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救助を求める被災者へSNSで情報拡散、その時議員は「宴会・観光」のツイート

 7月7日は、年に1度、織姫と彦星が再開できる七夕の日。毎年雨が降るか、曇って天の川がよく見えない印象で、ロマンチックさに欠けるなあと思っていましたが、今年はそんなぼうっとした考えは脳内から消し去られました。活発な梅雨前線による記録的な豪雨により、西日本の各地で、土砂崩れや河川が氾濫。家々の屋根が川の中から見えるほど浸水した画像、幼い子どもや老人が全身ずぶ濡れになって自衛隊から救助され、ボートに乗って川を渡る映像など、テレビの報道や新聞で見た光景に愕然としました。

 7月10日の時点では、死者135人、行方不明64人にまでのぼり、“平成最悪の被害”とされています。懸命に救助活動が続けられていますが、日に日に増えていく人数に胸が締め付けられる思いです。避難勧告が出されたのは日がとっぷり沈んだ夜で、大雨で暗い中の避難は困難だったことでしょう。避難できず取り残された方々も多く、シーツやタオルなどでSOSサインを送って助けを求め続けたという方も。また、お年寄りが取り残されているのを見て、SNSを通して代わりに助けを求めたり、情報を提供したり、拡散したりできました。災害の時こそ活用できるSNS。今1度有事の際のSNSの活用について考えていきたいと思います。

SNSで拡散される救助、救援の情報

 熊本地震や過去の震災時などには、SNSを使っていたずらに嘘の情報が流れ、混乱を招いたこともありました。SNSでの情報が必ずしも正しいとは限らず、災害時の情報提供は発信方法が問われています。しかし、西日本豪雨では市民ベースでも洗練された情報提供が行われていました。

 例えば、マッピング。給水所、炊き出し、入浴施設といった支援や施設は必要となるものですが、どこで支援が行われているのか、施設は開いているのかなど、いざ利用しようとしたところで把握できないことも多くあります。開いている施設や支援場所の近くにいない人のために、多数の単発の情報をグーグルマップなどの地図上にまとめるマッピングを行い、SNSに投稿されることもありました。給水所のマップを道府県ごとにまとめて発信している人もいました。

 個人だけでなく企業でも独自にマッピングをサービス化し、情報提供をしていました。例えばトヨタでは「通れた道マップ」というものを公開しており、直近の3時間(または24時間)で実際に通行できた道を示しているほか、通行止めや渋滞の情報も提供しています。グーグルも災害情報マップを提供しており、災害情報ページの中で交通状況を表示してくれています。

 また、SNSと同時にWebサービスも活用されています。給水所や交通の情報の他に、フェイスブック上で「支援コミュニティ」が早々に立ち上がって情報共有が行われています。例えば、温浴施設の関連情報を得たい場合、それに関する施設の住所や、浴槽だけでシャワーは使えないためシャンプーはできないといった具体的な情報などが共有され、見やすいようにまとめられています。更には集まった情報を体系立てて一覧のドキュメント化にもしているので、被災者に必要な情報を素早く共有することができます。災害後に素早く必要な情報を共有してまとめることができるのはWebの強みでしょう。

 ただ、情報が細かく、溢れかえり、情報の多さから何を見ればいいのか分からなくなるという状況が生じているようです。そのため、上記で紹介したような「情報を体系立てて発信するプラットフォーム」が重要となってきます。実際に被災した方でこの情報を活用した方は、「雑多な多くの情報を体系化して、その上で最も重要で伝えるべき部分を切り出して提供する。それが今後の災害時のWebやSNSの活用で効果的な方法なんだと感じさせられた。過去の災害時にも当然こうした動きはあったのだろうが、より迅速にこうした情報がまとめられるようになっているのでは、と感じている」と述べています。

 また、ツイッターを使った救助について報道番組で紹介されていました。7日の午前7時30分頃、倉敷・真備町に住む祖父と祖母から助けを求める電話があり、ツイッターで救助を求めたそうです。SOSとして書いた内容は住所と現在の状況。そこに県名、SOS、拡散希望などのハッシュタグをつけ、状況がわかるように写真を載せました。ツイッターを見た人が岡山県知事など関係各所に救助の要請をし、午後4時頃ボランティアのボートで救助。救助された時は、水が腰より上までになっており、このツイートによって無事に助かったということです。

 このようにツイッターでSOSを発信することが相次ぎ、倉敷市の公式ツイッターは救助を求める投稿に「消防局に要請をしました。安全な場所で救助を待ってください」と返信。応援でかけつけた名古屋市消防局も公式ツイッターで「不安な気持ちでいっぱいだと思いますが、救助はすぐ側まで来ています。必ずあなたを助けます」と投稿。救助を求める側からの一方通行ではなく、双方向のやり取りができていたことは救助を待つ側にとってみれば目に見える救いの光だったのではないでしょうか。

