多難な年明けのトルコ
クルド問題が試金石に
多難な年明けのトルコ(6)
それでも憲法上の国是は世俗主義だから、国民の中にはエルドアン大統領と与党・公正発展党(AKP)が進めているイスラム主義に、鋭い批判・糾弾をする勢力も根強く存在する。若者の中には、トルコ社会が世俗主義とイスラム主義の「内戦状態が進行している」と言い切る人も少なくない。

難民250万人が流入
多難な年明けのトルコ(4)
現在までトルコ国内には、シリア内戦から逃れてきた人々をはじめ、イラクのシーア派偏重政治に嫌気が差したスンニ派住民などが、実に250万人以上滞在しているとされる。

景気低迷と通貨安がトルコ直撃
多難な年明けのトルコ(3)
日本・トルコ合作映画「海難1890」に敢えてひっかけて言えば、今年のトルコは「国難2016」に直面するかのようだ。トルコ政府は昨年12月、対「イスラム国(IS)」作戦を本格化すると決断したので、今後さらにテロリスクは高まり、それは観光業を直撃するだろう。

「帝国」のプライドぶつかるトルコとロシア
多難な年明けのトルコ(2)
トルコを訪れるロシア人は、ソ連解体前後の“爆買ツアー”からこの四半世紀の間、右肩上がりに増え続け、年間450万人に達すると報じられた。ロシアは強権を発動できる国柄で、制裁措置に基づくトルコ旅行禁止は相当徹底しているとみられる。日本を訪れる年間500万人近い中国人旅行者が全部来なくなった状況に近いかもしれない。トルコ企業によるロシアへの建設・インフラ輸出も着実に拡大してきたが、ロシア側はそうした流れをほぼ全面的にストップさせかねない剣幕だ。

多難な年明けのトルコ、ダブルパンチの観光業
多難な年明けのトルコ(1)
「やはり来るべきものが来ました!」、トルコのイスタンブールで主に日本人旅行者を相手にする観光会社に務めていた知り合いの日本人女性から、「解雇されそうです!」と連絡があった。彼女いわく、同じような会社の多くが青息吐息だという。そうした事態を予感させられたのは、昨年12月初め、2年ぶりにトルコ取材に赴いたときだ。成田・イスタンブールのトルコ航空を利用したが、機内に日本人の姿が非常に少ない。特に、団体旅行グループがほとんど見あたらないのだ。
