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閣議決定した集団的自衛権

元統幕議長 杉山 蕃

 7月1日の安倍内閣による「集団的自衛権に関する憲法解釈の変更に関する閣議決定」が行われ、我が国の安保態勢は新しい段階に入った。憲法9条をはじめとする一連の法制体系が、国際環境の変化に対応せず、旧態依然たる一国平和主義と言われる我が国独特のものであることは事実である。そのため、国際協調の見地から、自衛隊が海外において行動する場合、所謂(いわゆる)「グレーゾーン」的状況の生起を考慮し、その都度「特別措置法」を制定、厳重な制約を設けて、特別な場合として対応してきたのもご存じの通りである。

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中国を利する「琉球」学会

評論家 太田 正利

 南太平洋において、ヴェトナムやフィリピンが中国とそれぞれの海域の諸島を巡って紛争を生じている。この問題は他人事ではない。第2次大戦の頃は「新南群島」として日本では自国領土・領海と認識されていたのである。何が領土・領海であるかは、国際法に照らして判断されるべきものだが、問題は複雑怪奇としか言いようがない感じがする。わが国については、先の「尖閣列島」問題では国民の認識が深まり、いまやその列島の日本所属については確たる信念を持つに到っているようだ。

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マレーシア機撃墜の惨劇

アメリカン・エンタープライズ政策研究所客員研究員 加瀬 みき

 ウクライナ東部でマレーシア航空機(MH17便)が撃墜され、子供80名を含む無実の民間人298人が死亡した。地対空ミサイルで撃たれたのはほぼ間違いなく、オバマ米大統領は「言葉にもならないほどの非道」と強い言葉で非難した。

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すでにスタグフレーション

日本金融財政研究所所長 菊池 英博

 4月から消費税が8%に引き上げられた。全国紙や証券関係者などには、実体経済への影響は想定内でマイナスの影響は少ないと伝える情報が多い。しかし、現実には円安と消費税増税で物価が上昇しても、新規の雇用を生み出す投資(有効需要)は増加して来ない。正規雇用が減る一方、非正規雇用だけが増加するので賃金は下がる。物価上昇が実質賃金を低下させるので実質消費も減少する。つまり、不況が継続するなかで、物価が上昇するという状況になってきている。これがスタグフレーションという現象である。

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亡命ユダヤ系音楽家の楽園

獨協大学教授 佐藤 唯行

 1930年代から40年代、日本在住で名のある外国人音楽家の多くが東欧出身のユダヤ系だった。NHK交響楽団の前身に常任指揮者として招かれたヨーゼフ・ローゼンストック(1895~1985)はポーランド出まれ。美貌の天才少女ヴァイオリニスト、諏訪根自子の育ての親、アレクサンダー・モギレフスキー(1885~1953)はロシア出身。東京音楽学校(芸大音楽学部の前身)にピアノ担当の外人教師として招かれ、日本クラシック音楽の発展に寄与したレオニード・クロイツァー(1884~1953)もロシア出身。クロイツァーと同じく世界水準のピアニストで、同じく東京音楽学校に招かれたレオ・シロタ(1885~1965)はウクライナ出身といった具合だ。

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中国AIIB構想と韓国の行方

東洋学園大学教授 櫻田 淳

 アジア地域における国際情勢の危機要因を語るとき、従来、当然のように事例として挙げられてきたのは、北朝鮮による核・ミサイル開発の動向であったけれども、近年では東シナ海や南シナ海における中国の拡張傾向が、それに加わるであろう。しかし、東アジア地域における危機要因として重要であっても語られないものの一つは、韓国の対外姿勢である。

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地球の環境を創造する人類

哲学者 小林 道憲

 最近の発達した生殖技術では、精子や卵子を冷凍保存して、生産年齢が終わってから妊娠子育てをするということも可能になり、遺伝子解析技術や遺伝子操作技術によって、あらゆる面で希望通りの子供をつくるというようなことも可能だという。このような生命操作技術のことを考えると、技術は、それ自身の原理で行き着くところまで行ってしまう魔的な部分があるように思われる。技術は価値中立ではなく、むしろ、善でもあり悪でもあり、善用もされれば悪用もされ、善悪も考えずに自己膨張していく両価値的なものではないか。

