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文部科学省幹部の逮捕は何を予言しているのだろう

 文部科学大臣や文科省の幹部は、国民への信頼回復に取り組むと発言している。今年の夏に文科省の局長クラスが2名、立て続けて逮捕された。先に逮捕されたのは元学術政策局長の佐野太容疑者で、東京医科大学に私大支援事業の選定で便宜を図る代わりに見返りに息子を裏口入学させたというものだった。次に逮捕された国際統括官の川端和明氏の容疑は、約140万円相当の飲食接待である。これらの逮捕に対してメディアは左右ともに文部科学省が腐敗しているかのごとく報道した。昨今の大臣や次官が「国民への信頼回復に向けて取り組む」といった趣旨の発言は、その意味で正しい。

 しかし、そのために一体何ができるというのだろう。私は、そもそも「文部科学省が昨今腐敗したために幹部が逮捕された」などとは全く思っていない。佐野太容疑者が受け取ったとされている賄賂は「我が子の大学合格」である。「不正入学が賄賂である」のであれば、検察は男女で合格ラインを不正に替えていた私立医大関係者などに対して徹底的に犯罪調査を実施すべきである。また、川添和明容疑者が受けていた飲食接待は複数回と言われているので、一度の接待は数十万円に過ぎなかったはずである。文教部門でこの額の接待は珍しいかもしれないが、建設部門など巨大な予算が動く分野では、その程度の接待は決して珍しいことではなかった。

 文部科学省を庇うつもりはない。検察が文部官僚を逮捕したことを非難するつもりもない。しかし、少なくとも「このような不正は、かつて昭和の時代には多くの省庁で行われていていた。昨今正されつつあるが、文部科学省は、昭和時代と変わらずに幹部達が堂々と不正をしていたので、検察が動いたのである」といった表明を、内閣か、法務省か、政権政党がすべきではなかったのではないだろうか。

 ある時代に捕まらなかった「不正」が、次の時代に捕まる「不正」になることは珍しくない。現在のところ、現金をもらわず贅沢な店で接待されたて逮捕されるのは省庁幹部や地方自治体幹部など公務員だけだが法律はそうではない。会社法967条は、「次に掲げる者(発起人、取締役、会計参与、監査役、執行役など)が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処する」と規定している。

 大企業の幹部が私立大学と取引をした際に、点数が足りない息子の合格を要求したら逮捕される。そんな時代が来るかもしれないと、文部官僚の逮捕は予言しているのである。

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