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東京医科大またもや不正発覚!「暗黙の了解」で減点する詐欺受験

 将来の日本の医学界を担っていく医師を育成する医科大学。毎年多くの受験生が受験を試みますが、浪人生も少なくないほど難関です。その中でも合格した受験生はこれまでの努力が実り、夢への第一歩を踏み出せたと大いに喜ぶことでしょう。また、不合格だった受験生も諦めずにまた次年度のために努力を続けることでしょう。

 しかし、受験生のこうした努力や喜びをないがしろにし、あざ笑うが如くの所業が発覚しました。元文部科学省科学技術・学術政策局長が息子を不正合格させたことで、東京医科大学の調査が続けられていましたが、その過程で新たに、一般入試で女子受験生の合格者数を抑制していたことが判明。「日本の医大が性差別をしている」と、国内だけでなく世界を驚かせる報道となりました。

医師不足を恐れ、意図的な減点を続けてきた

 女子受験者への不正が行われたのは2011年以降のこと。東京医学大学医学部部医学科の一般入試の合格者数が2010年に女子が全体の4割弱に達したため、「女子は3割以内に抑えるべきだ」として、翌年以降、男子優遇の措置が取られてきたといいます。

 同大の入試は、主にマークシート方式の1次試験と、面接と小論文が課せられる2次試験があり、それぞれ通過者を決定します。毎年の入試の1次試験で女子の点を一律に減点しており、小論文と面接で実施される2次試験で男子の小論文の点数を加点したりしていたようです。女子の合格者を3割以内に収める背景には、女性医師が出産や育児てで離職することが多く、医師が不足する恐れを防ぐためという目的があったとみられています。読売新聞が同大の関係者に取材をしたところ、「いわば必要悪。暗黙の了解だった」として、差別意識や良心の呵責なく、女子の合格者数を意図的に減らしていたことを認めました。

 この問題を受けて8月3日には約100人の女性が同大前で抗議を行い、「女性差別を許さない」、「大学入試を公正にやれ」と書かれた紙を手に、「説明しろ」、「許さない」と声を上げました。しかし、声を上げていたのは受験生ではなく、共産党前議員らのフェミニスト集団で、当事者ではない人たちが、受験時の公平さよりも男性の地位を貶めることを目的に抗議していた様子。

 この抗議の様子に対してSNS上では、「こういう当事者でもないのに邪魔なところにいてキーキー騒ぐのが好きな人たちのせいで女性全体の評価が下がるだけだと思うので、やめてほしいです」という声も上がっています。抗議をしている人達に対しても批判の声は上がっていますが、女子受験生の減点についても批判の声が相次いでいます。

 「数年分くらいなら試験結果を溯って、女性の希望者には追加で合格を出すべきじゃないだろうか。訴訟沙汰になってもおかしくない」
 「この大学はこの7年間で落とした女子受験生に賠償金払って、そのまま廃校させろと思う」
 「かわいげだの愛嬌だので評価されたくないから勉強がんばる女性、たくさんいると思う。試験の点数で評価されるのがもっともフェアだと信じていたのに」

 反面、同大のやり方を擁護するわけではないが、女性の合格者の割合を抑える行為は性差別ではないという意見もあります。特に報道番組で女医の西川史子さんが語った内容のインパクトが強く、物議をかもしているようです。

 「当たり前ですこれは。(医科大に限らず)全部がそうですよ。上から採っていったら女性ばかりになってしまうんですよ。女の子の方が優秀なんで。だから眼科医と皮膚科医だらけになってしまうんですよ、世の中が。重たい人の股関節脱臼を背負えるかといったら女性は無理なんですよ。外科医は少ない。やっぱり外科医になってくれるような男手が必要なんですよ。お腹が大きくては、手術はできないんです。だからやっぱり女性と男性の比率は考えておかなければいけないんです」

 科によって「少ない、多い」があり、男女で採用比率を考えなければならないため、女性受験生の一律減点は「ある程度仕方ないのではないか」と持論を展開した西川さん。これに対してネット上では、「分野において男女できることできないことがある。私大なんて、その個人の素性や寄付金額により合否に差が出るのは、理不尽だとは思うが学校運営の方針としてある。嫌じゃ国立を目指すしかない 」、「勉強が出来ることと、良い医師になることは、イコールではありません。これ以上、女性医師が増えると、診療科として成り立たない診療科が出て来ます。ある程度の性別による入学制限は必要と思います」と称賛する声も。

