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  • 堂本かおる
    堂本かおる
    ニューヨーク在住フリーランスライター
    菊田 均
    菊田 均
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    松本 健一
    松本 健一
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    中岡 弘
    中岡 弘
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    大島 直行
    大島 直行
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    時広 真吾
    時広 真吾
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    渡辺 久義
    渡辺 久義
    京都大学名誉教授

    なぜ古事記を学ぶのか

    600

    曙海(あけぼのかい)(1万5000年前)
    寒冷期であったため海面がいまよりも100メートル以上低く、現在大陸棚になっているところはほぼ陸上に露出していた。日本列島は大陸と陸続きで、この時代に朝鮮半島はまだない。人々は海岸沿いに住んだ(縄文時代の遺跡には貝塚がある)が、海面が下がったために北のベーリング海峡も陸続きとなっており、日本列島周辺には北極海からの寒流が流れ込まず、逆に赤道からの暖流が北上した。このため曙海のあたり一帯は温暖で人々の生活に適していた。

    古事記に書かれた神話は歴史であるという人がいます。
    あるいは古事記の神話は文学であるという人もいます。
    また多くの場合、古事記の神話は童話として語られています。

    古事記に書かれた神話を、童話として親しむことは、とても良いことです。
    なぜなら日本神話には、人々に良識を育(はぐく)む効果があるからです。
    人々が良識ある人々になることで、その国の民度が上がります。
    民度が上がれば、国は住みやすくなります。
    だから神話は重要なのです。

    典型的なものが「約束を守る」や「人を騙すのは悪いこと」という常識です。
    これは社会経済の根幹をなすものです。
    この2点が備わっていなければ、信用経済は成り立たちません。
    信用経済が成り立たなければ、その国は泥棒経済、強盗経済の国になります。

    そのような国は、自ら富を生産することができません。
    他人の財を奪うことでしか経済力を増す手段を持たないのです。
    実際、そのような国もあります。
    そしていまや世界の経済を混乱に陥れようとしています。

    けれども神話があれば良いというものではありません。
    なかにはその神話が強姦を正当化する神話だったりする国もあります。
    そういう国は、基本となるアイデンティティが強姦にありますから、姦の国となります。
    普通の人はあまり近づかないほうが良いかもしれません。

    幸いにして、我が国の神話は、約束を守ることの大切さや、勇気をもつことの大切さを教える、たいへん内容の濃いものになっています。
    ですから幼少期に、子供向けの日本神話を読んでおくだけで、その子は約束を守り、勇気を持つ子供に育ってくれます。
    これは素晴らしいことです。

    しかもその神話は、ある程度の年齢になってしっかりと本文を読むことができるようになると、さらに深く、私達の国の成り立ちや国柄、神様とは何か、組織における生き方、わがままな隣国との付き合い方など、様々なたいせつなことを教えてくれます。
    とりわけ古事記に書かれた神話は、そもそも古事記自体が、我が国の「国家の典教」とするために書かれたものですから、なおいっそう、多くの学びを得ることができるように書かれています。

    そもそも古事記は、7世紀における我が国が、天皇を中心とした国作りを行い、そのために(1)中央政都としての壮大な都の建設、(2)法制度としての律令の制定、(3)史書の編纂という、三大事業のひとつとして、まる30年の歳月をかけ、当時の我が国の叡智をつくして書き上げたものです。
    そして古事記には、究極の民主主義ともいえる国家をいかにして形成するのかという知恵が詰まっています。

    そういうわけですから、幼児が読む古事記神話ではなく、大人が古事記を学ぼうというのなら、幼児と同じレベルで古事記神話を読むのはいささかもったいない話です。
    大人には大人の古事記の読み方があるのです。

    ところが大人が読む古事記というと、アメノウズメが天の石屋戸の前で悩ましいヌードダンスを踊ったとか、古事記神話は実は書かれていない天孫族と出雲族の激しい戦いがあったとか、古事記に記述された内容を勝手に逸脱して、勝手な想像(というより妄想?)で、古事記の神話を再解釈しているものを見かけます。

