帝国・歴代中国王朝などが該当する。

 現状打破派は領土拡大を目的とした国で採用されるから、外国を征服することが前提。実際に中国は、チベット・東トルキスタン・内モンゴルなどを征服して領土を拡大した。見た目の中国は現状打破派に見えても、実際の国家戦略は現状拡大派なのだ。

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https://www.epochtimes.jp/p/2021/05/73368.html

 習近平も現状拡大派の国家戦略を採用。それが一帯一路構想として選ばれた。だが2019年から習近平の存在感が変化する。武漢ウイルス(COVID-19)が発生すると、対応を部下に任せ、自らは率先して陣頭指揮を行わない。本来ならば、巨大な混乱に対応するには、習近平の陣頭指揮が必要だった。

 この時から、習近平のメディアへの露出が低下。仮に習近平の動向がメディアで流れても、外国人の自分から見ても、習近平からは覇気が感じられない。以前の習近平からは覇気が感じられ、見るだけで危険性を感じた。だが最近の習近平の姿は、中国の権力者には見えない。外国人から見ても存在感低下なら、権力闘争で敗北するのでは?

■欧米軍が日本に派遣される理由

 習近平が2013年から一帯一路構想を開始すると、欧米は嫌中論に傾く。これに合わせて各国の軍隊は、静かに将来の戦争に向けた準備を進めていた。何故なら人民解放軍は、太平洋・南シナ海・インド洋で存在感を拡大。これが各国の国益を奪うと認識させた。

 14世紀までの戦争は、当事国と隣接する国の問題だった。だが15世紀から帆船技術が向上すると、海を隔てた巨大な経済圏に拡大。これに合わせて、戦争は遠方の国にも影響することになった。何故なら、帆船貿易が遠方の戦争でも、自国の国益に直結する。貿易相手が戦争すると、自国の貿易が妨害される。仮に同盟国でなかったとしても、自国の貿易相手が戦争に巻き込まれたら、結果的に自国が巻き込まれる。

 これで遠方の戦争でも、干渉・関与するのが欧米の基本になった。だから中国が南シナ海で隣国と対立すると、遠く離れたヨーロッパの国益を左右する。これでは困るので、欧米は次第に反中国になった。その行き着いた先が、イギリス空母打撃群の日本への派遣。さらにフランス軍の定期的な日本への派遣。

■欧米軍に対抗できるのか?

人民解放軍の質と量が向上したのは事実。だが想定する戦場が変わったことで、人民解放軍の訓練・運用・兵器開発などが大きく変化した。これは見た目以上に深刻で、想定する戦場の変化は、兵器開発と運用に混乱を生むことも有る。

 中国は建国以来アメリカを主敵としていた。だから主戦場は太平洋で、来航するアメリカ空母艦隊を対艦弾道ミサイルで攻撃、大陸の海岸に接近したアメリカ空母艦隊を、対艦ミサイルで攻撃。損害を受けて減少したら人民解放軍海軍が打撃を与える構想を持っていた。これが接近阻止戦略。

 人民解放軍の兵器開発も太平洋を主戦場としていた。だから兵器開発と運用は太平洋が前提。だが習近平の一帯一路構想は、人民解放軍の主戦場を太平洋から世界に変えた。これは狭く浅い南シナ海と、遠方のインド洋まで作戦する。こうなると兵器開発は、太平洋限定から世界各地で活動できる兵器開発と運用に変わる。

 これは運用する人民解放軍には打撃で、訓練そのものは10年の歳月を必要とする。さらにこれまで蓄積した兵器の多くが、一帯一路構想に対応できるものは少ない。しかも南シナ海・インド洋で作戦する基地が無い。だから人民解放軍は、短期間で南シナ海に人工島を基地化した。

 問題なのはインド洋で活動する基地。人民解放軍はインド洋で活動する基地を建設しているが、実際には一帯一路構想で使える規模ではない。同時に、欧米軍との戦争に使えないことを意味している。

 人民解放軍は対艦弾道ミサイルを持っており、太平洋上のアメリカ空母を攻撃できるとしている。命中精度は不明だが、仮に核弾頭になっても、アメリカ海軍は困らない。何故なら、アメリカ海軍は既に核弾頭対策の運用にしているからだ。

 第二次世界大戦後に冷戦が始まると、仮想敵国のソ連も核弾頭を保有。これでアメリカ海軍は、ソ連軍がアメリカ空母艦隊に核攻撃を行うと想定した。既存の空母運用は、複数の空母を一つで運用する集中運用。集中運用ならば、核攻撃を受けると同時に損害を受ける。この回避策として、空母を一隻単位で運用する、現在の空母打撃群に変化した。

 一隻の空母を中心に複数の艦艇で構成される空母打撃群は、空母の分散運用になる。現在の空母打撃群の運用は、核攻撃を想定したものだが、戦後の地域紛争にも対応できる長所を持っていた。さらに、必要な時に必要な空母を戦場に投入できるので、各国の空母運用国も採用している。

■決め手にかける中国

 中国は習近平になってから大きく変化した。特に人民解放軍への影響は大きく、主戦場を太平洋から世界規模にしたことで、兵器開発・運用・訓練を変化させた。これでは既存の兵器運用と訓練が活かすことは困難で、しかも南シナ海・インド洋での作戦もしなければならない。

 これは二正面作戦だから、人民解放軍から見れば習近平の一帯一路構想は大迷惑。人民解放軍が変化に対応している時に、習近平は欧米を怒らせた。人民解放軍が未対応なのに、欧米軍は日本に集まり始めている。

 イギリス空母打撃群が日本に来れば、対艦弾道ミサイルを用いた接近阻止戦略は霧散。さらにアメリカ空母打撃群と合流すると、人民解放軍海軍では対応できない。そんな状態なのに、フランス軍は日本に定期的に軍隊を派遣する。こうなれば、インド洋・南シナ海・太平洋で同時作戦など自殺行為。

 人民解放軍は習近平で混乱し、混乱から抜け出す前に、欧米軍と戦争を覚悟しなければならない。仮に開戦が遅れたとしても、日本に欧米軍の軍隊が集まるだけ。どちらに転んでも、人民解放軍には勝ち目が無い。これを習近平が察知したら?
習近平の覇気が無い原因の一つと言える。

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