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“軍縮レベル以下”の自衛隊総兵力を改善すべき

総兵力は総人口の1%

 欧米軍が使う基準を用いれば、国家が保有する常備軍の総兵力は総人口の1%が限界です。理論上は総人口の20%まで可能ですが、実際にそれだけの人員を軍に採用したところ国内経済が停滞しました。これは人間を数字と見なしたため、実際の職業と社会組織の経験則を無視したことが原因です。

 国家は生産する人、運ぶ人、売る人、修理する人、管理する人など多様な職業に分かれています。だから人間を数字として見なせば、社会組織の繋がりを破壊します。欧米軍はこの経験則から、常備軍の総兵力は1%を超えない様にしています。

自衛隊の総兵力

 日本の総人口は約1億2000万人で、常備軍としての総兵力は総人口の1%とすれば、自衛隊の総兵力は約120万人ということになります。今の日本は少子高齢化社会になっているため、人口比率の要素を加えれば約80万人が自衛隊の総兵力になります。

 そして軍縮レベルの戦力は50万人になるので、自衛隊の総兵力は最大80万人から最小50万人規模に収まるのが基本です。今の自衛隊の総兵力は約24万人です。この数字は“軍縮レベル以下”であることを意味しています。

 自衛隊総兵力は50万人であるべきところ、実際は基本を無視した約24万人規模であり、これでは現場自衛官の負担が多く、1人が負傷したり辞めるだけで戦力が低下します。これが自衛隊の現実です。

問題の本質は政治家の責任

 これは自衛隊の責任ではなく政治家の責任です。日本の政治家が国際基準を知らないため、自衛隊の戦力は軍縮レベル以下なのです。

軍政:宣戦布告・停戦・休戦・国軍に戦争の政治目的を付与する。
軍令:軍隊の組織と運用は経験則に従い原則として自由。

軍政:法の枠内の話。
軍令:憲法・法律などの法外の話。

国防大臣:軍政の補佐
参謀総長:軍政に適した作戦戦力・作戦期間・戦域設定としての軍令の補佐

 自衛隊の総兵力を決めるのは軍政を担当する政治家です。自衛隊側は幕僚長が必要な総兵力を、防衛大臣に進言する程度です。何故なら自衛隊側は軍政権を持っていないからです。だから自衛隊側は、現在の状況と理想を進言する程度になります。

 政治家は軍政権を持っており、自衛隊の総兵力を決めることが出来ます。このため政治家は、自衛隊の総兵力を最大規模の80万人から最小規模の50万人の範囲で調整するのが基本となります。

基準を知らない政治家が危機の本質

 政治家は日本経済と国際情勢を見て、自衛隊の総兵力を調整しなければなりません。ですが、現実は問題外の状況です。何故なら、今の自衛隊総兵力は軍縮レベル以下だからです。このことを政治家が理解しない限り、幕僚長がいくら説明しても自衛隊総兵力は軍縮レベルの50万人にさえなりません。

 日本の政治家が現実を知らなければ、国際情勢には対応できません。日本の政治家こそが現実を知るべきなのです。

 上岡 龍次(うえおか りゅうじ) 戦争学研究家、1971年3月19日生まれ。愛媛県出身。九州東海大学大学院卒(情報工学専攻修士)。軍事評論家である元陸将補の松村劭(つとむ)氏に師事。これ以後、日本では珍しい戦争学の研究家となる。

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