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上昇気流 rss

大根のうまい季節がやって来た。鍋にもいいが…

 大根のうまい季節がやって来た。鍋にもいいが、大根下ろしもいい。涙が出るような辛いのを温かいご飯にぶっ掛けて食べる。これほどうまいものはないと思っている。

 ところが最近、唐辛子と同様にキューンと鼻を突くような大根に、ほとんどお目にかかれなくなった。辛味が苦手な子供が多くなって甘い大根が重宝され、各地に根付いていた辛い地大根は作っても売れず、希少商品になった。

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<年は唯、黙々として行くのみぞ>高浜虚子…

 <年は唯、黙々として行くのみぞ>高浜虚子。春が過ぎ、猛暑の夏を越え、短くなった秋と伸びてきた冬がせめぎ合う今の季節。師走を間近にした時期になると、毎年同じことを感じるようになった。

 時の流れの速くなったことを驚きながら、人は年輪を重ねていくことである。世捨て人の心境になったわけではないが、「方丈記」(鴨長明)の一節が妙にフィットしてくる。

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京都・伏見区の「伏見稲荷大社」を初めて…

 京都・伏見区の「伏見稲荷大社」を初めて訪ねた。「千本鳥居」と呼ばれる数え切れないほどの鳥居をくぐり続けて狭い山道を行くのだが、人の流れに切れ目がなかった。

 登坂時は人々が黙々と上っていたが、擦れ違う下山の人たちの英語、中国語、ロシア語、スペイン語などで話す声が盛んに聞こえてきた。海外からの観光客の多さに驚いた。

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「工場のいつもこの音秋の雨」(中村汀女)…

 「工場のいつもこの音秋の雨」(中村汀女)。一雨ごとに冬が近づいているという実感がある。秋の雨が長雨になりやすいのは梅雨と似ているが、梅雨が暖かさを感じさせるのに対して秋雨は触れたものを冷やしていく。紅葉の上に雨が降ると、いっそう色彩が映えるのも、こうした冷たさの効果かもしれない。

 稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』では「秋雨(あきさめ)は蕭条(しょうじょう)と降る。『春の雨』『夏の雨』とはおのずから違った寂しい趣がある。長く続くと秋霖(しゅうりん)、秋黴雨(あきついり)などと呼ばれる」とある。

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国内で出版されたすべての本を収蔵する東京…

 国内で出版されたすべての本を収蔵する東京・永田町の国立国会図書館は、本や雑誌などの資料を探す場合の最後の砦とも言える施設だ。蔵書数1200万冊、貸し出しまではできないが、閲覧し有料でコピーができる。最近はウェブにおけるデジタルコンテンツの公開にも力を入れている。

 初めて入館する時に利用者カードを作らなければならないが、後は入館から本や雑誌の検索閲覧、コピーの申し込みなどスムーズに進む。コンピューター化されたことで、資料を請求してから出てくるまでの時間が大きく短縮された。

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作家の野間宏(1991年没)がパーティーの…

 作家の野間宏(1991年没)がパーティーの乾杯あいさつで長時間演説したエピソードが記録されている。会場の皆がグラスを持って待つ中、ニクソンがどうの、ブレジネフがこうの、べトナム戦争がああのと30分語り続けた。

 丸谷才一、鹿島茂、三浦雅士の3氏による鼎談(ていだん)『文学全集を立ちあげる』(文芸春秋/2006年)で、フランス文学者の鹿島氏が実体験を語った場面だ。

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東京の三鷹市北野の辺りは住宅地であるが…

 東京の三鷹市北野の辺りは住宅地であるが、農家も多く、散歩していると田舎にいるような気分になってくる。今の季節に家の庭先や畑の隅でよく見掛けるのが菊の花だ。

 それも厚物や管物や古典菊まであって、栽培を趣味にしている人たちがいるらしい。菊花展に出品されるわけでもないだろうが、立ち止まって鑑賞させてもらう。端正で気品があって清楚(せいそ)な美しさだ。

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安倍晋三首相の在職日数が通算2887日となり…

 安倍晋三首相の在職日数が通算2887日となり、同じ山口県出身の桂太郎を抜いて歴代最長となった。これに対し、野党をはじめ「長期政権の弊害」ばかり指摘する人々がいるが、本末転倒した議論である。

