«
»

習近平は国防権限法で苦々しい思いをする

■国防権限法成立

 アメリカは12月20日に国防権限法を成立させた。今回の国防権限法で6番目の独立軍として宇宙軍が設立。アメリカの戦場は地上から宇宙まで拡大。これで中国・ロシアも巻き込んだ軍拡競争が危惧されている。だが国防権限法には北朝鮮への制裁強化と中国の軍事的脅威に対抗する政策も盛り込まれている。このことを無視することはできない。

■北朝鮮への制裁強化

 アメリカは北朝鮮の非核化を諦めていない。北朝鮮への制裁強化を継続し、北朝鮮に譲歩を迫っている。国防権限法では北朝鮮産の石炭・鉄・繊維・水産などが制裁対象。北朝鮮と取引した場合は、海外の金融機関でもアメリカ国内で取引を制限する。

 北朝鮮産水産物は中国市場で売られていると言われているので、事実が確認されたら中国企業・中国金融機関は制裁対象になる。表向きは北朝鮮への制裁強化だが、取引するロシア・中国を狙った制裁強化と言える。

■中国の軍事的脅威に対抗

 国防権限法は中国の軍事的脅威にも対抗している。これは直接的で、中国企業ファーウェイと子会社を安全保障上の脅威としている。これはアメリカ政府が民間の通信機器を用いたスパイ活動を軍事的脅威と見ている証。しかも中国共産党の目的達成のためにファーウェイが活動していると見ている。だから民間企業でも軍事的脅威なのだ。

 しかも国防権限法では台湾との連携強化が盛り込まれている。アメリカと台湾の連携は、中国による台湾の選挙に対する干渉を警戒し、さらにサイバーセキュリティーでもアメリカと台湾の連携強化が盛り込まれている。

■中国への内政干渉

 習近平はトランプ大統領に中国への内政干渉を止めるように求めていた。トランプ大統領は12月20日に国防権限法の成立で返答している。これで北朝鮮・台湾を用いて中国への内政干渉を継続することを宣言。しかも北朝鮮への制裁強化で中国の金融機関を絞め上げることを示唆している。

 そうなれば中国企業は影響を受けて活動が制限される。中国共産党員で企業経営に参加している者は、利益を奪われるだけではなく間接的に制裁対象になる。このため国防権限法の行き着く先は中国共産党への制裁なのだ。

 台湾は戦略的な緊要地形であり、中国が太平洋・南シナ海に進出する時の要となる。このため台湾を拠点とした軍事力投射は、人民解放軍海軍を東シナ海で封鎖することが可能。アメリカが台湾との連携強化を行えば、台湾の軍事力が強化され人民解放軍海軍の進出が困難になる。

 仮に人民解放軍が太平洋・南シナ海に進出しても、台湾は何時でも後方連絡線を遮断できる。これは中国共産党には悪夢で、インド洋・アフリカまで進出させた人民解放軍は容易に孤立する。

 国防権限法はアメリカの宇宙軍設立が目立っているが、実は北朝鮮・中国を追い詰める制裁強化が本音なのだ。しかも露骨な中国への内政干渉であり、習近平は国防権限法の成立で面子を潰された立場になった。

■現代のハル・ノートか?

 妥協案と最後通牒がある。この違いから国防権限法を見てみたい。すると国防権限法では相手国に譲歩を求めているので、間接的な最後通牒と言える。

妥協案 :相手国に餌を与えて自国が譲歩する(受動的・等価交換)
最後通牒:相手国が譲歩するならば自国が餌を与える(能動的・押し売り)

典型例:ハル・ノート
「餌を与えての譲歩の要求は妥協案であるが、譲歩すれば餌を与えるという条件は最後通牒である」

 ハル・ノートは戦前のアメリカが日本に送り付けた最後通牒。日本に譲歩を求めた内容だが、当時の日本政府は怒って開戦を選んだ。国際社会では今の平和は強国に都合が良いルール。しかも開戦は今の平和を否定する行為なので、平和を否定する悪の国になる。これが国際社会。

 当時の日本はこのことを知らず開戦を選んだ。宣戦布告してから開戦すれば正当なのではなく、開戦そのものが今の平和を否定する悪の行為。だからアメリカは、日本が怒るように仕向けた。そのためのハル・ノートだった。

 では国防権限法はどうか。直接中国に送り付けた最後通牒ではない。だが中身は中国に譲歩を求める内容になる。北朝鮮への制裁強化の行き着く先は中国共産党。台湾との連携強化の行き着く先は中国共産党。そのため間接的な最後通牒になっている。

■今後の世界

 アメリカは明らかに習近平を狙った国防権限法を盛り込んでいる。北朝鮮との関係があれば中国共産党員も制裁対象になる。そうなれば中国企業の利益は減少する。台湾に何もしなければ日々台湾の軍事力が強化される。これでは習近平の指導力低下でライバル派閥は攻撃材料にする。そうなれば習近平は失脚。

 だが怒って開戦すれば中国は悪の国になる。これを知らない習近平ではない。知っているから中国からは動かないようにしている。だが何時まで忍耐が続くか判らない。

6

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。