ワシントン・タイムズ・ジャパン

なぜ病床が足りない 感染症対応と言う日本の医療の負の歴史 医師、病院のさぼりだけが原因ではありません

なぜ新型コロナウイルス患者をみてくれる病院、ベッドが少ないのか。橋下さん三浦さんの発言から話題になっています。少し解説します。

まず医療分担においてです。

コロナ診療は自分たちを守るためにしっかりと感染防御しなければいけない高度な感染症医療という一面、人工呼吸器、ECMOなどのMEの医療含め普通のお医者さんには簡単には手を出しにくいというという特殊な医療でもあります。そう開業医の先生がいくら助けようとしても簡単にはいきません。検査だけしている開業医の先生がすぐに病棟の戦力になるかは微妙です。まあはっきりいうと、内科医に手術しろというぐらいをイメージしてください。

また社会においてコロナ以外の医療対応も同時並行にやらなければいけないという問題も当然あります。それこそ心筋梗塞、脳卒中の患者を助けなければいけません。先程の逆でこのような高度先進医療を感染症医がやれというのも無理です。

また実は日本は環境的に綺麗になったため、感染症患者数が減少し、利益を産まない感染症病棟(ここでは結核)を減らし続けてきたと言う歴史があります。そしていざというときのパンデミック対応は全く医療費削減の流れで顧みられることはありませんでした。だから一つの病院に隔離病床は数床しかないのです。色々な医師を集めてとりあえずコロナ専門病院を作った方がいいという意見もありますが、そこには肺、心臓、凝固、肝臓などの全身を診る専門医の必要性があり、感染症医だけでは救命率の低下などが予想されやはりダメなのです。

また以前の新型インフルエンザの時もそこまで大きな被害はなかったために、その後の感染症対応提言はスルーされました。そして今回もコロナの1波、2波もまたそこまでひどくなかったため、分科会の意見が再度放置され今があります。

日本の医療は、国民皆保険フリーアクセスなどから(患者の満足度はそこまでないようですが)欧米に比べて、平時においてそこそこ優れたものです。ただ今回このパンデミック対応というのは有事です。有事における対応は危機管理含めて日本は全く苦手です。まあ政治の怠慢ですが。

欧米は公的病院が多いこと、病院の増床含めた柔軟さがあること、医師、看護師が多いことから、あっという間にエクストラの病床を作り医療が崩壊しないように対応できました。(それでもさすがに今は医療者が疲弊されていますが)

では日本はどうかというと医療費削減のため公的病院をなくしてきた歴史、そして先ほどあげた感染症対策の放置から、有事における柔軟な運用が全くできなくなっていたのです。

それでも日本の感染者数が少なかったから今までもっていましたが、もうそれも限界でしょう。色々な意味で行政の硬直性が今の「医療崩壊」を産んでいるのです。決して医師、病院のさぼりだけが原因ではありません。

32年目の医師の記憶でした。


「中村ゆきつぐのブログ」より転載
http://blog.livedoor.jp/dannapapa/

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