 安倍政権は民主的な選挙で選ばれた。長期にわたって安倍氏に政権を託したのは国民なのである。長期政権を批判する人々は、それが民主主義を否定するものであることに気付いていない。

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気流子に鑑識眼があるわけではないが、文豪…

 気流子に鑑識眼があるわけではないが、文豪の中には俳人としても評価されている人が少なくないことは分かる。俳人の長谷川櫂氏が読売に連載する「四季」で先月上旬、その一人である夏目漱石の句を採り上げた。

 漱石の『思い出す事など』は、伊豆の修善寺で明治43(1910)年8月に起こした大量吐血から帰還した「三十分の死」の体験を書いたもの。その中の10句をたどり解説している。

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国際原子力機関(IAEA)は、原子力の…

 国際原子力機関(IAEA)は、原子力の軍事利用に目を光らせ「平和、保健及び繁栄に対する原子力の貢献を促進」(憲章)するのが目的。IAEAの役割を持ち出すまでもなく、原子力技術の開発は今や人類文明の発展に欠かせない。

 ところが、わが国は原子力発電所の再稼働が思うように進まない上、もう一つの大きな懸念材料として定まらない原子力開発の行方がある。政府は、フランスとの共同研究で活路を見いだそうとしていたが、フランス側が中止を決めた。

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まだ冬という実感に乏しいが、朝夕に外を…

 まだ冬という実感に乏しいが、朝夕に外を歩くと空気がひんやりしていることを肌身に感じる。外出のために衣服を選ぶのにちょっと迷う。日中の日差しもあって、厚着でも薄着でもしっくりこない。その寒暖差は、まさに秋から冬にかけての季節特有のものと言っていい。

 木々も冬支度の様相を呈しているが、本格的な紅葉シーズンはまだこれから。落葉もそう見掛けない。ただ、足元にはどんぐりの実が落ちていて、時期が早いのかどれもまだ小粒だ。

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未明に帰宅して急に甘いものが欲しくなり…

 未明に帰宅して急に甘いものが欲しくなり、近くのコンビニエンスストアに足を運ぶと「22時閉店」の張り紙。それで甘いものへの願望が消えるわけではない。100㍍ほど離れたもう一軒のコンビニはいつも通り開いていてアイスクリームを買った。

 コンビニ各社が時短営業を相次いで決定した。「開いててよかった」を宣伝文句に、24時間営業を売り物にして全国に広がったコンビニ。そのビジネスモデルも曲がり角にきているようだ。

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「古代の饗宴は暴力的だった、それは飢え…

 「古代の饗宴は暴力的だった、それは飢えと結びついていたからだ」という学者の記述を読んで虚を突かれた。昔の酒宴が暴力的だった話は知っていたが、根源に飢餓があったとは思い至らなかった。

 柳田国男の「酒の飲みようの変遷」(昭和14年)という論文には、儀式として集団で飲酒するのが圧倒的に多かった時代から、個人が自宅で飲酒するというスタイルが多く行われる時代へと変化してきたという記述がある。「公」から「私」への変化だ。

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俳人の中には保守的な句を作る人もいれば…

 俳人の中には保守的な句を作る人もいれば、進歩的な句を作る人もいる。両者から人気のあるのが「鶴」を主宰した石田波郷(1913~69)だ。

 俳句で表現できるのは自然か、人間かだが、小説のように言葉を費やして語ることはできない。わずかに自分を投影させることができるだけだ。波郷のこの野心的な挑戦を知っていた一人が、恩師の水原秋櫻子だった。

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「木曽路はすべて山の中である」と始まる…

 「木曽路はすべて山の中である」と始まる島崎藤村作『夜明け前』。幕末、維新の政治的動乱の中にあって、森林が日本国土の骨組みの中心にあり続けた様子が、よく分かる。

 木曽一帯は尾張藩が支配し、その厳重な管理下に置かれた。その中にあって住民は、大半の地域に自由に出入りして雑木を伐採し、薪炭の材料を集めることができた。森林は地元共同体が所有し管理するという総意があった。他地域も同様だった。

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天皇陛下の即位を披露する皇居から赤坂御所…

 天皇陛下の即位を披露する皇居から赤坂御所までの約4・6キロ、時間にして30分ほどのパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」が滞りなく行われたのは何よりであった。オープンカー上の天皇、皇后両陛下は、沿道に幾重もの人垣をつくり、日の丸の小旗を振って祝福の歓声を上げる人々に手を振られ、にこやかな笑顔で応えられた。

