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本物の持つ凄さを感じることの喜び

オリンピックが面白い。

 運営は三流でも、選手は一流がそろっているので、熱戦を見れば見るほど体の血がたぎります。

 パシュートの団体戦を見ながら、身を乗り出し拳を固く握って応援していたのは私だけではないでしょう。本当にいい試合でした。

 そして金メダルおめでとう!

 カーリングの女子も昨日のインタビューで藤沢選手が冷静に淡々としゃべっていると隣で吉田選手が涙をボロボロ流して「自分がもう少しなんとかできていれば」という思いを必死でこらえていました。その時に、後ろを通ったスエーデンの選手が吉田選手の方をポンとたたいた瞬間に、吉田選手がそのスエーデンの選手に抱き着き、涙を流したシーンは、見ていたおじさんにとっては胸が熱くなる瞬間でした。

 それは必死で自分のミスのせいで自力での準決勝を逃したと自責の念に駆られている吉田選手が長年ワールドカップ等で戦い友情を温めてきたスエーデンの選手と抱き合うことにより、押し殺していた自分の感情が一気にあふれ出しているようでした。

 それだけLS北見の選手と外国の選手との交流があり、一流の選手同士での友情が生まれていることも分かったのですが、この場面はスポーツ選手らしくさわやかな一面も見れてとても心が温まりました。

 そのちょっと前には、北朝鮮の選手のショートトラックでの日本選手に対する妨害や、韓国のパシュートの女子のメンバーが置いてけぼりをしてチーム内でごたごたが報じられていましたので、国をまたいでの友情の瞬間を見たことは一服の清涼剤を飲んだようにさわやかになりました。

 そして吉田選手の表情が一転してさわやかに晴れ渡っていました。きっと今までの気持ちをふっきって準決勝ではこれまで以上に活躍することでしょう。もし、日本のカーリングでメダルをとったら、このインタビュー時のスエーデンの選手との抱擁が大きな転機なると思います。

 また昨日は九州国立博物館に王義之展を見に行きました。

 私は字が下手なので、字に全く興味がありませんが、毎回国立博物館からオープニング式典の招待状が送られてくるので、式典には参加できませんでしたが、見に行かねばと半分義務感で出かけました。

 入って漢字がたくさん並んでいるのですが、10分も持たないなと思っていましたが、せっかくだからとその文字を見つめていると、だんだんその魅力がわかってくるではありませんか。

 空海・弘法大師が書いた文字を見ているとなんだか気分が雄大になってきます。そしてその隣に最澄・伝教大師の書があり、弘法大師のと比べると書いた人の性格の違いがありありと判るのです。

 最澄は大和朝廷の特使として遣唐使の一人として選ばれました。当時のお坊さんは学者と同じで、最澄は当代きっての学識者として遣唐使船に乗ったのです。文字を見ると生真面目で物事に真摯に立ち向かい、一部の隙もない秀才肌の人と思えます。

 片や空海は私費留学生として自由な立場で唐にわたりました。その字からは空海のおおらかで独創性に富み、その名が表すように空と海という大きな存在で天才肌の人と思えるのです。

 以前北大路欣也さんが空海を演じた時、最澄を演じたのは加藤剛さんでした。もう40年ほど前になるでしょうが、今考えるこれほどぴったりの配役はないなと書を見ながら思い出しました。

 やはりこれも本物を見ることによってのみこのような想像力が大きく働くのです。

 オリンピックの一流の選手の熱戦を見ながらスポーツをしている青少年たちは蒼き炎を心の中で燃やしているのではないでしょうか。

 このように本物だけが持つ独特のオーラが見ている人の魂に火をつけるのです。

 始まる前はけちょんけちょんにいっていた平昌オリンピックも競技の内容はやはり一流でした。勝者でさえも幾度となく挫折を乗り越え、この場に立っているのだということがわかると自分の甘さが恥ずかしくなります。

 軽々と何事もないように氷上を飛び跳ねていた羽生選手も、以前怪我をした足首にまだ相当の痛みがあったことを金メダルととった後に明らかにしました。「できない」「取れない」「痛い」などの言い訳を事前にして自分に対する風当たりを弱めるのではなく、プレッシャーも期待も金メダルを取るための糧としていたのかと思うと一流の選手の凄さに脱帽です。

 残念ながらメダルを取れなかった選手も悪条件の中一所懸命がんばったと思います。もうすこしですが、まだの選手も納得のいく試合をしてほしいと思っています。環境は最悪、運営も酷いものです。韓国でオリンピックような国際的なイベントはしてはならないと思うのは私だけではないでしょう。

 それでも選手たちが頑張っているおかげで表面にあまり出てきませんが、よくよくみてみると政治利用と言い、運営のまずさと言い、自国の負けた選手に対する誹謗中傷などしてはならないこと、あってはいけないことがどんどん出てくることに未成熟だと感じます。

 パシュートの女子も日本選手が金メダルを取っていなかったら、後味の悪いものになっていたでしょう。

 オリンピックも残りわずかです。選手の皆さん、ぜひ最後まで無事で自分の最高の試合ができるよう祈念しています。


「井上政典のブログ」より転載
https://ameblo.jp/rekishinavi/

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