ワシントン・タイムズ・ジャパン
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世界大戦の布石

■太平洋に集まる軍隊

 中国共産党とアメリカの対立が激化すると、双方の軍事演習が繰り返された。人民解放軍の軍事演習は最初は大規模だったが、次第に規模が小さくなる。それに対してアメリカ軍の軍事演習は、段階的に規模が大きくなった。

 人民解放軍の軍事演習が止まると、アメリカ軍を中心とした連合が太平洋に集まるようになった。イギリス・日本・オーストラリアは判るが、大陸国家フランス・ドイツまで太平洋に海軍の派遣を決定。太平洋に各国の軍隊が静かに集まり始めている。

■地政学的対立

 大陸国家と海洋国家の戦争は、端的に言えば3000年前から変わっていない。大陸国家スパルタと海洋国家アテネの戦争は、後にペロポネソス戦争と呼ばれた。この戦争は現代世界の原型であり、3000年前から現代まで変わらぬ対立構造を後世に残している。

 ペロポネソス戦争は大陸国家スパルタの勝利で終わったが、25年続いた戦争はスパルタを消耗させていた。待っていたかの様に、大陸国家ペルシャがスパルタの勝利を奪い取る。勝利した瞬間に、暗躍していたペルシャが動いたのだ。

 現代では大陸国家中国と、海洋国家アメリカの対立関係になっている。アメリカを中心とした国が太平洋に海軍を派遣し、反中国共産党連合を形成する様相になった。だが背後では、大陸国家ロシアが沈黙を保っている。ロシアは中国共産党陣営に参加しておらず、中国共産党とアメリカの戦争を待っている様に見える。

地政学:生活環境が人間の思考と行動を先決的に規制する。

大陸国家:国内は独裁で国外には民主的
海洋国家:国内は民主的で国外には独裁的

 大陸国家は土地から資産を得ているので、土地を独占支配する。しかも土地から資産を得ているので、人間の厳格な管理を行う傾向がある。そうなれば常に国内で反乱を警戒するから、国外に対して民主的に振る舞う。何故なら、外国から攻められたら国内問題に対応できないからだ。

 海洋国家は海外貿易に依存するので、自国に有利な条件を相手国に突き付ける。これが原因で、海洋国家は国外に対して独裁になる。だが国内では団結を求めるので、国内では民主的になる。

 この現象はペロポネソス戦争前から発生しており、スパルタとアテネは、「矛盾している!」とお互いに批判した。この現象は現代でも変わらない。何故なら人間は、自然環境の奴隷。だから生活環境が人間の思考を支配する。

■現状維持派と現状打破派

 今の平和は強国に都合が良いルール。次に強国に従うことで利益を得る国も現状維持派になる。それに対して、今の平和では都合が悪い国も存在する。その様な国は、現状を少し良くしたいか、もしくは自国に都合が良いルールにしたい国になる。

 これも3000年前から現代まで変わらぬ世界。時に強国は定期的に変わり、新たな強国がルールを作り平和を維持する。今の平和は強国のための世界だから、今の平和を否定する国は悪の国になる。これが国際社会のルール。

 現状維持派はアメリカで、今の平和は都合が良い国として、イギリス・フランス・ドイツ・日本などが含まれる。それに対して現状打破派の典型は中国共産党。ロシアも現状打破派だが、直接動くのではなく、中国共産党を使った間接的な戦争でアメリカに挑んでいる。

 中国共産党は、露骨に現状維持派アメリカに挑戦している。戦争は現状打破派が現状維持派に挑戦した時から始まる。第一次世界大戦・第二次世界大戦は、地政学的対立と同時に、現状打破派が現状維持派に挑んでいる。つまり、第三次世界大戦は間接的に始まっている。

■戦争への布石

 アメリカはインド太平洋に海軍主力を展開させ、海から中国共産党を包囲する動きを見せている。だが海軍主力は太平洋に集中させ、太平洋から東シナ海に戦力を投入する動きになっている。

ジョミニの原則
1:主力を戦場の決勝点か、または敵の後方連絡線に対して継続的に投入する。
2:自軍の主力を敵の個別の戦力と交戦するように機動させる。
3:戦場において自軍の主力を決勝点か敵の緊要箇所に対して打撃させる。
4:主力は決勝点に投入されるだけではなく交戦のために準備する。

 ジョミニの原則は欧米軍の士官に基本的な知識を与えている。ジョミニの原則を使えば、主力を人民解放軍の後方連絡線を遮断できる様にしている。人民解放軍は黄海・東シナ海を常に中継し、南シナ海と太平洋に進出する。つまり東シナ海は人民解放軍には進出の分岐点であり、進出後の後方連絡線になる。

 仮に人民解放軍は南シナ海に進出すると、アメリカ軍は太平洋から東シナ海に進出することで、人民解放軍の後方連絡線を遮断できる。ならば人民解放軍が太平洋に進出すると、インド洋から南シナ海にアメリカ軍・イギリス軍が進出可能。

 さらにアメリカ軍は、人民解放軍の弱点であり緊要地形である東シナ海で攻勢できる。人民解放軍は敵の門前に弱点を見せているので、南シナ海に大規模な進出はできない。だが動かなければ、人民解放軍は黄海から東シナ海に出ることすらできない。

■頭脳ゲーム

 アメリカ軍には人民解放軍の弱点を知り、基本に忠実な将官がいる。だから太平洋に戦力を集め、意図的に人民解放軍を誘う動きを見せている。人民解放軍が太平洋に進出すれば、中国共産党から戦争を始めたことに出来、中国共産党を悪の国として断罪可能。さらに人民解放軍が南シナ海に進出すれば、アメリカ軍は人民解放軍の弱点を容易に奪取できる。

 これを人民解放軍に意図的に見せつけ焦らせている。既に頭脳戦が行われており、その影で、フランスとドイツは現状維持派として戦勝国になろうとしている。これは既に戦後を見据えた未来への投資なのだ。そして中国共産党は、生贄として踏み台にされている。

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