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これから米朝戦争へ向かう

■狡猾な北朝鮮

 2017年の北朝鮮は核弾頭でアメリカと世界を恫喝した。だが2018年の北朝鮮は非核化を選んだ。同年6月12日に米朝首脳会談が行われ、世界は北朝鮮が非核化をすると思い込んだ。

 その後の北朝鮮は実験施設を破壊するだけで、核弾頭と弾道ミサイルの生産工場は破壊していない。この状況からトランプ大統領は、北朝鮮への経済制裁を1年間延長した様だ。

■本気度を探るアメリカ

 北朝鮮が真に非核化を選ぶならば、最初に破壊するのは核弾頭と弾道ミサイルの生産工場だ。生産工場を破壊すれば核弾頭と弾道ミサイルは北朝鮮では入手できない。

 北朝鮮は外国から核弾頭と弾道ミサイルを買うことは可能だが、北朝鮮が非核化を真に選ぶならば生産工場を破壊するはずだ。

 ところが、北朝鮮が破壊するのは実験施設のみ。これでは核弾頭と弾道ミサイルは生産能力を維持していることになる。北朝鮮は実験施設を破壊することで、トランプ大統領が譲歩することを狙っている。

 しかし、トランプ大統領は北朝鮮に不信感を持ったようで、北朝鮮への経済制裁を1年間延長することを公言した。さらにアメリカ国防総省は、北朝鮮に非核化の具体的な内容と予定表を提示すると発表。

 国防総省は北朝鮮の本気度を探り出した。北朝鮮の実験施設破壊をパフォーマンスだと疑いを持てば、不信感が強まり、北朝鮮の本気度を探るのは自然の流れである。

 北朝鮮が本気で非核化を選ぶならば、積極的に非核化の予定表を出すはずだが、アメリカが要求しなければ話が進まないとなれば、北朝鮮は最初から時間稼ぎをしていることになる。

■国家の戦争目的

 国家の戦争目的は全面戦争・限定戦争・制限戦争の3タイプが存在する。

戦争目的
全面戦争(All-out war) :交戦国の政権を否定する
限定戦争(Limited war) :戦争目的が限定されている戦闘と交渉
制限戦争(controlled war):政治が軍事に介入する

 全面戦争は相手国の消滅が目的。これは国内で国家主権を奪い合う国内戦争で使われる。国家間の戦争で多いのは限定戦争。これは政治の延長であり、戦争も政治の一つ。

 厄介なのは制限戦争。制限戦争は第二次世界大戦後のアメリカで採用される戦争目的だ。

制限戦争論:キッシンジャー(アメリカ)

 「交渉と戦闘は段階的に推進すべき。戦略の目的は敵政治意思の譲歩であって敵軍の撃破ではない」

■制限戦争を採用したと思われるトランプ大統領

 トランプ大統領は制限戦争を採用していると思われる。トランプ大統領が北朝鮮相手に全面戦争を選んだ場合は、北朝鮮が核弾頭で威嚇した段階で北朝鮮に対して開戦しているはず。

 トランプ大統領が限定戦争を採用していたならば、空母艦隊を朝鮮半島に集結させる。次に北朝鮮の政治施設と軍事施設を空爆する。

国家戦略=外交×軍事

 なぜなら軍事力を背景に外交を行うのが国際社会。軍事力を失えば北朝鮮が外交力を失う。これで北朝鮮は強制的にアメリカと交渉するのだ。

 だが、トランプ大統領の北朝鮮への対応は段階的だった。トランプ大統領は北朝鮮の政治的譲歩を求め、軍事力を段階的に高めるだけだった。さらに北朝鮮が非核化を公言すると、トランプ大統領の圧力も段階的に下げられている。

 これらのことから、トランプ大統領は制限戦争を採用していると言える。

■新たな睨み合いから米朝戦争へ向かう

 北朝鮮は非核化を選んだことでトランプ大統領も圧力を段階的に下げた。だが、北朝鮮は非核化を時間稼ぎに使っている。これにアメリカは不信感を持ち、アメリカから北朝鮮に向けて段階的に要求が高まることは明らかだ。

第一段階:在韓米軍演習再開・威嚇
第二段階:空母艦隊の朝鮮半島移動・恫喝
第三段階:北朝鮮への空爆・懲罰
第四段階:開戦

 今後のアメリカは、北朝鮮の対応に合わせて段階的に圧力を高める。なぜなら制限戦争は段階的に圧力が高まるから。このため北朝鮮が本気ではないと判断すれば、第一段階として在韓米軍軍事演習を再開する。

 北朝鮮が非核化を盾に時間稼ぎをするならば、アメリカは第二段階として朝鮮半島に空母艦隊を移動させる。これでも北朝鮮が政治的譲歩をしないならば、アメリカは第三段階として北朝鮮へ空爆すると思われる。

■米朝戦争は突然始まらない

 米朝戦争は突然始まるものではない。空母艦隊が北朝鮮を空爆することは直ぐにできる。これは懲罰目的だから、空母艦隊が保有する精密誘導弾で実行可能。

 だが、北朝鮮との戦争には準備が必要だ。戦争が始まると1日で10万トン以上の物資を消費する。これに対応するためには、戦争準備として日本・グアム・ハワイに燃料・弾薬・医薬品・食料などが集積される。

 これらは隠すことができない物資の移動と集積である。しかも戦争準備に半年間は必要だから、物資の移動と集積は米朝戦争の予兆になる。

■北朝鮮の対応次第

 北朝鮮とアメリカは新たな睨み合いをしている。前回は戦争回避が目的で軍事的圧力は段階的に下げられた。しかし、今回は軍事的圧力が段階的に高まる流れだ。

 北朝鮮の対応次第で段階的に戦争へ至る。これは早いか遅いかの違いだけ。日本も米朝戦争に巻き込まれるが、拉致被害者を救出できるチャンスを得られる。日本としてはアメリカを支持する方が得策と言える。

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