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論壇 rss

元大使が語る「結び目を作った側が先に動け」

 韓国では悪化した日韓関係を修復しなければならない、という議論がメディアに登場するようになってきている。誰が見ても、今のような首脳同士の疎通すらもできない関係が長続きしていいわけがない。

 今日の関係悪化の原因は「慰安婦」と「徴用工」に象徴される日韓併合解消時の清算問題が蒸し返されたことによる。これ自体は、1965年の日韓基本条約および請求権協定で解決済み、というのが国家と国家の間で取り交わされた約束である。

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コロナ収束への課題 若者のワクチン接種がカギ

 ワクチン接種が進み、その効果が数値にはっきり表れる中、接種促進が新型コロナ収束のカギの一つとなっている。ここで具体的な数字を出すまでもなく、接種した層では、感染率も重症化率も、接種しない層より明らかに低くなっている。

 政府の統計によると、ワクチン接種を2回終えた国民は全体4割強、接種が早く始まった65歳以上では9割に達した。昨年1月から8月まで、厚生労働省のコロナ対策司令官(医務技監)としてコロナ対応に従事した国際医療福祉大学副学長の鈴木康裕は「新型コロナの変異種が強毒化しないという前提で申し上げるならば、日本国内は今年の秋には収束への目途が立つと考えています」と楽観的な見方を示している(「今秋にはコロナ収束への目途が立つ」=「Voice」9月号)。

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東京五輪後の日本、経済成長主義に未来はない

 東京五輪が終わったことで、論壇誌の9月号には、五輪後の日本のあるべき姿を模索する論考が多く見られる。その中で、総力特集「五輪後の本題」を組んだのは「Voice」。イスラエル・エルサレムのヘルツル研究所所長で哲学者ヨラム・ハゾニーの論考「日本はリベラリズムと闘うべきだ」、京都大学名誉教授・佐伯啓思の「『西洋近代』に未来は築けない」、東京大学教授・吉見俊哉の「東京が打破すべき成長主義の呪縛」が並ぶ。

 これらの論考に通底するのは、日本人は経済成長主義の限界をしっかりと見極める一方で、自国の文化・伝統の素晴らしさを再確認して人生を考え、また国づくりを進めるべきだという点だ。

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左傾化する自民党、稲田氏は保守から転向か

 選択的夫婦別姓、LGBT(性的少数者)支援など家族をめぐる政策課題で、自民党の混乱が露見している。これらは元来、個人の権利を重視する左派のカードだが、同党はリベラル派を中心とした推進派が勢いを増し、伝統的な家族の絆を守ろうとする保守派と激しく対立する。そんな中、これまで「保守」と見られてきた衆議院議員で元防衛相の稲田朋美が党の左傾化に影響を与えているとの見方を示す保守派識者は少なくない。

 特に、自民党内でLGBT理解増進法案をめぐり推進派と反対派の間で激しい論争が繰り広げられた今年5月以降、稲田の左翼「転向」を憂える論考が保守論壇に多く見られるようになった。

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米国の「キャンセル・カルチャー」

 米国で今、個人や組織の問題行動や発言を取り上げて、解雇や企業の製品をボイコットするばかりか、社会的な“抹殺”もためらわない不寛容の風潮が強まっている。

 この動きは既に日本にも上陸している。もうすぐ東京五輪・パラリンピックが開幕するが、今年3月、その開閉会式で企画・演出の統括役を務めるはずだったクリエーティブディレクターが辞任した。1年も前に行ったグループライン上の発言が週刊誌に漏れ、女性タレントの容姿を侮辱したなどとして批判されたのだ。森喜朗が同組織委員会の会長職を辞任したことにも、同じ社会風潮が感じられる。

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「夫婦別姓」の反対理由 「選択」で家族に軋轢

 今年は衆議院選挙が行われる。毎度のことではあるが、選挙が近づくと、政治家から「人気取り」とも言える発言がしばしば聞かれるし、そうした政策提言なども行われる。

 例えば最近、自民党の閣僚経験者が自身のフェイスブックで「自民党は、保守政党であり、『多様性と寛容』の精神を大事にするのが保守政党の本質です。草の根の保守とは、大衆の意識、庶民感覚への度量がなければ自民党はダメになります」と書いた。