    どのように古事記を読もうが、それはそれぞれの勝手ではあるけれど、私から見ると、いささかもったいないことであり、飛躍のしすぎであるように思います。
    まずは古事記の筆者が伝えようとしたことは何なのか、それを原文に忠実に読んでいくことが大事なのではないかと思います。

    たとえば古事記に書かれた、
    「スサノヲはひとりではなく、幾世代にもわたる一族の物語である」
    というものがあります。
    理由は「母が恋しいと泣いてばかりいたろくでなしと、ヤマタノオロチを退治した勇気ある人との間には、あまりに人物像に差異がありすぎるから」などと言われたりします。

    なるほどそうかもしれません。
    古事記においてスサノヲは、6世代あとの末裔となるオオナムチに薫陶を与えたりしています。
    大昔の物語です。
    幾世代にもわたる血脈を、ひとりの人物として描いたとしても、なるほど不思議はないかもしれない。

    ですから「実はこうだ」と言われれば、「そうかもしれない」と思います。
    いわゆる霊能力者のような人で、過去を見ることができるような人もおいでになります。
    自分にはそのような能力はないので、そうした能力を持っておいでという方が、見てきたとおっしゃれば、ああ、そうなのだ、と思うしかありません。
    誰も当時(スサノヲが生きていた時代)を知る人(行って見てきた人)はいないのです。

    ただ、同じことは古事記が書かれた時代にもあったであろうと思うのです。
    古事記が書かれた時代にも、そのような能力を持った方はおいでであったでしょうし、いわゆる古史古伝と言われる書物や伝承も、いまよりずっと多くが当時は残されていたであろうと思います。

    古事記が書かれたのは7世紀の終わり頃です。
    いまから1300年以上も昔のことです。
    その時代の日本人は、とても霊性が高かったという方もおいでになります。
    また神代文字で書かれた書物も数多く現存していた可能性がありますし、なにより古事記そのものに「帝紀や旧辞をもとに書いた」と記されています。
    「紀」は書かれたもの、「辞」は口伝のことをいいます。

    その時代にはもしかすると曙海があった時代、北東亜平野がまだ海中に沈まなかった時代の記憶が残っていた可能性もあります。
    実際、古事記が(日本書紀もですが)書かれた時代には、すでに大阪湖は無くなっていましたが、神倭伊波礼毘古命の章には、まだ河内湖が海と続いていた塩水湖だったことを示す記述がなさています。
    ということは、地形が現代とは異なっていた時代の記憶を、古事記はちゃんととどめているわけです。

    600

    そういう意味からすると、ヒルコというのも、これはただの想像ですが、もしかすると曙海のことを「蛭(ひる)のような形をした海だった」という意味なのかもしれません。(トップの図)

    そうしたさまざまな書籍や伝承、あるいは霊能力者のような方々のご主張などをできるだけ事細かに集めたうえで、古事記は30年という途方もない長い歳月をかけて、それらの中から、いま古事記に書かれている物語を編集しているわけです。

    ただ、古事記が書かれた時代というのは、唐と新羅からの外冠という危険の前に、なにがなんでも国内を統一し、同時に我が国が日本という統一国家を形成していかなければならなかった時代です。
    遠い昔の、それこそ万年の単位での古い昔の物語で、すでに地形も大きく変わってしまっているような大昔の出来事も、もしかすると当時の伝承に残っていたかもしれないけれど、そのことを持ち出せば持ち出すほど、その時代に生きている人たちからすると、(いまのように地学が発達していなかったこともあって)、余計にわけのわからないものになってしまいます。

    そうであれば、古い時代の記録を正確に記した方が、むしろ神話がわかりにくくなってしまい、人々のアイデンディディ構築がややこしくなってしまうこと、そしてもうひとつは、曙海時代のことから記述を始めれば、唐の人々と倭人はもともとは同じ一族ということになってしまいます。
    唐の脅威から国を守るために、国内を統一しようとしているときに、唐と親戚だから仲良くしたほうが良いのではないかなどと言い出す人たちがいたら、そうしたきれいごとのために、かえって日本がバラバラになり、挙げ句は唐に侵略されて国が滅ぶことになります。

