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「アンパンチ」を本気で心配している親がむしろ心配

 2歳の娘が、NHKの「いない、いないばあっ」の次にハマり出したのが「アンパンマン」。アニメを録画して見たり、横浜のアンパンマンミュージアムに行ったりして、最近は更に熱心なアンパンマンファンになっていっています。

 いたずらをして困らせるバイキンマンを、アンパンマンがアンパンチでやっつけるという、分かりやすい勧善懲悪のストーリーです。キャラクターの性格もしっかり練られていて、子供に初めて見せるアニメとしては最適だと思います。

 アニメの放送は1988年に始まり、今年で31年目。子供達に愛され続けているアニメなので、今後も長寿記録を伸ばしていくのではと思われます。しかし、今、SNS上ではアンパンマンの「アンパンチ」が子供に悪影響を及ぼすと問題視されています。

ツイッターでトレンド1位になったアンパンチ論争

 12日、ツイッターで「#アンパンチに代わる非暴力的な解決策」というワードがトレンド1位になりました。11日に投稿された「『アンパンチ』で暴力的に?心配する親も…メディアの暴力シーンは乳幼児にどう影響?」という記事がきっかけだったようです。この記事が投稿される以前からネット上では、アンパンチを見た乳幼児が暴力的になると心配する親の声が上がっていました。バイキンマンの悪事をアンパンチという“暴力”で解決することで、暴力で物事を解決すればいいという考えを植え付けるのではという意見です。一方で、全く影響しない、心配いらないという意見もあります。

 ツイッター上でも、「#アンパンチ論争」、「#アンパンチ」、「#アンパンチは暴力的になる」など、多くの人がアンパンチ論争について投稿しています。

 「アンパンチで子供が暴力的になる、そう言ってる人は正気なのか? 外出先で騒ぐ子供に、『お店の人から怒られる』と、人のせいにする理論と同じ。公共の場では騒がない! 日頃からルール指導をちゃんとしろ! 親の機嫌で子供を叱るな。アンパンマンに罪は無い」

 「かちかち山、うさぎは狸の背を焼き、火傷に辛子を塗りこみ、水に沈めてますが?  桃太郎、鬼を斬殺して金品強奪してますが? 昔話も暴力的だから禁止するのかな? 親が教育放棄してるようにしか聞こえない残念な論争」

 「子供の危険を取り除くのが親心じゃない 怒る時だって“何がいけないのか”を教えるのが教育でしょ?」

 「確かに、本気で暴力的になると心配してる親のほうがやばいわ。 アニメと現実がごっちゃになってるってことやし、暴力ってのが何なのかもわかってないくらい、大人としての知能も無いってことだもんな。 その親の子どもをアンパンマンに代わって助けてあげたくなる」

 など、アンパンチの影響で暴力的になると心配している親への批判が多数ありました。

 また、論争事態をくだらないとする意見も多く上がっていました。

 「こんなくだらない論争がおきてるの知らなかった。本当に親からのクレーム?というか、これが論争になる方がおかしいよ。作品にケチつけたいバカのクレームなんじゃないの」

 「アンパンチ論争がもうアホ過ぎて….。子供達、暴力とかそういう目で観てないでしょ。皆ある程度土台ができてるから。大抵の親は他がどんだけ適当でも、道徳的な事はちゃんと教育できてるよ」

 あるいは、アンパンチはバイキンマンに暴力を振るっていないと、アンパンチの効果そのものを擁護する声もありました。

 「よく見てくれ、アンパンマンはバイキンマンに対して本気を出してない事を。 アンパンチが向かう先はバイキンマンではなく、バイキンマンが乗っているものである事を。 アンパンチは単にバイキンマンを無力化しているだけに過ぎない」

 「アンパンチは、たぶんそんなに痛くない、まずグローブも、真ん丸で、弾力がありそうだ。バイキンマンは、バイ菌だから、吹っ飛ばされても死なないし。大丈夫だ」

 「アンパンチって大体ヒットの瞬間映ってないから暴力判定は微妙なところかなーと思う」

 ツイッターを見ると、本気で心配している人をおかしいという声が多いからか、アンパンチの悪影響を心配している人の声は見られませんでした。記事の影響で、本気でアンパンチの悪影響を心配している少数の人がいることが世間に広まっただけのようで、大多数の人はアンパンチは悪くない、親の教育次第だという考えのようでした。

アンパンチを見ただけでは、暴力的な人間にはならない

 アンパンマンに絶賛ハマり中の娘ですが、よくパパにアンパンチの真似をしてはヒーローごっこのようなものをやっています。女の子と男の子の違いもあるとは思いますが、娘はまだ力も弱いので、暴力的にアンパンチを真似しているというよりも、パパが倒れてくれるのが楽しくてアンパンチをしているという様子です。

 子供がヒーローや、アニメのキャラクターの真似をして遊ぶことは通過儀礼のようなもので、私も5、6歳の頃にはセーラームーンの真似をして決め台詞を言って遊んでいた記憶があります。確かに悪い敵を倒すために攻撃をして、やっつけるということは一見すれば暴力的に見えるでしょう。子供からすれば、暴力を振るっている感覚ではなく、敵を倒すためにヒーローがやっていることをただ真似しているだけにすぎません。それを、大人の視点で暴力をしている、将来暴力的な大人にならないか心配だというのは一方的な見方でしかありません。子供の時、ヒーローが悪役を倒す番組を見て育っても、暴力で物事を解決する大人にはなっていないという人が多数いるためか、論争にもならないほど馬鹿げたテーマだという人も少なくありません。成長するにつれて、親、教師、周囲の大人、あるいは友達を通して、暴力的な解決は良くないという道徳心を学んでいくため、もし乳幼児期にアンパンチの影響で暴力的になったように見えても、一時的なものでしょう。

 暴力的になるかどうかは、親や周囲の人間の言動によるものが一番大きいと思われます。義母に聞いた話ですが、子供達を保育園に預けている頃、同級生の男の子の中ですぐ他の子供に暴力を振るったり、悪態ばかりつく子がいたそうです。その子の母親が迎えに来た時、母親が前を歩く自分の子供の背中を蹴って、「早くしろよ!」と怒鳴っていたとか。まさしく、此の親にして此の子あり。親から暴言と暴力で接せられているので、子供も他人とのコミュニケーションは、暴力と暴言でとるものだと思うのでしょう。

 娘を見ていて思いますが、子供は純真無垢な存在で、人間の本質を持って生まれてきます。それぞれ個性はありますが、人間として元から持っている良心は皆同じで、きれいな心を持っています。成長するにつれて、真っ白な心に色が塗られ、複雑に混ざり合った色の心に変わっていくのだと思います。そうして世の中の善悪を知って大人に成長していくのですが、成長の過程で一番大きな影響を与えるのは、アンパンチでも、特撮ヒーローの必殺技でもありません。親の言動と、愛情のかけ方によって、子供は自我を形成していきます。

 アンパンチのせいで暴力的になると心配している親は、アンパンチのせいにする前に、自分達の日頃の言動を振り返ってみてください。親だけでなく、祖父母やよく会う大人、友達の影響もあると思います。アンパンチを批判する前に、子供に善悪を教えてあげられるよう、親として成長することが大切なのではないでしょうか。

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