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尖閣防衛の覚悟 自由社会の運命を左右

 中国公船が領海侵犯を繰り返す尖閣諸島情勢、中国が圧力を強めて緊迫する台湾海峡、新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒と香港における民主派弾圧など、中国共産党の脅威についてのニュースが毎日のように伝わっている。こうした中国の動きを受け、保守系の「正論」が特集「横暴国家・中国」を組んだのをはじめ、論壇には国際秩序と人権を踏みにじる中国問題をテーマにした論考が多いのが月刊誌5月号の特徴だ。

 覇権主義を強める中国に対する日本人の不信は強まる一方だが、それでも、日本の中には国際社会における米国の地位低下は止められない上、中国とは経済的な結び付きが強いのだから、米中対立に巻き込まれずに日本独自の対応を取ればいいとの意見がある。

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社会を覆う不寛容 SNSで世論煽る知識人

 自民党の「選択的夫婦別氏(姓)制度を早期に実現する議員連盟」が25日、設立総会を開いた。一方、来月1日には反対派議員が旧姓の通称使用拡大を促進する議員連盟を発足させる。翌日には、党のワーキングチームも初会合を開く。社会の根幹である家族の在り方に関わる問題だけに、推進派と反対派が激しい論争を繰り広げそうだ。

 先月のこの欄では、いわゆる「森発言」をきっかけに巻き起こった「ジェンダー平等」問題を取り上げたが、別姓問題をはじめとした女性政策への注目が高まっていることから、今回も左右の思想の違いが際立つ、この問題を取り上げる。

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日本独自の「女性活躍」を、「ジェンダー平等」

 「森発言」をきっかけに、「ジェンダー平等」が注目を集めている。森氏の後任として新会長に就任した橋本聖子氏は就任会見で、今後の重点政策の一つに「ジェンダー平等の推進」を挙げ、早速推進チームを発足させた。

 こうした動きを予想したわけではないだろうが、月刊「潮」は2、3月号と連続で「女性活躍」に関する論考を掲載した。東洋大学理工学部准教授の小島貴子氏の論考「あなたの中にもある『無自覚な偏見』から自由になるために。」と、近畿大学教授の奥田祥子氏の「なぜ日本では『女性活躍』が進まないのか。」だ。

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東京五輪の中止を狙う左派勢力

 東京五輪・パラリンピック組織委員会前会長、森喜朗氏の「森発言」騒動。多くの新聞・テレビが「女性蔑視」と、“森バッシング”とも受け取れるほど、同氏を痛烈に批判してきた。しかし、左派メディア批判を売りの一つにする保守論壇の月刊「WiLL」と「Hanada」4月号は森擁護論の論考を掲載した。

 例えば、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」との森発言について、元通産大臣の深谷隆司氏は「笑いを取るためのリップサービス」であって、決して女性蔑視ではない、むしろ森氏は女性を称賛しているとして、その後に続く発言内容を次のように紹介している(「森元総理叩きは集団リンチだ」=「Hanada」)。

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米国分断の実相 左派と対決する宗教右派

 「私、ジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニアは厳粛に誓約する。誠意をもって、米国大統領の職務を執行すると。そして自分の能力の限りを尽くして合衆国憲法を維持、保護、擁護すると神のご加護のもと誓う」

 大統領就任式で、バイデン氏が家で代々受け継がれてきた巨大な聖書に手を置いて宣誓した、伝統の言葉だ。政教分離を原則にしながらも、キリスト教の価値観と強く結び付いているのが米国だ。大統領就任式を見るたびに、そのことを実感する。

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豪州における親中工作 標的の社会的エリート

 世界がコロナ禍に翻弄(ほんろう)され続けた一年だった。170万人以上の命が失われるなど、多大な犠牲を強いられた。一部の国ではワクチン接種が始まったが、コロナの猛威の中で新年を迎えようとしている。

 そんないまいましい新型コロナだが、これからの国際政治を考える上で、“前向きな”変化も出てきた。中国共産党の狡猾な強権・全体主義に対する認識が欧米諸国で急激に厳しくなったことだ。