    そうであれば、曙海時代の記述はざっくりと斬り捨てて、せいぜいヒルコの話とするにとどめ、海面が上昇してからの時代のことから記した方が、古事記編纂の目的に沿うことになります。

    このことが意味していることは、「古事記は、遺し伝えたい事柄」を書いたものであるということです。
    なんのために遺すかといえば、国内を統一国家として固めるためです。
    そこに、いま、古事記をあらためて学ぶ意義があります。

    そしてここまで配慮して記された古事記であれば、古事記の記述を離れて、あれこれと何が書かれているのかを想像をたくましくするのではなく、まずは古事記に何が書かれているのかを、きちんと学ぶことが大切と思います。

    ちなみに天宇受売神(あめのうずめ)は、天の石屋戸(あめのいわやと)の前でダンスを踊った神様として有名で、なかにはあたかも天宇受売がヌードダンスをしたかのように卑猥な妄想をたくましくしているものもあるようです。

    しかし古事記の原文を読むと、そこには「裳(も)の緖(お)を番登(ほと)におしたれつ」と記述されています。
    裳の緒紐(おひも)というのは、袴(はかま)の腰紐のことで、それを古事記は「前に垂らした」と書いてあるだけのことです。
    それをヌードダンスのように描写するのは、天宇受売神に失礼というものです。

    そもそも「天宇受売神(あめのうずめ)」という名は、見ればわかりますが「天の声を受け売りする女性神」というお名前です。
    神様のお名前というのは、それぞれの神様の特徴を表しているものですが、この場合天宇受売神は、天の声、すなわち天照大御神の声を皆に取次ぎ、また皆の声を天照大御神に取り次ぐ役割の女性を意味するお名前です。
    つまり、天照大御神の近習中の近習であり、後世でいうなら天皇付きの女官の最高位にあるお方ということになります。
    そうした女性神に対して、裸踊りの妄想をするのは、個人でするのは勝手ですが、あまりよろしいこととはいえません。

    古事記神話を、歴史として読む読み方にも、残念ながらあまり賛成はできません。
    そこに書かれていることは、私も実際に過去にあったなんらかの事実がもとになっているとは思いますが、歴史というのは、ひとつの方向に流れる時間軸に沿って因果関係を明らかにするものです。
    神話の場合、たとえば天照大御神のお言葉は、天照大御神が最高神であるがゆえに、時間軸を超越したお言葉として描かれています。

    たとえば天照大御神が「中つ国は我が御子の知らす国である」とおおせになれば、それは「これからそのようにする」とか、「そうしなければならない」とか、「そのようにすべきだ」などというものではなくて、それは結果であって、願望でもなければ、希望でもないのです。
    すこしわかりにくいことですが、時空を超越するということはそういうことです。
    時間軸がひとつの方向に流れずに、全時間が包含されるのです。
    従ってここでは「ひとつの方向にのみ流れる時間」という我々の常識は通用しません。

    手塚治虫はこのことを、
    「過去はこれから起こる未来であり、
     未来はこれか起こる過去である」
    と表現しましたが、まさにそうした現代の最先端物理学になってはじめて明らかにされた世界観をもって記述されたとしかいえない記述が古事記にはあったりします。

    このことを古事記は古い大和言葉で「シラス」と読んでいます。
    漢字では「知(しらす)」と書きます。
    そしてこの「知」が、現代用語にしたら「示し」を意味するということは、先日書かせていただきました。
    大和言葉はもともと一字一音一義であり、「しらす」は
    「し」=示す、
    「ら」=道ないし大勢の人々(=等(ら))
    「す」=進むこと
    すなわち「しらす」とは「大勢の人々に道を示すこと」です。

