«
»

勝手に移民大国にするな

 移民を受け入れるか否かはナーバスな問題だ。社会保障や治安維持にかかるコストを考えると安易な移民に反対だというのが私の立場ではあるが、日本は民主主義国家なので、堂々とした議論の上で国民の多数派がよしとするならば、それに従う覚悟はある。

 だが、国民の目を騙して役人が勝手に移民大国にすることは断じて許されるべきではない。外国人が日本で働くためには、本来、就労ビザが必要である。日本の就労ビザを取得するのは極めて困難で、研究者や大学教員、医師や弁護士、芸能人やシェフといった特定分野のスペシャリストか、あるいは大企業で企業内転勤になった社員といった面々しか取れないことになっている。だが、大都市に限らず日本中いたるところにスペシャリストや大企業社員とはとても思えない外国人が大勢見かける。これはどういったことだろう。

 就労ビザを表玄関とすれば、裏口があるのだ。日本で働くための2大裏口は、技能実習と留学である。技能実習生は、外国人が報酬を受け取りながら日本の高い技術を習得する名目で在留資格を与えられるという制度だが、人手不足に悩む業界に活用されているのは周知の事実だ。これに対して、留学生たちは、本来勉学するために来ているという建前なので、技能実習生のようにフルタイムで働くことはできない。長期休みを除いて週28時間の労働が限度とされているが、実態は複数の職場を掛け持ちして、規定時間よりも多く働く者が少なくない。都会のコンビニなどで働いている、日本語のたどたどしい若者の多くが留学生だ。

 技能実習も留学も法制度としては問題がないのだが、その運用については大いに疑問がある。法令を厳しく適用するか、多少の違反に目を瞑るかは、入国管理局の方針次第なのだ。そして、ここ数年、明らかに入国チェックが甘くなっている。また、地方では人口減少を食い止めるために、外国人の定住を政策目標とする自治体が存在する。入口の甘さと定住促進政策が相まって、ここ数年で外国人数の数が数倍になった自治体も現れた。

 ヨーロッパ諸国は多数の移民を受け入れて、現在、深刻な社会的対立が起き、その軋轢は年々酷くなるばかりだ。その反動で移民排斥を主張する右派政党が勢力を伸ばし、これに対抗するように右派政党を批判するメディアも活発だ。ヨーロッパ諸国で右派政党の主張が勝ち移民を排斥しようが、左派メディアの主張が受け入れられ移民受入政策を続けようが、デモクラシー国家として極めて健全な姿である。彼らは堂々と議論をして国の方向性を決めたのだから。

 日本では、法務省入国管理局の役人が国民の無関心を幸いに、政治的な課題にすることなく入口を広げ、自治体の役人が定住を画策している。その結果、日本への移民流入数はドイツ、アメリカ、イギリスに次いで世界第4位に躍進してしまった。何ら国民的な議論をすることなく、一部の業界の要望を役人が勝手に聞き入れて(おそらく政治家も暗躍したのだろうが)世界に冠たる移民大国になった日本。だが、彼らの社会保障費用を負担するのは、私たち日本国民が支払う税金であることを忘れてはならない。

17

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。