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学術会議と国民の意識 組織の見直し求める世論

 前回の当欄では、先に発売された保守派月刊誌12月号の論考を題材にしながら、菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人を任命拒否した問題の核心は、人文・科学分野の学者が日本共産党シンパをはじめとした左派に偏ることで起きる反政府的な政治活動に歯止めをかけることにあると指摘した。その後発売された月刊誌もこの問題を取り上げているので、今回も論じることにする。

 任命拒否問題を左派の立場から特集を組んだのは「世界」12月号。その中で、東京大学名誉教授の上野千鶴子は「政権は人文社会系の御用学者を作りたいのだと思います。つまりレッド・パージそのものです」(作家の保阪正康との対談「ファッショの構図を読み解く」)と述べている。

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日本学術会議の権威が失墜

 臨時国会の焦点の一つとなっている日本学術会議の任命拒否問題。28日の衆院本会議で、野党側から「推薦された方を任命しないのは明らかに違法だ」と問われた菅義偉首相は、「任命の理由は人事に関することで、お答えを差し控える」としながら「(人選は)民間出身者や若手が少なく出身や大学に偏りが見られる」として、見直しの必要性を強調した。

 これに対して、学術会議側は地域偏在の解消や若手の登用などに取り組んでいると反論しているが、これに納得する国民はどれほどいるのだろうか。日ごろ、情報の取得を、左派の新聞・テレビだけに頼っている人ならいざ知らず、特にネット情報を見る機会の多い層では、学術会議が共産党とそのシンパによって長年牛耳られてきており、その偏りの是正こそがこの問題の本丸だという認識が広がっている。

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日本学術会議とLGBT

 日本学術会議の左派支配は「LGBT」問題にも表れている。同会議の法学委員会・社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会は2017年、提言「性的マイノリティの権利保障をめざして―婚姻・教育・労働を中心に―」を公表した。同分科会は、LGBTに「I」を加えているが、それはインターセックス(性分化疾患)を意味する。

 この提言の中で、「今日の社会では、法制度上、婚姻と生殖・養育との不可分の結合関係は失われ、婚姻法は主として婚姻当事者の個人的、人格的利益の保護を目的とするものになっている」として、「婚姻の性中立化」つまり性別を問わないための民法改正を提言した。直接的には「同性婚」の合法化だが、当事者が望めば、どんな結婚形態も認めよ、というようにも解釈でき、国民感情からはとても受け入れられるような内容ではない。学術会議の中でも、左傾化が激しいと言われる人文・社会科学分野の学者たちが、一般常識からどれだけ懸け離れているかを示す提言である。

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分かってきた新型コロナウイルスの正体 

 新型コロナウイルス感染で、政府が緊急事態宣言を発出してからもうすぐ半年。感染者の減少傾向が続いたが、ここにきてそれが鈍化してきたので、油断は禁物だ。

 一方、感染者が爆発的に増える兆候はないこともあって、国民が毎日発表されるPCR検査陽性者数に一喜一憂する風潮は弱まるという良い傾向も出ている。これも政府、自治体、国民一人ひとりが努力した結果だろう。また、そうなった要因の一つは、謎だらけだったウイルスの正体が少しずつ分かってきたからだ。

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コロナ禍の恐怖 ゼロリスク信仰の裏返し

 新型コロナウイルス禍による社会混乱が起きてから半年が過ぎた。多くの人に恐怖を与えてきた未知のウイルスだが、数々のデータが蓄積されて、その姿が次第に明らかになってきた。

 ほとんどの人は罹(かか)っても無症状か、発症しても、せき、発熱、味覚障害など、かぜのような症状で1週間余りで治る。27日現在、全国の感染者は約6万5800人、死者は1241人。致死率約0・019%。しかも、厚生労働省は6月18日付で、感染者が死亡した場合、死因にかかわらず全てのケースを報告するよう自治体に通知しているから、実際の死者数はもっと少ない可能性がある。

