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中国とABD包囲網

■中国共産党へのメッセージ

 イギリス国防省は4月になると、空母クイーン・エリザベスを中心とした空母打撃群の編成を明らかにした。イギリス空母打撃群が2019年からアジアで活動することは公表されていた。だが編成に関しては、状況の変化に対応したものになっている。

 建前はイギリス空母打撃群だが、アメリカ・イギリス・オランダの艦船で編成されている。イギリス空母打撃群の中身は連合軍であり、集団的自衛権を形にしたものになっている。これはABD包囲網を世界に示すと同時に、中国共産党にメッセージを送ったものと思われる。

■集団的自衛権

 集団的自衛権は白人世界の概念だが、外国の戦争を悪用して火事場泥棒をする国が出た。例えばA国とB国が戦争している時に、C国が火事場泥棒をした。戦後になってA国とB国はC国に報復、するとC国も報復。この報復合戦で白人世界は疲弊。

 ここで白人世界は暗黙の了解に到達し、理想よりも現実寄りのルールを作った。現実世界には強国が存在するから、強国を中心に今の平和を維持する活動をすることに至った。これは現状維持派だから、強国が派兵を求めたら軍隊を派遣して今の平和を維持する事になった。

 これに対して、今の平和は都合が悪いのは現状打破派。自国が強国になり、都合の良いルールに書き換えたい。だから今の強国に挑戦する。戦争が発生するのは、現状打破派が現状維持派に挑戦する時に発生する。

現状維持派:今の平和は都合が良い
現状打破派:今の平和は都合が悪い

 現代ではアメリカは現状維持派の強国で、中国は現状打破派。中国がアメリカに挑戦したから平和が乱れた。中国は今の平和を否定する国だから、白人世界は中国を敵視する理由になる。これが形になったのが、イギリス空母打撃群であり、連合軍としてのABD包囲網なのだ。

■戦前のABCD包囲網の再現

 戦前の日本は白人世界から敵視され、ABCD包囲網で苦しんだ。その後、ハル・ノートを突き付けられ怒り、日本から開戦している。昔は日本だったが、今は中国に対してABD包囲網が形成されている。中国企業に対して経済制裁が開始されており、イギリス空母打撃群の編成でABD包囲網を明らかにした。そうなれば、次はハル・ノートの再現になる。

妥協案 :相手国に餌を与えて自国が譲歩する(受動的・等価交換)
最後通牒:相手国が譲歩するならば自国が餌を与える(能動的・押し売り)

典型例:ハル・ノート
「餌を与えての譲歩の要求は妥協案であるが、譲歩すれば餌を与えるという条件は最後通牒である」

 国際社会で使われる妥協案と最後通牒は区別されており、相手国が譲歩すれば餌を与えるのが最後通牒。既に中国への経済制裁は開始されており、イギリス空母打撃群でABD包囲網が明らかになった。残されたのは最後通牒だけになった。

■戦争は回避不可能

 アメリカ軍は既にインド・太平洋で戦力を展開。アメリカ空母打撃群も既に動いている。中国が使う接近阻止戦略は、来航するアメリカ空母打撃群を長距離弾道ミサイルで攻撃。これを中距離・近距離で攻撃し、段階的にアメリカ空母打撃群に損害を与える。この後で、海岸部でアメリカ空母打撃群を撃破する構想を持っている。

 だがアメリカ空母打撃群が、初期段階で大陸の海岸にいたら、中国が構想する接近阻止戦略は霧散。段階的に損害を与えることは出来ず、無傷のアメリカ空母打撃群が展開する。これでは接近阻止戦略の意味が無い。そんな時に、イギリス空母打撃群がアジアに派遣される。

 イギリス空母打撃群の編成を見ると、明らかに対地・対艦攻撃を意識している。おそらくアメリカ空母打撃群が制空権・制海権を獲得し、イギリス空母打撃群が対地・対艦攻撃を担当するものと思われる。

 公開された編成から意図的に判るようにしているのは、既にABD連合軍が情報戦を仕掛けているからだ。中国共産党が意図的なメッセージを受け取り、戦争を開始する様に仕向けているのは明らか。

 アメリカ空母打撃群は既に大陸付近で活動しており、アメリカ駆逐艦は大陸の海岸部で平然と航行する。これは、「アメリカ海軍は対艦ミサイルを迎撃できる、撃てるものなら撃ってみろ」とメッセージを送っている。対艦ミサイル迎撃能力に自信が無ければ、アメリカ駆逐艦は海岸に接近しない。

 こんな時にイギリス空母打撃群が年内には日本に寄港する。アメリカ空母打撃群だけではなく、イギリス空母打撃群まで戦力に加わる。これでは人民解放軍海軍との戦力格差は広がるばかり。

 イギリス空母打撃群はアメリカ・イギリス・オランダの3カ国で編成されているが、仮に中国が攻撃すれば、中国は同時に3カ国と戦争することになる。集団的自衛権の長所は、容易に攻撃できないようにすること。敵国が一国なら戦争は簡単。だが複数の国と戦争するのは容易ではない。集団的自衛権は戦争の敷居を高くすることが目的で、相手国を譲歩させる時に使える。

 これを露骨に使うのだから、中国から人民解放軍を使い戦争を開始させることが目的だろう。何故ならABD連合軍に加え日本も参加すれば、他の国も参加すれば、連合軍の戦力が増加する前に、人民解放軍を使い開戦するしか勝機は無い。

■予想される湾岸戦争の再現

 中国がイギリス空母打撃群を南シナ海で迎撃すれば、敵軍の各個撃破になる。だが攻撃すれば連合軍を敵に回す。連合軍は今の平和を否定する中国を、正義を大義名分に攻撃できる。南シナ海で攻撃しなければ、イギリス空母打撃群は日本付近でアメリカ空母打撃群と合流する。

 戦力が集まったら湾岸戦争の再現。今の平和を否定する中国を、強国アメリカが懲罰する。どちらに転んでも、中国は今の平和を否定する悪の国として裁かれる。中国共産党は決断を迫られている。各個撃破で儚い勝利を求めるか、それとも湾岸戦争の様に攻撃される道。どちらに転んでも、中国共産党は勝利を得られない。

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