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香港デモ 学生記者が捉えた銃撃映像

10月 1日午後4時10分ごろ、香港郊外荃湾(せんわん)地区。武装した機動隊と若者らの間で激しい衝突が起きていた。「ズーン」と機動隊員が実弾を放った。少年がその場であおむけに倒れ込み、左胸付近から血が流れた。

香港城市大の学内メディア「城市放送局」に所属する林卓賢さん(21)=経営学部3年=は、現場で取材していた。恐怖で体がすくみながら、夢中で一部始終をカメラに収めた。「銃声の瞬間、何の弾か分からなかった。でも、少年の胸から血が流れているのに気づき、(実弾だと)確信した」

倒れ込んだ少年を、別の若者が介抱しようと近づいた。その瞬間、機動隊員がこの若者を組み伏せ、拘束した。林さんはとっさに思った。「銃撃の瞬間に加えて、この後、警察が救護措置など適切な対応をするのかどうかが重要だ」。目の前で倒れ込む少年が心配だったが「これが私の役割だ」と自分に言い聞かせ、カメラを回した。

「助けてて。胸が痛い」とうめく少年。しかし機動隊員たちは少年に目もくれない。林さんが撮影した映像を見る限り、銃撃から5分が経過した時点でも救護措置は行われていなかった。林さんは「実弾で胸を撃っているにもかかわらず、極めて非人道的だ」と警察の対応を非難する。少年はその後、救急車で病院に搬送されて緊急手術を受け、一命は取り留めた。

銃撃の瞬間を撮影できていたのは、香港城市大と香港大の学生メディアだけだった。

 映像は、白い棒状のもので挑む少年に対し、機動隊員が数十センチとみられる至近距離から左胸に発砲する様子を克明にとらえている。警察当局は「警察官は襲われて生命の危機に直面し、武器を使用して制止するほかなかった。適切で合法だった」と説明している。だが映像を見る限り、少年に対し狙いを定めて銃撃しているように見える。過剰防衛と批判されてもやむを得ないだろう。銃弾は少年の心臓をわずか3センチ外れ、左肺の内部で破裂していたという。あとわずかでも位置がずれていれば、少年は命を落としていただろう。

映像という動かぬ証拠を突きつけられ、警察は守勢に立たされている。林さんは言う。「もし香港城市大と香港大の学生メディアがあの場にいなかったら、誰も何が起きたかを知ることはできなかった。私たちはとても重要な役割を果たしたと自負しています」


「沖縄に内なる民主主義はあるか」より転載
http://hijai.ti-da.net/

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