危機のアジア 識者に聞く
海洋国家目指す中国、大陸国家の発想が呪縛に 茅原郁生氏
拓殖大学名誉教授 茅原郁生氏(下)
中国にとって尖閣、台湾、南シナ海の優先順位トップは?
核心的利益といわれた南シナ海だろう。
中国は一帯一路を当面の対外戦略としているが、その一路戦略では南シナ海はインド洋と太平洋の連接海域で、南太平洋に出る拠点となっている。

中国強軍体制、近代化の足縛る「党の私兵」 茅原郁生氏
拓殖大学名誉教授 茅原郁生氏(上)
中国の強軍体制をどう見るのか?
中国は昨年10月の共産党大会で、21世紀中葉を目指した覇権戦略と一体となった強軍戦略の追求を表明した。

日韓慰安婦合意、新方針は弾劾デモの延長線 陳昌洙
韓国世宗研究所所長 陳昌洙
まず昨年末の韓国作業部会による合意の検証結果について。日本側の反応は厳しかった。
国内プロセスを踏まなかった、つまり被害者である元慰安婦の意見を十分聞きながら合意に至らなかったと言いたかったのだろうが、非公開にしておくべき双方のやり取りまで報告書に書き込んだのは国際慣例に反する。韓国内でも外交関係者や有識者、マスコミの間でも憂慮する声が出ている。

米政権の対北政策、正恩氏に知略争いで敗れる 千英宇氏
元韓国青瓦台外交安保首席補佐官 千英宇氏(下)
昨年、北朝鮮の核・ミサイル脅威はかつてなく高まった。トランプ米政権の対北政策を疑問視する向きもある。

中国の政治改革、原動力は金回りの悪化か 川島博之氏
東京大学大学院准教授 川島博之氏(下)
中国の経済はある程度自由があってこそ活性化すると思うが、強権で縛るのは圧力釜の爆発力を高めるだけでは。
長い目で見れば、中国がやっていることは何もいいことがない。ネットも自由に使えない。中国人留学生も親元とメールなどで連絡する時、自動的にチェックが入るので、気を付けている。
ネットで「ダライ・ラマ」と打っただけで検閲対象になる。
「文革」「毛沢東」も駄目だ。

中国崩壊のシナリオ、不動産バブル破裂は必至 川島博之氏
東京大学大学院准教授 川島博之氏(上)
5万部を突破した近著『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』の中で、不動産バブルの崩壊と黒字貿易の減少が中国崩壊シナリオの端緒になると指摘しているが。
まさに日本がバブル崩壊したのと同じだ。中国は輸出で儲(もう)け、国内には貿易黒字で金が貯(た)まっていった。それが不動産に流れて高騰し、ますます不動産投資に拍車が掛かった経緯がある。日本の不動産バブルと同じだ。

どう止める北の核、2次的制裁の対象広げよ ジョセフ・デトラニ氏
元米朝鮮半島和平担当大使 ジョセフ・デトラニ氏
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して、トランプ米政権は最大限の圧力で対応している。
トランプ大統領は北朝鮮問題を解決する必要があると強く感じており、積極的に取り組んでいると言える。制裁の実施など必要なことは全て行っているし、昨年のアジア歴訪で北朝鮮への圧力強化を各国に求めたのも評価できる。

中朝の脅威、憲法9条改正で対応を ジェームズ・ショフ氏
カーネギー国際平和財団上級研究員 ジェームズ・ショフ氏(下)
トランプ米政権下における日米関係をどう見る。
トランプ大統領は安倍晋三首相を信頼しており、発言にもよく耳を傾けるなど非常にいい関係を保っている。米国は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を基本的なアジア戦略にしたが、これももともとは安倍首相が提唱したものだ。

危機のアジア、北朝鮮問題で米中対立も ジェームズ・ショフ氏
カーネギー国際平和財団上級研究員 ジェームズ・ショフ氏(上)
アジア情勢が風雲急を告げている。北朝鮮の核開発を阻止するために、米国が軍事力行使に踏み切れば、日本を含め地域全体に甚大な影響が及ぶことは避けられない。また覇権主義的傾向を強める中国への対応は、アジアの未来を左右する重大テーマだ。「危機」に直面するアジア情勢について、識者に聞いた。
