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憲法と法律の適用範囲を知らない日本人へ

■日本人の現状

 私見では多くの日本人は、憲法と法律の適用範囲を間違えている様に感じます。憲法と法律は国内限定なのに、外交や国外にまで適用して考える人が多いのです。アメリカが時として法律論で外交を行い、法律論で経済制裁を行います。イランがホルムズ海峡封鎖を仄めかすと、アメリカは法律論で対抗。するとイランも法律論で対抗しました。

 この様なニュースを見ると、法律論は国外でも使えると誤認します。アメリカとイランは、意図的に法律論を使っています。国際社会では先に軍隊を用いて戦争を始めると悪の国にされます。これは今の平和を否定する行為だから、悪の国にされるのです。

 アメリカとイランはそのことを知っているので、意図的に法律論で相手国を挑発しました。何故なら、自国の法律を相手国に適用することは、相手国の国家主権を否定する行為だからです。これは間接的な戦争で、相手国を怒らせて相手国から戦争を始めさせる古典的な策です。国際社会ではこの様な間接的な戦争が行われているので、法律論の適用範囲と意味を知らないと失敗します。

■憲法と法律は国内限定

 憲法と法律は国内限定であり、国家主権でも国内三権(行政・立法・司法)に影響します。行政府の下で法律は立法府で作られます。立法府で作られた法律は司法府で使われます。司法が適用されるのは国内限定で、外国には適用しません。

 では自国の法律を外国に適用するとどうなるのか? 自国の法律を外国に適用すると、相手国の司法を否定することになります。司法が使う法律は立法で作られるので、相手国の立法を否定します。立法は行政の下で動くから、相手国の行政を否定することになるのです。

 この様に自国の法律を外国に適用すると、相手国の行政・立法・司法を否定するので、相手国の国家主権を否定するのです。つまり、「お前の国は独立国家ではない、国民は無人権だ!」と言う様なものです。このため国際社会では、相手国を意図的に怒らせる時に使うのです。

■軍政と軍令

 アメリカ以外の国は基本的に軍政と軍令のバランスで動いています。国王(政治家)は軍政を担当し、軍人が軍令を担当する様に権力の分散を行いました。これは国家規模が大きくなると、国王一人では国内政治と外国との戦争に対応できないからです。そこで国王は皇太子を代理人として軍隊を与えて外国と戦争させました。国王は軍政を持ち、代理人である皇太子は軍隊を運用する軍令を担当したのです。

軍政:宣戦布告・停戦・休戦・国軍に戦争の政治目的を付与する。
軍令:軍隊の組織と運用は経験則に従い原則として自由。

軍政:法の枠内の話。
軍令:憲法・法律などの法外の話。

国防大臣:軍政の補佐
参謀総長:軍政に適した作戦戦力・作戦期間・戦域設定としての軍令の補佐
(元陸将補 松村劭 提供)

 軍政は軍隊に戦争目的を与え、宣戦布告などを扱います。憲法や法律は国内限定で、国家や軍隊が動きやすくすることが目的です。軍令は外国での活動を目的としているから、憲法と法律の適用外の世界です。

■宣戦布告と講和条約には憲法との関りは無い

 外国との戦争は外交二権である外交と軍事の世界です。しかも外国との戦争だから、憲法と法律は適用されません。戦争状態だから勝つか負けるかの強弱論の世界。法律は国内の治安維持が目的で、犯罪者を取り締まる善悪論の世界です。

 国外では強弱論だから、戦争に勝つか負けるか。戦争に勝てば正義だから、国際社会の平和は戦勝国に都合が良いルールです。敗戦国は戦勝国の平和を受け入れるから、憲法も法律も関与できない世界です。

■憲法への記述態度

 憲法で天皇の御地位を記述するには注意が必要です。憲法で国家体制である天皇制(政治制度)を記述する必要は有りますが、天皇の御地位を憲法で規定することはできません。アメリカ型憲法では国家の権威は憲法。だからアメリカ型憲法は大統領の地位を規定します。

アメリカ型憲法
権威:憲法
権力:大統領

日本型憲法
権威:天皇陛下
権力:首相・法律・憲法

 それに対して日本の天皇陛下は日本の権威。憲法は下位の存在だから。天皇陛下の裁可を受けて憲法は効力を持ちます。だから憲法前文で、「天皇の裁可を受けて憲法を制定する」記述態度になります。

 日本では天皇制は左翼用語だとされていますが、天皇制は国家体制を示す言葉なので左翼用語ではありません。大統領がいれば大統領制、国王がいれば王政の様に、日本では天皇陛下がおられるので天皇制なのです。

 憲法で自衛隊を記述するのは良いとして、問題になるのは記述態度です。憲法前文で「栄光の日本」「日本の栄光」を記述するのは良いのですが、国防を縛る様な記述はできません。軍令は憲法・法律の外だから、軍隊の組織と運用は経験則に従い原則として自由なのです。

 具体的に自衛隊が動く行為を記述すれば、自衛隊は有事の際に動けません。だから憲法前文は松村劭様(軍事評論家)によれば、「日本国家は国防軍を保有し内閣総理大臣が軍政を発動し、軍隊に対して目的を達成するために運用させる。国外における国防軍の軍令は憲法と法律の外である」記述態度になります。

■アメリカ型ではなく日本型で見ること

 日本の憲法なのだから、日本型で見るべきなのです。アメリカ型で見れば権威は憲法になり、憲法が天皇陛下の御地位を規定します。これは革命行為になるから、日本ではしてはならない記述態度です。

 日本の憲法観であれば、十七条憲法の様な記述態度が好ましいと思います。さらに神話である古事記を根拠とした記述態度です。何故なら神話である古事記には、日本人らしさが記述されているからです。

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