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中国共産党の戦略無き脅し

■遼寧の南下

 防衛省は4月4日、人民解放軍海軍の遼寧を含む6隻が、沖縄本島と宮古島の間の海域を抜け、太平洋に向けて航行したことを発表した。6隻の中には、先月の18日に日本付近で初めて活動が確認されたレンハイ級駆逐艦も含まれている。

 この様な航行は昨年の4月以来だから、中国共産党が日本を脅していることは明らか。レンハイ級駆逐艦は先月に日本海で活動させ、今度は太平洋に向けて航行させた。これは明らかにレンハイ級駆逐艦の存在を見せ付ける行動をしている。

■中国共産党の脅し

 中国共産党は空母遼寧だけではなく、人民解放軍海軍が保有する大型艦レンハイ級駆逐艦を強力だと思い込んでいるようだ。だから日本海・太平洋で活動させている。建造したら戦力化しなければならない。それには航行を繰り返し、将兵の練度を上げる必要が有る。

 そこで日本海と太平洋に向けて活動させ、日本への脅しと練度向上の一石二鳥を狙ったものと思われる。人民解放軍海軍では最新鋭であり大型艦。空母遼寧と組み合わせ、定遠と鎮遠の様な脅しをしている。

 清国海軍の戦艦定遠と鎮遠は、1886年に当時の明治政府を脅す道具に使われた。この時は日本の長崎に寄港し、明治政府の許可なく水兵が上陸。乱暴狼藉を行い、後に長崎事件を引き起こしている。

 今の人民解放軍海軍は、現段階では脅しだけ。日本に寄港していないから、長崎事件の再現は行わないようだ。少なくとも現段階では、脅しだけが共通している。だが今後は判らないから、寄港させることは要注意だろう。

■太平洋進出は無意味

 中国共産党は以前から太平洋進出を狙っている。このため原子力潜水艦に熱心で、水上艦育成よりも優先した。これは原子力潜水艦の長大な航続距離と、戦略的価値が魅力だった。見た目は派手なのだが、実際は海洋作戦に必要な戦略を無視。これで人民解放軍海軍は、実質的に太平洋での作戦行動ができない。

海軍戦略=艦隊+基地ネットワーク
海洋戦略=目的(制海権の獲得)・手段(敵艦隊+敵基地ネットワークの破壊)・方法(艦隊と基地ネットワークの造成)

制海権=艦隊+基地ネットワークの継続利用。

 海洋作戦にも基本が有り、基地から作戦海域まで継続的に往復することで制海権を獲得する。つまり、基地と作戦海域を継続的に往復できなければ、制海権を得られない現実が存在する。艦隊と基地ネットワークが海軍戦略ならば、目的・手段・方法を成立させることで海洋戦略は成立する。

 人民解放軍海軍の基地は太平洋に有るのか? さらに、中国本土から太平洋まで、基地が連なっているか? 結論から言えば、人民解放軍海軍には海軍戦略と海洋戦略は無い。これでは太平洋で継続的な活動は行えない。

■台湾と沖縄の価値

 海にも出入り口が有り、沖縄は海洋国家の防御陣地になり、大陸国家から見れば攻撃用陣地になる。沖縄は大陸国家である中国の太平洋進出を阻止する防御陣地。だから人民解放軍海軍が太平洋に進出するには、必ず沖縄を占領して攻撃用陣地に変えなければならない。

 だが目の上のタンコブなのが台湾。人民解放軍が沖縄を占領するなら、台湾を占領しなければ成功しない。次に隣接する島々を占領し、石垣島を占領。これで沖縄への侵攻準備となる。

 3000年の海戦史から導き出された経験則では、直接沖縄攻略は失敗する。成功させるには、台湾を占領することが第一歩。近くの島々を占領し、備蓄基地や整備可能な基地を配置する。これで継続的な整備・補給が行えるので、沖縄攻略が行える。

 だが台湾は中国共産党と対立している。これで中国共産党の野望は1950年から潰されており、台湾に手を出しても成功したことが無い。つまり台湾軍が敗北していれば、日本の立場は早期から悪化しており、米中戦争が1960年代から始まっていた可能性が有った。

 Ifの世界だが、台湾軍の健闘が日本の平和を守ったのだ。台湾軍が日本の代わりに人民解放軍から守り、日本の生命線である海上交通路を守ったのは事実。だからこそ、中国共産党から見れば台湾は目の上のタンコブ。人民解放軍が台湾軍に勝利しなければ、沖縄を攻略することはできない。

■戦略無き活動

 人民解放軍海軍を太平洋で活動させるのは自由だが、戦略無き進出なのは明らか。台湾と沖縄を占領することで、人民解放軍は継続的に太平洋に進出できる。つまり台湾と沖縄は、太平洋を出入りする門柱。日米が台湾と沖縄を維持する限り、人民解放軍海軍の太平洋進出は成功しない。

 だが人民解放軍海軍は太平洋進出を諦めていない。さらに中国本土から太平洋に連なる基地ネットワークすら建設していなかった。これでは人民解放軍海軍は太平洋で戦闘など行えない。仮に太平洋で戦闘すれば、帰還時に必ず沖縄付近を航行する。

 こうなれば、日米の戦力が全力で帰還を妨害する。沖縄を基地とする空軍機が帰還中の人民解放軍海軍艦艇を攻撃するから、戦闘で消耗した艦艇を磨り潰すことになる。この様なことが発生するから、常に基地を連ねることが基本。

 アメリカ海軍の強さの土台は、基地が連なりネットワークになっている。だからアメリカ海軍は世界で活動し、基地同士の相互支援で敵からの攻撃に対応している。これは戦略の有無だから、人民解放軍海軍では短期間で獲得できない世界なのだ。

■予期される台湾侵攻

 アメリカ海軍は、中国共産党が台湾侵攻すると予測している。その理由は戦略の獲得。太平洋進出をするなら台湾は第一歩。艦船の建造には邁進したが、基地ネットワークは後回しにした。

 中国共産党は艦隊育成ができたので、これから基地ネットワーク建設に手を出していく。しかも日本を脅し、台湾を支援しないように仕向けている。これは台湾侵攻の前兆であり、沖縄攻略の準備開始。人民解放軍海軍には戦略が無いが、これから作る強引さを持っている。だからこそ、日本は戦争に巻き込まれる運命から逃れられない。

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