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家庭の収入と学力

 卒業式シーズンが終わった。数日前までは、駅や電車の中で、袴(はかま)姿に着飾った大学卒業生の姿をよく見掛けた。フォーマルウエアながらもコサージュで華やかさを醸し出す母親と一緒の場合も少なくなく、そこに父親も加わっていることもあった。

 昨年、長女が大学を卒業したのに続き、今年は次女が中学を卒業した。来年は長男が大学を卒業する。いずれも本人たちから「お父さん、卒業式に来る必要ないよ」と煙たがられた身としては、両親ともども子供の卒業式に出席する姿は羨(うらや)ましくもある一方、父親までついていくことは過保護にも思える。

 子供にじゃけんにされたオヤジのひがみはさておくとして、電車の中では、祝すべき卒業生に、彼らと同世代から複雑な視線が注がれているのを感じることがある。そんな時、家庭の経済事情から大学進学を断念せざるを得なかった大勢の若者たちの存在が筆者の脳裏をかすめるのである。

 かつてはアルバイトなどで学費を稼ぎながら大学に通う学生は多かったが、最近は「苦学生」という言葉をあまり耳にしなくなった。それもそのはずで、文部科学省の委託研究によると、世帯収入の多い家庭の子供ほど学力が高い傾向があるというのだ。

 今の時代、ある程度の収入がないと、塾代などの学校外教育費が負担できない。そんな家庭の子供は早くから大学進学を諦めてしまうことになる。着飾って大学の卒業式に出席する親子連れからは経済的に恵まれている印象を受けるが、これは的外れではないだろう。

 もうすぐ入学式シーズン。少子高齢化が進む日本にとって、子供一人ひとりが貴重な人材で国の宝だから、豊かな家庭の子供だけが希望に胸膨らむ季節であっては困る。経済的事情で、進学を諦める若者をなくすための支援充実が求められている。(聖)

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