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「アンティファ」の本質 左翼思想によるテロ行動

 米国大統領が「国内テロ組織」に指定し、日本の保守論壇も危険視する「アンティファ」とはどんな勢力なのか。これについてはシベリア抑留研究者・長勢了治の「アンティーファの危険な素性」(「WiLL」9月号)が詳しい。

 それによると、アンティファ(「反ファシスト」を意味するドイツ語の略称)は第2次世界大戦の戦中戦後に、ソ連共産党が捕虜収容所における政治工作によってつくらせた「反ファシスト民主運動」。もともとは独ソ戦争による捕虜を「ヒトラー・ドイツの壊滅に進んで協力する、反ファシズム闘争への積極的参加者を養成するのが目的だった」という。アンティファの政治工作はシベリアの日本人捕虜収容所などでも行われ、そこで“洗脳”された日本人も少なくない。

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米「人種差別暴動」の見方 極左集団無視する識者

 人種差別への抗議行動から広がった米国内の暴動に関連して、トランプ大統領は連邦政府の治安要員を投入してでも「法と秩序」を守る姿勢を示している。しかし、この米国の暴動をどう見るかについては、日本では大きく分かれている。保守派は、暴動を左翼による破壊活動と危険視する一方、トランプ大統領を「米国社会の脅威」と捉える識者もいる。

 産経新聞ワシントン駐在客員特派員、古森義久が 保守派の「Hanada」8月号に寄稿した論考「米・日主要メディアが報じない 米国黒人暴動の驚くべき真相」で、国際政治学者・田中明彦の論文について痛烈な批評を行っている。

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“終息”しない少子化 「男女」の価値見直されるか

 厚生労働省の人口動態統計によると、死亡数から出生数を引いた人口自然減は昨年、51万5864人で、初めて50万人を超えた。1人の女性が生涯に産む子供の推計人数を示す「合計特殊出生率」は1・36で、4年連続で低下している。わが国で「少子化」が国家の重要課題だ、と叫ばれ始めてから久しいが、いまだに解決の糸口さえつかめていない。

 前出の論考の中で、日本が新型コロナの被害を最小限に抑えたのは「直系家族」の影響を指摘したエマニュエル・トッドは、次のように語って日本の少子化に警鐘を鳴らしている。

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コロナ後の世界 「直系家族」の再評価

 「ロックダウン」(都市封鎖)のできない日本が、新型コロナウイルスによる被害をこれまでのところ最小限に抑え込んでいるのは、世界から見れば「奇跡」なのだという。なぜそうなっているのか。

 総力特集「コロナ後の世界」を組んだ「文藝春秋」7月号で、作家・数学者の藤原正彦は「日本の新型コロナ対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つである。奇妙な成功」という米外交誌フォーリン・ポリシーの分析を紹介。

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免疫力を強める 「前向きな心」で活性化

 月刊誌6月号の新型コロナウイルス特集で、科学者の視点からの論考も多かった。その中で、新型コロナとの戦いが長期化する中で、重要になってくると思われるのが「免疫」についての知識だ。

 「最後は『集団免疫』しかない」と題した論考(「文藝春秋」)の冒頭で、「新型コロナウイルスとの戦いで、人類は苦戦を強いられていますが、最初に宣言しましょう。この戦いは必ず人類が勝利します。これは間違いありません」と断言するのは順天堂大学医学部免疫学特任教授の奥村康。

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コロナの長期化 「人間らしさ」問われる

 新型コロナウイルス感染拡大による「緊急事態宣言」下に、ノーベル文学賞受賞者カミュの小説「ペスト」を読んだ。熱病の蔓延(まんえん)で封鎖された街で、多くの人が亡くなっていくという「不条理」の中で、どう「人間らしく」生きるか、そんな問い掛けを感じなら熟読した。

 月刊誌は当然のことながら、どれも新型コロナをテーマにした論考で埋め尽くされている。その中で、「ペスト」と同じような視点を持った論考が何本かあった。京都大学名誉教授・佐伯啓思の「グローバリズムの『復讐』が始まった」(「文藝春秋」5月号)と、作家・瀬名秀明の「私たちは『人間らしさ』を問われている」(「Voice」6月号)が特に印象的だった。

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