 このようにSNSを通して逃げ遅れた人々が助かったり、避難後の必要な情報を取得できたりしました。災害時のSNSの活用をもっと体系化して、災害時専用のSNSができればもっと効率よくなるかもしれません。

物議をかもし出す議員の呆れたツイッター投稿

 災害時に役立つSNSですが、ある議員の投稿が物議を醸し出しています。豪雨の影響で、降りしきる雨の中、避難を余儀なくされる人、救助を待つ人が暗闇の中で不安に怯えている頃、片山さつき議員が、若手議員と安倍首相の親睦会についてツイッターに投稿。

 「今日は27回目の #赤坂自民亭@議員宿舎会議室、若手議員との交流の場ですが、#安倍総理 初のご参加で大変な盛り上がり!内閣からは#上川法務大臣 #小野寺防衛大臣 #吉野復興大臣 党側は #岸田政調会長 #竹下総務会長 #塩谷選対委員長、我々中間管理職は、若手と総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい!」

 7月5日の23時頃の投稿なので、東京はそんなに雨が降っておらず、西日本の広いエリアで大変なことになっていることを想像できなかったのでしょう。しかし、国のトップに何の情報もいっていないのはおかしいですし、すでに避難者も多数出ている時にSNSに投稿するのはもっとおかしいことです。

 また、岡山の自民党逢沢一郎議員の投稿には非難の声が上がっています。被災地の中でも特に甚大な被害が出た岡山県。そんな中、逢沢議員は7日に富山に出張に行き、視察ということで「べるもんた」に乗り、PRのためか観光気分のツイートを投稿。

 「JR西日本「Belles montagnes et mer~ #べるもんた ~」です。JR高岡駅です。橘慶一郎衆議院議員らと乗ってみました。べるもんたは城端線 氷見線を走ります。車窓から自然豊かな富山を満喫できます。素朴な散居村 山々を、そして美しい海外を。観光客にも好評。海外からもわざわざ。いいね」

 また、食べる物にも困る被災者がいる中、寿司の写真付きでこのような投稿がされていました。

 「7日『べるもんた』車内でお昼ご飯。『とまや鮨』。いや、実に美味しい。素晴らしい。軽井沢からわざわざ富山まで新幹線で鮨を食べに行く人が居る、という話を聞いた事がある。頷ける感じ。富山の人は、高岡の人は海の幸山の幸に恵まれている。普段から美味しいものを食べてるんですね。いいね」

 さすがにこれにはすぐさま多くの批判がされ、現在は削除されており、その1時間後に「岡山県各地の豪雨被害への対応を要請した。全力で救助救援」という内容のツイートを投稿。

 県民、国民を守るべき立場の議員がSNSを発信することの意味を分かっていないのではないでしょうか。若手議員との親睦会、視察をしてPRをすることも仕事の内でしょうが、そんなことは後からいくらでも投稿すればいいことです。地上波では放送していなくてもネット放送などでは被災地の様子を報道していました。国民でも知ることができる情報を、国を守るトップの議員たちが知らなかったはずはありません。不特定多数の人達に影響を及ぼすことのできる発信源が手元にあるため、スマホを操作して行う気楽さが気の緩みとなって「今」発信するべきでないことを投稿してしまうのでしょう。肩書のある人ほど批判が大きく、責任も大きいということを、スマホを見つめている間に忘れてしまうのでしょうか。

 SNSは誰でも簡単に不特定多数に情報を発信することができますが、発信内容によっては良くも悪くもなりえる諸刃の剣のように感じます。大勢の前で発言しなくても、スマホと自分との1対1の関係で発信できてしまうので、責任感が薄れるのでしょう。目に見えない多くの人達に向けて発言できることは便利なことですが、目に見えないからこそ想像力が必要です。災害時での活用も「もしも」を想定したり、被災者側に立って考えたり、救助する側に立って考えたり、想像力を巡らせて役立つ情報を効率よく提供することが大切です。

 今回の豪雨で、水害の恐ろしさを知りました。家の近くには川もあり、ダムもあります。氾濫すれば他人事ではありません。関東にも大きな震災がくることが予想されています。何か起きた時のことを想えば、被災地の映像はとても他人事のように見れませんでした。泥水が一向に引かない様子は、正直、東日本大震災の津波が去った後の映像より衝撃的でした。津波が来た時の映像は見ていないですが、それを見たかのようで肝が冷えました。被災地に赴いたり、支援物資を送ったりすることは自分にはできないので、LINEやYahoo! などで募金しているサイトから僅かばかりですが、支援金を送ることぐらいしかできません。早く行方不明者が見つかり、支援が行き届き、復興が進むことを祈るばかりです。

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