«
»

今大会最強のベルギーに挑むも、日本悲願の8強ならず―ロシアW杯

 ロシア・ワールドカップの決勝トーナメント、日本対ベルギー戦は延長に入るかと思われた後半アディショナルタイム、日本のコーナーキックから逆襲に転じたベルギーは、MFシャドリが決勝点を決め、その直後に試合終了の笛がなった。

 悲願のベスト8を狙った日本のロシアW杯は終了した。今大会、最強ともいわれる攻撃陣を擁し、優勝候補の一角と目されていたベルギー。日本は、その相手に果敢に挑んだ。

 前半は、予想通りベルギーのFWルカクら自慢の攻撃陣の猛攻を受けるも、それを受け流し、MF乾やFW大迫らが時折、ボクシングのジャブを打つようにベルギーゴール前に迫った。前半の戦い方は、西野朗監督の思惑通りにいったといえるだろう。ベルギーにとっては、思わぬ展開だったが、これも予想していたところがある。

 だが、ベルギーにとって予想外だったのは後半開始早々にMF原口元気(後半3分)とFW乾貴士(後半7分)と立て続けに2失点したことだった。

 ベルギーとしては予想外の展開といえただろう。とはいえ、この早い段階の2得点が皮肉にも日本にとって不幸となった。サッカー界には俗に“魔の2点”と言われるものがある。

 同じ2点でも、後半の立ち上がりと終盤、または、前半に1点を取って後半の中盤で追加点を取るという点の取り方で勝つ確率が高い。

 日本とベルギーに先立って行われたブラジル対メキシコ戦は、後半6分と同43分にブラジルが得点し2-0でベスト8に進んでいる。

 つまり1点差なら集中力を切らさずに守りつつ2点目を狙える。一方、3点差ならセーフティリードと言われている。

 前半または後半の早い段階で2点差とした場合、3点目を早い時間帯で入れないと苦しくなる。1点を返されるとその勢いのまま追加点を取られ、逆転される可能性があるのが“魔の2点”と言われる所以でもある。

 日本は、ベルギーに確実に勝てる試合だったことは間違いない。後半20分代か30分代に追加点を加え3点目を入れることができたら、ジャイアントキリング(大物食い)が起こったことは間違いない。そのチャンスはあった。しかし、それをうまく得点につなげることができなかった。

 こうした時間帯が続けば、自ずと流れはベルギーに傾く。後半24分の1失点目は、DFベルトンゲンのセンタリングのようなパスともいえるようなヘッドがそのままゴールへと吸い込まれた。ここから一気に流れはベルギーへと変わり、5分後の同点ゴールが生まれた。願わくば、この直後に日本が3点目を取れていれば流れは少し変わっただろう。しかしそうはならず、後半アディショナルタイム4分、日本のコーナーキックからの逆襲で日本は失点し、ベスト8入りはならなかった。

 ただ、これまで、6大会連続でW杯に出場し、今回を含め3回ベスト16に進出した。その度に成長してきたといえるだろう。

 初出場となったフランス大会では、初出場という余韻のなかで真の世界を体験した。 日韓大会では、トルシエ監督のもと規律と組織で挑み、ベスト16に進出し決定力に泣いた。

 ドイツ大会では、ジーコ監督のもと、一転して選手の自主性と規律を保ちながら挑んだが、精神面のもろさを露呈し失敗。

 南ア大会では、アクシデントから代表監督が岡田武監督に代わり、守備的な布陣で挑みベスト16を勝ち取った。ベスト16では相手も守備的なチームだったことからお互い決め手を欠いてPK戦の末涙をのんだ。

 ブラジル大会は、守備的ではなく果敢に挑んで勝とうとしたが何もできず、涙をのんだ。そして、今大会はブラジル大会で残した課題にもう一度挑んだとも言える。守備的ではなく攻撃的に積極的に世界に挑んでいく。

 そして、これに西野監督が予選リーグ最終戦で見せた負けを受け入れて、使えるルールを使って、ずる賢く上に登ろうとする執念だ。弱者の戦術でしたたかにベスト16へ上った。ベルギー戦では、勝つことこそできなかったが、強豪相手に果敢に攻撃的に行った。そして戦えることを世界に見せつけた。

 西野監督の情報分析から導き出された戦い方はまさに「敵を知り、己をしらば百戦危うからず」だ。

 しかし、多くの課題は残った。延長と思った瞬間の隙をつかれたアディショナルタイムの失点、3点目の取り方。試合の運び方などまだまだ学び身に付けるべき経験というものはある。

 あと日本人監督の国際経験と育成も必要不可欠だろう。今回のベルギー戦がある意味、日本のロシア大会の総決算ともえいえ、この試合を分析することで次へのステップとなる試合だったといえるだろう。乾、原口、昌子らの悔し涙は次へとつながることを期待したい。

 この試合を見た次の世代の選手たちがどのように受け止め4年後に世界と戦える日本を見せてくれるのか楽しみである。

(佐野富成)

2

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。