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徐才厚大将の党籍剥奪事件

拓殖大学名誉教授 茅原 郁生

 習近平指導部は発足以来、反腐敗闘争を進めてきたが、中国共産党執政の正当性が挑戦に晒(さら)されるとして、それを整風運動にまで発展させつつある。これまでも薄熙来政治局員はじめ中央委員級の汚職摘発(虎退治)があった(本欄3・16)。さらに習主席は就任以来、党幹部の浄化を進めるにあたって権力集中を急ぐとともに身内に活動の清廉さを求めるなど汚職腐敗と戦う態勢を整えており、反腐敗闘争の本気度を示している。

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「呻吟語」に学ぶ心の処方箋

メンタルヘルスカウンセラー 根本 和雄

 いま、我国の人口は総務省の推計によれば65歳以上が25%を超えて、3190万人に達している(2013年10月)。更に、2055年には75歳以上の割合は総人口の26・5%になると推計されている。このような状況において、人々は「老い」の問題に直面しつつどのように、その人らしい人生を全うするかは極めて重要な問題である。迫り来る「老い」を糧にして、いかにウェル・エイジング<well ageing>するかは、豊かな人生に極めて大事な問題ではないかと思うのである。

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楽観許さぬ本年度経済成長

鈴木政経フォーラム代表・経済学博士 鈴木 淑夫

 消費税率が3%引き上げられ、8%となってから1四半期が経過した。予想通り、消費増税前の駆け込み需要の反動で、4月と5月の経済指標は落ち込んでいる。

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進む「ワークライフバランス」

弁護士 秋山 昭八

 近時、労働基準法改正や育児介護休業法が改正施行されるに至ったが、これらは「ワークライフバランス」の考え方を基本的に取り入れたものであり、今後の労働法制を考えるに当たりキーワードとなるといえる。今後「仕事と家庭との調和」を図るため種々な対応が模索されていくことを念頭に、種々の法改正が検討される必要がある。

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集団的自衛権論争の空疎さ

評論家 大藏 雄之助

 与党の集団的自衛権発動の、いわゆる「新3要件」に関する協議で、座長の高村自民党副総裁が私案として提示した「国民の権利が根底から覆されるおそれがある場合」という文言に対して、公明党が「おそれでは拡大解釈されかねない」と難色を示したために、「おそれ」を「明白な危険」と修正して、政府が閣議決定した。これは神学論争の領域であって、現実にはまったく意味がない。「明白な危険」が迫っていると判断するのは政府であるから、「おそれ」を書き改めたのが歯止めになるとは思えない。かつて教育基本法を改正する際に、「愛国心」という表現は戦前の軍国主義時代を思い出させるという反対で「国を愛する心」としたのと同工異曲だ。

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復讐と分裂の「イスラム国」

東京国際大学名誉教授 渥美 堅持

 古来より西のナイル・エジプト、東のメソポタミア・イラクは、レバント(地中海東部沿岸の中東地域)を中軸として、釣り合い人形の弥次郎兵衛の如く中東世界のバランスをとってきた。イラクは北にトルコおよびクルドの地、西にシリアなどレバント、東にイラン、湾岸、そして南にアラビア半島と中東のど真ん中に位置しており、モザイク的形態が内在する国である。

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政商が牛耳るウクライナ政治

ロシア研究家 乾 一宇

 親露派のP・ヤヌコビッチ大統領(地域党。肩書きは当時、以下同じ)が2月の政変で追われ、それにとって代わった親欧米派の暫定政権によって5月25日、ウクライナの大統領選挙が行われた(投票率60%。ただし東部の投票実施選挙区は約3割)。ヤヌコビッチ政権で経済発展・貿易相を一時期務め地域党と密接な関係があったにも拘わらず、親欧米政策に鞍替えした大富豪のP・ポロシェンコ氏が当選した。信条より権力である。

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日米同盟を深める後方支援

軍事評論家 竹田 五郎

 第2次世界大戦による多大の戦禍は、世界の人々に戦争の悲惨さを体験させた。各国は平和への道を希求し、国連を創設し、集団安全保障を平和への道とした。集団安全保障とは、多数の国家が相互間で戦争その他の武力行使を禁止し、これに違反して戦争その他の武力行使を行う国に対し、その他の全ての国が集団で防止し、または鎮圧することである。

