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地域のレベルだけでなく、金の切れ目、家族の助けの切れ目が医療の質を変えるいう悲しい現実

ある患者さんの話です。軽い認知症があり、周りに家族はおらず、面倒を見てくれる人間もいません。それでも普通に今まで一人でしっかり働き、贅沢はしていませんが頑張って生きてきたある高齢の女性で生活保護ではありません。このような人は今ではどこにでもいそうです。

悲しいかなこの女性の調子が急に悪くなりかかりつけ医に行きました。一月前から両下肢が浮腫んでいるため歩くことが困難になったためですが、食事も取れるしそこまで全身状態は悪くありません。

かかりつけ医から紹介を受け大きな病院で診断すると、腹部に巨大な腫瘤を認め、画像上では悪性リンパ腫の可能性が示唆されました。そう確定診断ではありませんが患者さんは血液疾患の可能性がありました。

しかし担当した医師は、高齢、認知症、身寄りがない、腹部の腫瘤はがんだったら末期と判断し、血液内科にみせるでもなく、本人に正しい説明も行わず後方病院への転送を指示しました。患者さんは抗がん剤治療を受けることができない病院へ送られ詳しい情報はほとんどないまま数日で急変しお亡くなりになりました。

憤ります。以前も精密検査を行わず日本の病院で末期と診断され、台湾で正しい診断治療を受けた悪性リンパ腫の患者の話を聞いたことがあるのですが、これが今の日本のある地域における医療の現状です。血液内科の特殊性ですが、地域によっては正しい治療を受けれないこのような事例がたくさんあります。

では最初の病院でしっかり診断、治療を行い、ちゃんと治療をすることがよかったのでしょうか。介護してくれる人間もいないのによくなった後のフォローは?、そして医療費は?そんなこんなで最初の病院は後方病院に送ったのでしょうか。少なくとも病院だけでは完結できません。行政を巻き込まなければいけません。ある意味それが面倒くさかったのかもしれません。

憤った後、自分がこの最初の病院勤務だったらどうしただろうと考えると、正直あまりに多い医学以外の仕事量を想像して嫌気がしました。これを病院事務にふってもちゃんとやってくれるのか?、これを行政にふってもどこまで親身になってくれるのか?、そしてその手続きが済むまでこのかたを安心して治療できるのか?。

悪性リンパ腫と普通のがんは違います。末期とみえる状態でも抗がん剤でかなりの割合が寛解に入り、状況によっては半分以上が治癒する疾患です。それなのにそのチャンスも与えず末期と診断し、そして患者が認知だからと病状を伝えず、行政含め周りを巻き込む努力をしないで、さっさとめんどくさい症例を後方に送るだけの病院。こんなことをやる今の日本の医療はある意味最低です。でも多分病院に余裕がないんだろうと感じます。

高齢者医療、社会的医療は本当簡単なものではありません。怒れば済む問題ではありません。でももっと何かできると思うんだけどな。


「中村ゆきつぐのブログ」より転載
http://blog.livedoor.jp/dannapapa/

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