    このことは、日本型リーダーとはどのようなことかを教えてくれます。
    リーダーは、普通の人間ですから、もちろん天照大御神のように時空を超越することなどできません。
    けれど、リーダーにとって大切なことは、みんなが進むべき道を示すことだと古事記は言うのです。

    進むべき道が示されて、戦略も戦術も生まれます。
    たとえば、「日本は自尊独立を保つのだ」という道が示されれば、そのために具体的な戦略が必要となり、その戦略を実現するための戦術が工夫されます。

    会社の社長が「売上を倍にするのだ」と道を示せば、それを実現するために各部が総力をあげて戦略を練り、その戦略に基づく戦術がつくられ、行動が起こります。
    けれど示された道がないなら、ただマニュアルどおりにしか動かない組織におちいってしまいます。

    大手メーカーの固形石鹸は、昔ながらの石鹸から、グリセリンを抜くことで、石鹸のコストを下げ、同時に抜いたグリセリンを化粧水として商品化することで売上を伸ばしました。
    こうすると、石鹸で洗ったときに肌の水分が奪われて、洗ったあとがパリパリになります。
    そのあとにグリセリン入の化粧水を使うと、お肌がツルツルになった感じがします。
    けれどもともとは、固形石鹸だけで汚れ落としとツルツル感を出すことができていたものです。

    我々の世代が社会人となった頃は、まだ戦前戦中派の経営陣がいて、会社の目的は「世のため人のために尽くすことだ」という考え方が強い時代でした。
    けれど、新人類と呼ばれた我々の世代は、そうした経営陣を「時代遅れ」と評し、こうした方が儲かるという、儲けだけを優先して企業利益を上げることを提案し、それらを実現して会社の業績を伸ばすための努力をしてきました。
    これによって企業は、どの業界も大きく業績を伸ばしてきたのですが、要するにトップの「示し」が揺れてしまうと、企業利益優先を優先するためには、世の中の人々に誤った誘導を与えても構わないという企業の身勝手が横行するようになります。
    つまり「世のため人のため俺のため」という価値観が台頭するわけです。

    そして「示し」がそのような経済性だけになれば、大手であるほど利益はあがりますが、社会的正義感は失われて行きます。
    そして国も企業も、近年では労働力を確保し、安く使うために外国人労働者を受け入れようという発想や、あるいは観光地の活性化のためにChineseを誘導しようという動きになりました。
    その結果が、果たして「世のため人のため、未来の日本のため」になるのかどうか。

    つまりようやくいま、日本はこれまでの戦後的価値観とは異なる、まったく新たな(そして古い時代の)日本的価値観を取り戻さなければならない時代になっています。
    そしてその道が示されることが待たれるようになってきているといえます。

    こうした学びが、日本神話には数多く登場します。
    そこをしっかりと学んでいくことが大事なのではないかと思うのです。

    こうした神話が描く物語について、「実際はこうだったのだ」という説を唱える方もおいでになります。
    実に興味深いことですが、その時代に行って見てきたわけではないので、私には実際のところはわかりません。
    わからないから、興味や関心はありますが、なんともいえません。

    たいせつなことは、天武天皇の勅にはじまり、30年の歳月をかけて調査し、元明天皇に献上された、当時の知識人たちがある意味総力をあげて編纂した古事記が、私達に何を伝えようとしているのか。
    まずは、そのことを、しっかりと読み込み、学ばせていただく。

    天武天皇の勅にはじまり、30年の歳月をかけて調査し、元明天皇に献上された、当時の知識人たちがある意味総力をあげて編纂した古事記が、私達に何を伝えようとしているのか。
    まずは、そのことを、しっかりと読み込み、学ばせていただく。
    そういうことこそが、科学的な古事記の読み方といえるのではないかと思います。
    そして、それこそがいま一番必要とされている大人としての古事記の読み方、学び方なのではないかと思います。

    お読みいただき、ありがとうございました。


    「大和心を語るねずさんのひとりごと」ブログより転載
    http://nezu621.blog7.fc2.com/

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