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祖国を愛せなくした日本人

桐蔭横浜大学法学部教授 ペマ・ギャルポ

 今、日本中の人々がワールドカップに夢中になっている。特に日本代表の試合になると惜しみない応援をしていた。帰化日本人である私の家内も懸命に日本選手を応援していたようである。私は日本人が日本を応援することは極めて自然なことなので、そのことについて苦言を呈するつもりは全くない。むしろその反対で、なぜ日本人は情熱的に祖国のサッカー選手を応援できるのに、祖国を懸命に外敵から守ろうとする安倍首相を応援できないのかということに疑問を感じる。

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お粗末な中国機の接近事態

元統幕議長 杉山 蕃

 東シナ海におけるわが海上自衛隊、航空自衛隊機に対する中国戦闘機の接近飛行が頻発し、その映像が報道されている。空中10㍍、20㍍といった至近距離への接近に、政府・メディアはやや熱くなっている気配であるが、若干の所見を披露したい。

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中東を破壊するイラク情勢

アメリカン・エンタープライズ政策研究所客員研究員 加瀬 みき

 イラクの状況が急激に悪化している。アルカイダの一部も避けるほど過激な武装組織「イラクとシリアのイスラム国家(ISIS)」が急激に勢いを増し、バグダッドに迫る勢いである。イラクが一つの国家として存在し続けるか、分裂するか、そしてISISがイラクからシリア、さらに目標通りレバント全域(イスラエルからパレスチナ、ヨルダン、レバノン、シリア、イラクを含む)でも支配的勢力となるかは、イラクとシリアばかりでなく中東全体の地図を塗り替え、地政学を大きく変える可能性がある。アメリカや西側民主主義諸国にとっては、非常に危険な事態となっている。

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人口減少解決の正道を問う

NPO法人修学院院長・アジア太平洋交流学会会長 久保田 信之

 一朝一夕には解決しない複雑で厄介な問題は、常に我々の周りに存在しているものだ。その中でも、「少子化問題」ほど、根が深く、複雑で、解決に時間がかかる問題でありながら、じわじわと日本社会の根底を崩しかねない深刻な問題は他にない。

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世界最高峰めぐる国の争い

歴史家 金子 民雄

 日本に住んでいると、どこを向いても山だらけ、山のない場所などない。だからかどうか知らないけれど、2年後(2016年)の8月11日を、「山の日」の祝日にするという。この日を山の日にする何か特別の意味があるのかどうか、私は不肖にして知らない。ただ日本を代表する山といえばやはり富士山で、同じ山があってもこれほど秀麗な山はないようだ。その富士山とエヴェレストを姉妹山として、日本とネパールの山岳関係者が環境保全のために提携する発表もあった。

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日露戦争と仏ユダヤ大富豪

獨協大学教授 佐藤 唯行

 日露戦争中の1905年、パリの駐仏公使、本野一郎のもとをひとりの小柄な紳士が来訪した。紳士は日本政府が発行する公債を自分の人脈で売りさばいてやろうと申し出たのだ。

 紳士の名はアルベール・カーン(1860~1940)。一代で自前の投資銀行を設立したユダヤ大富豪だ。日本政府は戦費調達先として、既に米英の金融市場に働きかけを行ってきたが、フランスには期待していなかった。

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同性愛に意見する欧米事情

日本大学名誉教授 小林 宏晨

 欧米ではホモセクシャルについて論議する機会は誰にでも開かれている。これは主に少数派の保護の問題である。が、以下のボン大学教授クリスチャン・ヒルクルーバー博士の主張に注目したい――。

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中国には「日米比越連合」で

拓植大学日本文化研究所客員教授 濱口 和久

 5月26日、ベトナムと中国が領有権を争っている南シナ海のパラセル諸島(中国名・西沙諸島)周辺に建設された、中国の石油採掘(ガス田)施設に近づこうとしたベトナム漁船1隻を、中国漁船約40隻が取り囲み、体当たりして沈没させた。

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