 一方で、「成績だけで医学部入試を行うと、世の中、皮膚科と眼科だけになってしまうと。医師の勤務状態が激務の現状を当然としている。原因と結果を所与の関係でしか捉えられないアホ発言」、「西川さんの意見もひとつだけど、現役女医の意見はやっぱりだいぶ上からになってしまうな。そこ、自分は突破したから。入試の時点で女性だけ一律減点はないでしょ。大学の入試だよ?」と批判の声も上がっています。

「女性の社会進出への壁」はまだまだ分厚い

 東京医大の問題については様々意見が分かれるところではありますが、受験生に対して男女の合格者の比率を打ち出しておらず、男女平等に公平な基準で受験できると思わせておきながら事実は違うという点は批判すべき点です。6万円という安くない受験料、医師になるため勉学に打ち込んできた受験生の時間、等々を考えれば詐欺に等しい行為です。

 しかし、西川さんの言うように男女で役割が異なり、男性の医師も増やさなければ医師不足になる恐れも考慮すると、男女で合格の比率を区別する必要性はあると思います。現在取るべき手段としては男性の方を多く合格させ、女性を抑えるということは必要でしょうが、そうせざるを得ない日本社会に根付いている「女性の社会進出への壁」を取っ払っていくことが何よりも大切ではないでしょうか。

 安倍首相がここ数年打ち出している経済政策では、職場への女性参加は日本の重要課題となっており、この報道は全国的にも反響を呼んでいます。日本における女性参加の割合は歴史的に低く、専門職では特に低いとされており、ある研究は、日本の国会議員や幹部公務員、管理職のうち、女性はわずか12.4%との結果を示しています。女性として出産し、子育てをするという大事な役割を全うしつつ、医師や国会議員、管理職など社会で重要な役割を担う仕事と両立することは難しいと日本人の大半が思っていることでしょう。

 男女で役割が違うことは認めますが、男性が外で働いて、女性が家庭を守るという構図は時代遅れと言わざるを得ません。近年では専業主婦より共働きで働きに出る女性が増えたように感じますが、専業主婦はまだ身近にも多くいますし、私なりの感覚では半々か、専業主婦の方が多いように感じられます。子育てに関しては女性が主に責任を持って行う方が子供にとっては良いと私は思いますが、子どもが乳幼児期に母と子の信頼関係ができていれば父が子育ての責任者になって、母が外に働きに行くという構図でも家庭は成り立つように思われます。

 また、母が働きに出たい場合、父だけでなく、祖父母の力も借りられればできることでしょう。私の場合は、私が小学1年生、弟と妹が保育園に通っていた幼少期に、母が1年間海外出張に行っており、父と父方の祖父母と一緒に生活していました。私含め、弟妹も特に寂しがる様子もなく、母のいない1年間はそれなりに楽しく過ごしていました。むしろ周囲の可愛そうという目線が一番つらかったのを覚えています。母が子育てを行い、父が仕事に専念するという構図は日本社会に根付きすぎて、それが当然だとされてきました。現代では共働きが当然とされてはいますが、女性が出産後、職場復帰する難しさは言われており、子育てで長期間休みを取ることが会社としては許されていても他の社員がそれを認められず、出産したらすぐに保育園に預けるか、退社するかを余儀なくされます。

 こういった「女性の社会進出への壁」は、医師や専門職だとなおさら超えるのが難しいでしょう。東京医科大の不正には呆れますが、女医が離職せざるを得ない日本社会の背景に問題があることをはっきりと浮き彫りにさせてくれました。今後、安倍政権はどのようにして女性の社会進出を掲げて政策を取ってくれるのでしょうか。「女性の社会進出への壁」を壊すにはまだまだ時間がかかりそうです。能力のある女性が社会で活躍できるためにはまず身近な家族や夫の協力が不可欠でしょう。その協力を得られる人からどんどん社会に出て、出産もし、育児もしていき、仕事と家庭を両立できることが当然だと言える社会になっていってもらいたいものです。

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