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8万「いいね」ヤマハの「楽器ケース」注意喚起ツイート

 2018年末頃から金融商品取引法違反と特別背任容疑で逮捕、交流と保釈を繰り返していた、日産元会長のカルロス・ゴーン被告。今年に入ってすぐの1月6日、保釈中に日本からレバノンへ逃亡し、国際指名手配を受けるという驚くべき事態が起きました。ゴーン被告の逃亡劇は世界中で話題になっており、特に音響機器用ケースに入って逃亡したことに注目が集まりました。そのことを受けて楽器などを手掛けるヤマハから異例の警告が発信されました。

音響機器ケースに潜んでの逃亡が、遊びに変化

 ゴーン被告が出国した際の詳細については、正確なことが明らかになっていない状況です。報道によると、ゴーン被告は関西国際空港からプライベートジェットを利用して出国し、トルコのイスタンブールに向かい、そこから空路でベイルートに入ったということです。MHKによると、ゴーン被告は都内のホテルで2人の男性に会い、その後新幹線で大阪に向かい、関西空港付近のホテルにチェックイン。男性2人がホテルを出る際、ゴーン被告の姿はなく、大きな2つの箱を運んでいたことが分かっています。

 プライベートジェットへと向かう空港の施設はプライバシー性が高く、ラウンジからすぐに搭乗機に向かうことができます。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、ゴーン被告が「音響機器用の大型ケース」内に隠れてプライベートジェットに乗り込んだと報道されており、おそらく男性2人が運んでいた大きな箱がその音響機器用のケースで、その中に身を潜めていたのでしょう。

 プライベートジェットを利用するVIP客は、プライバシー保護だけでなく、出入国などの手続きが簡素化され、保安検査も義務化されていません。また、関西空港のプライベートジェット専用施設では、大きな荷物は検査の危機に入らないため、VIP客に対して緩い出国検査では、音響機器が入っているという客の言うことを信じて中身まで確認することはなかったということです。

 ウォールストリート・ジャーナルは更に、ゴーン被告の逃亡は半年以上前から綿密に計画されており、逃亡に協力したのは元米軍特殊部隊出身の民間警備会社社員で、逃亡のプロとされるマイケル・テイラー氏だと伝えています。この人物の手助けがあったからこそ逃亡が可能になったのかもしれません。逃亡に使用したとされる音響機器ケースは、プライベートジェットの客室の後方で見つかっており、調べてみると呼吸できる穴が開いていたり、潜むための工夫もきちんと施されていたことが分かっています。

 音響機器ケース以外にも、人が入ることができるほどの大きな楽器ケースは様々あります。ゴーン被告の逃亡劇を受けて、大きな楽器ケースに入る「ゴーンごっこ」という遊びがネット上で流行り出しています。それを受けて、楽器を取り扱うヤマハは、自社が取り扱う管楽器の話題を中心に情報を発信しているヤマハ・ウィンドストリームのツイッターで、11日夜、以下のような警告を発信しました。

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 【お願い】 理由については触れませんが、大型の楽器ケースに人が入ることに関することをネタにしたツイートが多く散見されるようになってきました。 不幸な事故が起きてからでは遅いですので、皆さんの周りでは実際にそのようなことをしない、させないように皆さんで注意し合ってください。
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 この投稿はすぐに話題になり、1月20日午前時点で5万4812件のリツイートがされ、8万7131件の「いいね」がされています。ヤマハ・ウィンドウストリームはたくさんの反響を受けて、「ごく当たり前のことを呟いただけのツイートですが、たくさんのいいねやリツイートでご拡散をいただきありがとうございます。大変驚いております。 楽器・音響機器用のケースは楽器や音響機器を収納するために設計されています。正しくご利用ください」と再度注意を促しました。

