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「禁煙ファシズム」で小池百合子は復活する!?

 タバコ問題は、政治的な右左を問わずナーバスな問題である。とりわけ、欧米諸国が最近タバコに厳しい姿勢を取っているために、2020年東京オリンピックにかこつけて飲食店での喫煙を禁止すべきという世論が優勢になりつつある。これに見事に乗っかったのが、小池百合子東京都知事である。小池氏に政治哲学やタバコ問題に対する深い洞察があるとは思えないが、世の中の空気に乗るためには、深い考えはむしろ邪魔である。
 小池氏は、「従業員がいる飲食店は禁煙」という条例を制定する方針を打ち出した。条例案の是非はともかく、この政治的センスは天才的である。それを理解していただくために、ここに至る経緯を以下に要約する。


1 飲食店における受動喫煙については、健康増進法により防止努力の義務が規定されており、それに基づいて大規模な飲食店やフランチャイズ店では禁煙席を設ける、全店禁煙にするといった方策をとっていた。
2 一方で個人経営などの小規模飲食店は、店主の判断に任されており、ほとんど受動喫煙防止策がとられていなかった。
3 ところが、2017年に政府・自民党で2020年に向けて欧米諸国並みに、飲食店での喫煙を制限しようという動きがあり、厚生労働省案も発表されたが、自民党内の厚生労働部会で合意が得られず、この法案は日の目を見なかった。
4 その際に、30平米以下の小規模なスナック・バーには例外措置を認める方向だった。
5 2018年に入って厚生労働省から再度、例外措置の対象を拡大した(150平米以下で個人経営又は資本金5000万円以下)案も示された。


 自民党議員の後援者には、個人経営の飲食店主も少なくない。2018年に入って示された厚生労働省案は、明らかに自民党におもねったものである。ファミレスチェーンなどが全面禁煙になれば、タバコの吸える中小規模の飲食店はかえって繁盛するかもしれない。だが、この法案で厚生労働省は何を守ろうというのだろう。それは「欧米諸国からの日本の評判」と「ファミレス等で飲食する客の健康」に過ぎない。
 そこに小池都知事は「従業員を受動喫煙から守る」という大義を掲げて条例案を提示したのである。その程度には諸説あるが、受動喫煙も健康を害するのは事実だろう。喫煙が可能な飲食店では、店主も客もそれを判った上で受動喫煙を甘受している。しかし、従業員はそうではない。いくら空前の人手不足とはいえ「受動喫煙が嫌なら辞めて他の店で働け」という乱暴な議論は通用しにくい。「従業員」という錦の御旗を出されては、弱者の味方を自称する共産党はもちろん他の政党も賛成せざるを得ないだろう。しかも、東京都医師会という自民党に近い勢力まで、この条例の支持を表明している。
 おそらく、都議会において小池条例は賛成多数で通過するだろう。
 だが、本当にそれで良いのだろうか。私は、昨今の喫煙に対する過剰な敵視は、ある種のファシズムだと感じている。この流れを放っておくと、「次はアルコール」「その次は糖」「そしてカフェイン」と魔女狩りの対象が拡大する気がしてならない。


東京都が最初、喫煙者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は喫煙者ではなかったから
アルコール依存者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私はアルコール依存者ではなかったから
彼らが糖の過剰摂取や肥満を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は肥満ではなかったから
そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった


という社会にならなければ良いのだが…。

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