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台風被害、陸の孤島と化した成田空港から運よく終電で帰宅

子供と親切心に救われた1日

 今年の春頃から、今月の7日から9日まで韓国に家族で行く予定を立てていました。出発の数日前から韓国と日本に台風が到来する予報が出ていて、心配しながらも仁川国際空港には予定時刻より1時間遅れて無事に到着できました。韓国では記録的強風だと言われており、仁川に着いた時には雨はそれほど降っていなかったのですが、風が強くて台風が通り過ぎていったことを実感させられました。空港のテレビでは台風の影響で倒壊した家屋や、負傷者や被害を受けた方の様子などが報道されていました。7日の夜に宿泊所に着いた時にはまだ小雨が降っていましたが、翌8日と9日は天気も良く、日本に台風が上陸していたことをすっかり失念していました。

仁川からは想像できなかった成田空港の大混乱

成田空港列

成田空港列

 仁川に到着してから、出発時刻が1時間遅延して10時発になるというアナウンスがありました。しかし、9時頃に「10時半になる」というアナウンスがあり、ようやく機内に乗れると思ったら、乗ってからもまだ成田空港の管制塔から離陸の許可が出ないということで、30分近く待ってからやっと離陸しました。2歳の娘も一緒だったので、成田空港に着いたら早く家に帰りたいと思っていました。仁川の天気も、成田の天気も良く、普段どおりバスに乗って帰れると思い込んでいました。

 ところが、成田空港のゲートを出てからとんでもない光景を目にしました。通路には人が溢れ、バスのチケット購入窓口には長蛇の列が並んでいました。あまりにも列が長いため、係員が列を整えるために必死に声を張り上げていました。周囲の人々が鉄道もバスも止まってると口々に言っていたのでスマホで調べてみたら、空港のリムジンバスも、京成線もJR線も、成田空港から出るための交通手段が全て運転見合わせ、終日運休となっており、途方に暮れてしまいました。

 娘をずっと抱っこしていることもできず、椅子に座ろうとしてもどこも空いてない状態でした。復旧の目途が立たない状態だったので、レストランでひとまず休んで情報を集めることにしました。レストランにも人が溢れており、名前を記入する用紙が3枚分たまっているほど、待ち時間も相当かかる様子でした。

成田空港混雑

成田空港混雑

 1時間以上待ってようやくレストラン内に入り、食事をしながら鉄道やバスの状況を見たり、今日中に帰宅するのを諦めてホテルを探したのですが、案の定どこも満室で成田空港のロビーで一泊するしかない状況でした。娘もいるのでそれはなるべく避けたいと、帰宅する方法を模索してみましたが、高速も使えない上、タクシーは長蛇の列で車移動もできず、空港に一泊するしかないかと諦めていました。

 ところが、17時頃、鉄道の運行状況を確認したところ、京成線が18時に運転再開するメドが立ったという情報があり、長蛇の列に並ぶだろうけど、並んでいれば今日中には帰れるだろうと思い、京成線に向かいました。向かう通路の脇にはトランクと一緒に座り込んだり、横になったりしている人達もいて、帰宅難民に溢れ返っていました。自分達もその中の1人なんだと思わされました。

ぎすぎすした雰囲気を和ませてくれる子供達の笑い声

 京成線の改札のあるところまで行くと、想像以上の長い列と人混みで、職員の数も少なく、列の最後尾は乱れてどこに並んでいいのかも分からない状況でした。それでもある程度の列ができていたので並び始めました。ちょうど娘は眠くなってきていたので主人に抱っこしてもらっていたのですが、しばらくして目が覚めると抱っこを嫌がってひとりでうろちょろし始めて、ただ並ぶだけでも一苦労でした。

 列が徐々に乱れ始め、大勢の人が押し寄せてきていました。警察が数名列を整理し始めて、私たちが並んでいた列の人達に、「ここは列じゃないんで、横の列の最後尾から並び直してください」と指示していました。せっかく並んでいたのにと思いながらも、最後尾から並び直し、運転再開を待っていました。その間にも、また列が乱れ始め、新しく来た人たちが、先ほど自分達が並んでいた列ではないところに並び始めて新しい列ができていました。

 ようやく再開し始めて先頭が動き出し、列が少し進んだと思いきや、警察が突然自分達の数組前に仕切りを置いて、新しくできた列と、初めからあった列の人たちを交互に合流させ始めました。先に並んでいた人達は口々に文句を言っていましたが、直接警察に物申す人もおらず、そのまま警察の指示の通りに並び続けることになりました。200メートル近くある列が、10数分おきに少しずつしか進まず、あと何時間あれば電車に乗れるのか全く見通しが立たない状況で、周囲の人達も疲れ切ったており、ぎすぎすした空気の中で並び続けました。

 娘が並ぶのに飽きて列に戻すたびに暴れて大変で、この空気の中で子供の泣き声や叫び声は、周囲の人達のイライラを助長させるものだと内心焦っていました。

 運の良いことに、すぐ前に娘の1つ上の女の子が両親と並んでいて、物おじしない娘が駆け寄って行って仲良くなり、一緒に遊び始めました。女の子はお姉ちゃんと呼ばれたのが嬉しかったみたいで、娘の世話を焼いてくれたり、お菓子をくれたり、2人でずっと笑顔で列の外でぴょんぴょん跳ねて遊んでいました。子供の泣き声はイライラを助長させますが、笑い声は気持ちを和ませてくれるようです。後ろに並んでいた男性も初めは警察の対応や職員の不足さ、対応のなってなさなどに文句を言ってイライラしていたのですが、子供達の元気な声を聞いて文句を言う声は聞こえなくなり、元気だなあと子供達を眺めていました。男性だけでなく、周囲の人たちの顔が笑顔になっている様子でした。

 女の子と出会えたことで、親の負担も少なく、4時間半も並び続けることができました。並んでいる間に、英語圏の観光客の人から、うちにも同じくらいの孫がいると言われたり、色々な人と接することができました。殺伐した雰囲気でしたが、子供達のおかげで救われました。

 電車に乗る時にはさすがに子供達は疲れて眠っていたのですが、電車は案の定混んでいて、立ったままでいるしかないかと思っていました。しかし、疲れているにもかかわらず席を譲ってもらえ、親切心に心から感謝しました。子供がいると大変な面も多いですが、親切にして下さる方が多く、有り難い限りです。

 京成線で日暮里まで行き、新宿から小田急線で最寄りの駅まで行けばようやく帰れると思いきや、まさかのこんな日に人身事故でダイヤが乱れ、急行と快速のホームには人であふれかえっていました。娘も完全に寝てしまっているため、各停で1席だけ空いていたので座れて、ほっとしました。

 アナウンスでは、行き先が変わる可能性があると言われ、目的の駅に着くまで気が抜けませんでした。それでも無事にギリギリ終電で最寄駅まで行くことができました。家に帰りついたのは午前2時。仁川に行くために3時に起きて宿所を出発したので、ほぼ1日がかりの移動になりました。

 トラブル続きで大変な1日でしたが、無事に終電で帰り着けて本当に良かったです。成田空港では1万人が夜を明かしたそうで、日本人ももちろん、観光客も大変な一夜になったと思います。無事に自宅や宿泊先に行けることを願っています。

 東京電力によると、10日午前時点で、千葉県を中心に東京の島しょ部を含む1都4県で60万軒を超える停電が続いていると発表していました。千葉県では断水の被害も出ており、自衛隊に災害派遣を要請したということです。真夏の暑さで熱中症などが心配されます。一刻も早く復旧され、日常に戻れることを願っています。

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