 雲ひとつない秋晴れに恵まれた10日の東京は8月18日以来、日曜日としては12週間ぶりに雨の降らない一日に。一方、「即位礼正殿の儀」が行われた10月22日は朝から雨だった。

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まだ秋と言っていい時期だが、俳句の歳時記…

 まだ秋と言っていい時期だが、俳句の歳時記で11月は「冬」になる。初雪や初霜の便りも届き始めている。

 水の冷たさを実感するこの頃、今年を振り返るのはまだ早いかもしれないが、記憶に残るのは台風による風水害が多かったことだ。気流子の故郷、福島を流れている阿武隈川(あぶくまがわ)の流域も氾濫によって被害が出た。

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オリヴィエ・アサイヤス監督のフランス映画…

 オリヴィエ・アサイヤス監督のフランス映画『冬時間のパリ』を観た。タイトルからマロニエの枯れ葉散る晩秋から初冬のパリが浮かび、これを観(み)ればパリに行った気分になれるのではないかと試写会場に足を運んだ。

 編集者アランと作家レオナールの家族同士の不倫などでやや込み入った人間関係をコメディータッチで描いている。最後はレオナールが妻から妊娠を知らされ大団円となる。

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恒例の「国語に関する世論調査」(文化庁)…

 恒例の「国語に関する世論調査」(文化庁)で、今年は「言わずもがな」が取り上げられていた。とうに忘れた表現だったので、不意を突かれた。「結果は『言わずもがな』」というふうに使われるが、聞いたこともない人が25・6%、聞いたことはあるが使わない人が54・9%、使うことがある人は18・5%だった。

 「言わずもがな」は「言うまでもない」の意味だ。21世紀の今、この表現を18・5%(ほぼ5人に1人)の人々が使っているのが不思議な気もする。

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江戸時代を専門にした歴史学者・故大石慎三郎…

 江戸時代を専門にした歴史学者・故大石慎三郎さんが、江戸中期の老中・田沼意次(おきつぐ)の研究を始めたのは、史料の中に奇妙なことがあると気付いたからだ。意次は賄賂好きの腐敗した政治家と言われてきた。

 その根拠の一つとされた「まいないつぶれ」の図を見ると、記された紋所は「丸に十の字」で九州島津家のもの。田沼家の紋所は「七曜」で照合しない。史料を調べた結果「悪評」を記したものはすべて偽りと結論。

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<それは秋らしい柔らかな澄んだ日ざしが…

 <それは秋らしい柔らかな澄んだ日ざしが、紺のだいぶはげ落ちたのれんの下から静かに店先に差し込んでいる時だった>。志賀直哉の名作「小僧の神様」の冒頭部分である。余計な説明を省き「秋らしい柔らかな澄んだ日ざし」と書くだけで、その季節感が伝わってくる。

 しかし、最近は「秋らしい」日が少なくなっているのが気に掛かる。特に先月は台風が多かったこともあり、暑くもなく寒くもなく、からりと爽やかな晴れの日が少なかった。

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新聞コラムから。「蕪村の句<老(おい)が…

 新聞コラムから。「蕪村の句<老(おい)が恋わすれんとすればしぐれかな>は二百数十年も昔の人が詠んだとは思えず、作者名を隠せば平成の作品で通るだろう」(読売「編集手帳」平成21年11月4日付)。

 もう一つは小紙・上昇気流。「繰り返し読まれる本が名著、その中で100年単位でなお残るものが古典ということだろうか。『万葉集』であれ『平家物語』であれ、古典は長い時間によるテストをくぐり抜けて来た」(平成28年9月30日付)。

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製造業では規模の大きい企業合併が珍しく…

 製造業では規模の大きい企業合併が珍しくなくなった。日立製作所とホンダは傘下の自動車部品メーカー4社を合併し、新会社を設立することになった。4社の売り上げは1兆7000億円余。国内有数規模の自動車部品メーカーが誕生する。

 電動車向けに、燃料や電力の制御系部品、緩衝器などの足回り部分、ブレーキ部品などを製作する4社。記者会見で「それぞれの事業を組み合わせることで、競争力のある技術を確立したい」(日立副社長)と。

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