当たり前のことだけども価値の高いツイートに称賛の声

 ヤマハのツイートに対して、注意喚起をしたことに対するリスペクトや感謝の気持ちを伝えるコメントや、同じく危険性を訴えるコメント、実際に入ったことがあるとし、反省しているというコメント、マスコミは面白半分で再現していたとし、マスコミ批判をするコメントなど、200を超える様々なコメントが寄せられています。

 「ネタ? と思ってアカウントのTL辿りました。(本物でした。。)アマチュアオケやってた経験からですが、、たしかに、、面白がってやらかす人は出るかもですね。事故はホンの少しの遊び心から生まれる事もありますもの、ヤマハさんならではのtweetだと思いました。」

 「『理由については触れませんが』の一文目から品の良さを感じます。当たり前のこととおっしゃっていますが、受け取る方はみんなが品の良い取り方をする人とは限りません。それでもみんなにこの心遣いが届いたこと、嬉しいですね。楽器づくりへのリスペクトを感じます。御社が今年もよい年でありますよう」

 「あくまで自己責任とはいえ目的外の使用は絶対に行うべきではありません。それが非合法な手段であればなおさらです。 でも、この行為は音楽を奏でる楽器に対する冒涜と思います。 どんな理由があったにせよ絶対に許されないことだと思います」

 「ギブソンギターのハードケースでさえがっちり鍵かかるので空気穴を開けたとしても中から開けるのは不可能だから、今回みたいに確実に運んで開けてくれる人がいなければ死にますね。 故意じゃなくても紛失されたらアウト。 (ギターケースには入れないけど、大きい楽器もハードケースならそうでしょう)」

 「そりゃ 大人がやれば子供も真似すると思います。」

 「アレは荒事になれたプロが改造したもので、多分不測の事態に備えて破壊用の工具も準備している。 マジで素人は真似をしてはいけない(そういう問題でも無いが)。」

 「中学生の頃、チューバのソフトケースに入ったことがあります…みごとにすっぽり入りました。 もうしません。ごめんなさい。」

 「正直学生時代入ったことがあります。小柄なので余裕で入れます。 今も楽器関係の仕事をしているので、ノリで『その楽器でかいねwケースに住めるよw』とか言うこともあります。しませんが。 あれに入ることは命の危険であり、破損の危険もある。絶対にしてはいけない事です。 あと、めっちゃ臭いから」

 「TBSは番組でアナウンサーが入ったようです。面白がっているメディアにも責任はありそうです」

 「先日、実際にレバノンの某被告の再現としてマスコミが再現していました。貸す側にも非はあるとおもいますが、やっぱり日本のマスゴミはおかしいですよね」

 マスコミで大人がケースに入るのを見たり、“ゴーンごっこ”として広まってしまった現状を知っている子どもが真似することは本当に危険です。ヤマハが「ごく当たり前のことを呟いただけ」だとしていますが、その当たり前のことを興味本位でやってしまう子どもや、大人もいることを危惧してのツイートだったので、このツイートがこれほどまでに多くの人に拡散し、話題になったことは事故が起きてしまう前の良い注意喚起になったことでしょう。

 普段楽器に触れる機会がないので、どれほどの密閉性があるのか、何故危険なのかいまいちイメージがつかめなかったのですが、ヤマハのツイートやコメントを読んでいく内に、楽器を守る為に密閉性が高く、金具を閉じれば窒息の恐れがあるということを知ることができました。自宅に大きな楽器ケースがある家庭は少数でしょうが、学校や楽器店で触れることができるので、子どもには十分注意をしておく必要がありそうです。また、子どもだけでなく、面白半分でユーチューブに動画をアップしたりするような大人が出てこないことを願います。

 当たり前のことをツイートしてこれほど反響があるということは、楽器ケースに入る真似をする人がいるという危惧を、多くの人がしているということでしょう。興味本位で危険なことをして、それを撮影した動画を多くの人が見て、よくも悪くも注目を浴び、それを見た子どもたちが真似をして大変な事故に至るという悪循環は決して起きてほしくありません。ヤマハがツイートした背景にもそのような願いが込められているのではないでしょうか。

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