ワシントン・タイムズ・ジャパン

米中のチキンレース開幕

■露骨な調査宣言
 トランプ大統領は中国寄りの世界保健機関(WHO)を批判し、拠出金停止を公言。さらにトランプ大統領は4月17日、武漢ウイルス(COVID-19)パンデミックの原因が、中国科学院武漢ウイルス研究所から流出した疑いを明らかにした。同時に、アメリカ政府機関を用いて、大規模な調査を進めていることも明らかにした。これで国連・WHOを用いた米中の場外乱闘が開幕する。

■アメリカの癖
 アメリカは突然戦争を始めない。必ず戦争の大義名分を、半年から1年の準備期間を設けて開戦する。戦争するにも準備が必要で、部隊移動と戦闘で消耗する物資の生産・輸送・備蓄が行われる。そのための時間稼ぎとして使われる。

建前:理想と言う虚飾
本音:国益の現実

 保有意志の公言は、3000年の戦争史に従えば間接的な最後通牒に相当する。実例として、フセイン大統領時代のイラクは、世界にWMD(大量破壊兵器)の保有意志を公言。アメリカは敵意を脅威と見なし、イラクへの攻撃を決意。

 国連でアメリカが主導する調査隊が組織され、平和維持の理想で大量破壊兵器の調査が開始される。これはアメリカの建前で、実際は開戦までの時間稼ぎだった。実際に、この期間で部隊・物資が中東に集められた。

 アメリカは国連安保理決議1441号に従い査察を継続すべきと言いながら、決議688号(抑圧の中止)を無視。アメリカは国連決議を間接的な宣戦布告とし戦争を開始した。これはアメリカの戦争準備が完了したからだ。

■武漢ウイルス研究所
 結論から言えば、武漢ウイルス(COVID-19)研究所も、この流れになるだろう。アメリカ主導の調査隊が組織され、武漢周辺の調査を中国共産党に要求する。武漢ウイルス研究所限定の調査ではなく、武漢周辺の調査になる。建前は詳細な調査だが、本音は中国共産党が調査を拒否することを望んでいる。

 調査はアメリカ単独ではなく、国連を用いた大規模な調査隊になるはずだ。調査隊の編成だけでも時間を必要とするし、中国共産党が必ず妨害する。これはアメリカの戦争準備に都合が良いし、中国共産党の妨害は印象操作としても機能する。アメリカには一石二鳥なので、調査隊の大規模化は旨味が多い。

 さらに武漢ウイルス(COVID-19)が研究所から漏れたことを断定するなら、研究所内部の詳細な調査と、中国全体の感染経路を知る必要がある。原因があるから結果がある。因果関係を断定するなら、研究所と中国全体の感染経路を調査しなければならない。

 建前では因果関係の断定は必要。本音は中国全体の軍事施設の把握。人民解放軍の移動能力や物資の備蓄能力の把握が行われる。実際に湾岸戦争前に大量破壊兵器の調査が行われたが、同時にイラク軍の把握にも使われた。

■中国共産党の対応策
 中国共産党はアメリカの手法を知っている。アメリカが戦争準備を始めたら、遅れると人民解放軍では勝てない。ならば、アメリカ軍の準備完了前に開戦するしか勝機はない。しかもこの時期に、アメリカはグアムに配備した爆撃機B-52を本土に配備すると公言。

 爆撃機B-52は火力の権化であり、グアムから北朝鮮・中国を攻撃する火力の要。爆撃機B-52を武漢ウイルス(COVID-19)の感染対策で、本土に移動することは欺瞞だ。何故なら武漢ウイルス(COVID-19)パンデミック。グアム・ハワイ・アメリカ本土でも感染者が出ており、本土も安全ではない。

 だから爆撃機B-52を、グアムから本土に移動することは無意味。これはアメリカが、中国共産党の先制攻撃を想定した移動と推測する。中国共産党は以前から、グアム・ハワイを攻撃することを臭わせた。同時にグアムを攻撃可能な兵器開発を行ったから、アメリカは開戦劈頭の損害回避で動くのは当然。

先制攻撃の区分
攻勢攻撃(Offensive Attack):国際社会で否定される
敵国の国防線を踏み破って奇襲攻撃を仕掛ける。

防勢攻撃(Defensive Attack):国際社会で肯定される
自国の国防線の中で脅威国が戦争準備した段階で先制攻撃する。

 国際社会には抜け穴が多く、国際社会が肯定する先制攻撃が存在する。それが防勢攻撃としての先制攻撃。これは国防線内部でアメリカが戦争準備した場合、中国共産党は先制攻撃の正当性を獲得する。正面から戦えば人民解放軍に勝機はないが、武漢ウイルス(COVID-19)パンデミックで、アメリカ軍の兵站基地ネットワークは分断された。

 人間の移動は感染拡大の原因だから、アメリカ軍は容易に部隊移動・物資移動は行えない。24時間態勢で実行するとしても、感染防止対策を行う必要がある。そうなれば部隊移動・物資移動は遅くなる。
 
 このためアメリカ軍の戦争準備は遅くなるので、中国共産党はアメリカの戦争準備完了までに開戦すると勝機がある。アメリカが戦争準備完了すれば敗北確実。これは明らかで、しかもパンデミック収束後にアメリカが開戦することが予想される。どちらの選択でも、アメリカからの開戦を回避できない。ならば中国共産党が使うとすれば、防勢攻撃の先制攻撃しか残らない。

■仕向けられた開戦
 戦前のアメリカは日本を敵視。行き着いた先は日本との戦争。それも日本から開戦するように仕向けた策の連続。リットン調査団は典型で、調査が行われたが時間稼ぎだった。日本が調査に応じても解決しない。関係が解決するよりも日米関係は悪化した。日本が沈静化を求めても、アメリカが敵意を持つから解決しなかった。そして日本はハル・ノートで怒り、日本からの開戦に至った。

 国際社会は、先に開戦した国が今の平和を否定する国と見なす。そして今の平和を否定する悪の国とする。だから日本は悪の国にされた。この再現が、中国共産党で行われている。今度は中国共産党が悪として断定された。これは回避できないだろう。

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