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上昇気流 rss

「ローソクの灯に一夜あけ秋出水」(巻野南風)…

 「ローソクの灯に一夜あけ秋出水」(巻野南風)。この夏も台風の影響などによる集中豪雨が各地であり、大きな災害となった。床下浸水したり、道路の冠水によって自動車が流されたりする光景などをテレビ報道で見ることも少なくない。

 こうした災害を表現した俳句の季語は「台風」のほか、「野分(のわき)」や豪雨そのものの表現である「秋出水(あきでみず)」がある。台風は説明不要だが、野分や秋出水などの言葉は今ではほとんど使われていない。ただ、季語としては健在である。

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運転歴20年近くになるが、運転にはいまだに…

 運転歴20年近くになるが、運転にはいまだに自信が持てない。特に車庫入れが苦手で、先日もホームセンターの駐車場にバックで駐車しようとして苦労した。傍で見ていた人も、ぶつけないかと冷や冷や顔だった。

 田舎の菩提寺の駐車場へは、踏切を渡ってすぐ線路沿いの道を右折すればいいのだが、道幅が狭くてコンクリートにこすってしまったことがある。以来、そこでは右折せず、少し先の左手にある駐車場でUターンしてから左折するようにしている。

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『万葉集』第一の歌人は柿本人麻呂だろうが…

 『万葉集』第一の歌人は柿本人麻呂だろうが、広げて言えば人麻呂は、日本文学史上最大の詩人でもあろう。「淡海(おうみ)の海(み)夕波千鳥汝(な)が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ」(『万葉集』266番)。

 人麻呂には傑作が多いが、この歌もその一つだ。琵琶湖の夕波の風景の中で千鳥が鳴いている。この声を聞くと、心がしおれてしまうほどに昔のことが思い出される、というのが歌の意味だ。

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「日本一シャッターを切らない写真家」と…

 「日本一シャッターを切らない写真家」と自身を語る写真家がいる。自然写真家の嶋田忠さんだ。冗談交じりにこう語る理由は、独自の撮影方法にある。

 嶋田さんが北海道やパプアニューギニアで撮影してきたのは、鳥類だったが、鳥たちは常に動き続けている。ひ弱なスズメも一瞬の羽の動きで力強く飛び、モズは自分よりも重いネズミを一撃で仕留め、軽々と飛び去ってしまう。

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わが国は2030年の電源構成で再生可能エネ…

 わが国は2030年の電源構成で再生可能エネルギーの割合を22~24%とする目標を設定している。比較的小さい初期投資で済む太陽光や風力の発電所が各地に建設されたが、採算が取れず撤退している所が少なくない。

 去年秋の臨時国会で成立し、今年4月施行の法律に「洋上新法」がある。既に海外では発電源としての割合が大きい洋上発電を促進させるのが目的で、近海の風力利用ルールを定めた。

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<水音も風の音にも九月かな>副島いみ子…

 <水音も風の音にも九月かな>副島いみ子。とは詠んでも、暦の立秋(先月8日)後の残暑が厳しい。暑さが収まるとされる処暑(しょしょ)は今年は先月23日だったが、炎暑にあえぐ日々が続いた。

 そして、次の目安がこの8日の白露(はくろ)である。野草に宿るしらつゆなどに秋の気配をひとしお感じさせられる、というのだが、気象庁の予報ではまだまだ暑さは続きそう。炎天に燃えるサルスベリの花も元気だし、夏の「炎帝」もまだ余力を残しているようだ。

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昨年12月から半年間、国際宇宙ステーション…

 昨年12月から半年間、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した米女性宇宙飛行士が、その間、元パートナーの銀行口座にオンラインで不正にアクセスした疑いで米航空宇宙局(NASA)が調査に乗り出した――8月24日付米紙ニューヨーク・タイムズが報じている。

 「人類初の宇宙犯罪か」の見出しが効いている。「地球で起きることは宇宙でも起きる」という関係者のコメントを載せ、こんな不祥事ネタにも、宇宙開発のトップランナーを自負し、自慢しているような記事の調子も面白い。

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このごろ、雨模様の日にはやや気温が下がり…

 このごろ、雨模様の日にはやや気温が下がり、蒸し暑さは変わらないが、少し過ごしやすくなっている。気温が乱高下するので、カゼを引いている人も少なくない。

 作家の三島由紀夫の『戦後日記』(中公文庫オリジナル版)は、昭和23(1948)年6月から始まるが、当時はまだ専業作家ではなく、大蔵省に若手の官僚として勤めていた。11日の日記には、暑かったので婦人雑誌記者と昼休みに銀座の店にアイスクリームを食べに行った記述がある。

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横浜市で開かれていた第7回アフリカ開発会議…

 横浜市で開かれていた第7回アフリカ開発会議(TICAD)は「自由で開かれたインド太平洋」構想に好意的に留意することなどを盛り込んだ「横浜宣言」を採択して閉幕した。一連の報道に接して、ロンドン赴任中に自宅に招いたアフリカからの留学生家族との会話を思い出した。

 話は、まず食べ物のことになった。彼等は日本人が魚をよく食べることを知っていたが、意外だったのは彼等も魚をよく食べるということだった。また家人が食事を準備する間、「日本には、男子厨房に入らずという諺がある」と紹介すると「私の国でもそういう諺がある」と言う。

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高齢化が進行する中、「老い」というテーマ…

 高齢化が進行する中、「老い」というテーマの比重は高くなっているはずだが、その具体像について高齢者の側から語られるケースは意外に少ない。そんな中、黒井千次氏(作家、日本芸術院長、昭和7年生まれ)の著書『老いのゆくえ』(中公新書)が先ごろ刊行された。

 具体像の一例が転倒。著者の実体験もこの本の中で生々しく語られる。軽傷で済んだのは幸いだが、時にはとんでもない事態にもなり得る。

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北アルプスの三俣山荘から伊藤新道を通って…

 北アルプスの三俣山荘から伊藤新道を通って湯俣川を下り、湯俣温泉にテントを張って1泊したことがあった。1971年夏のことで、渓谷沿いの道はひどく荒れていて、その下流の高瀬川に沿った山道は消えていた。

 前年の台風で山の状況が大きく変化していたのだが、それを知らなかったのだ。当時工事中だった高瀬ダムは79年に完成したが、伊藤新道は83年以後使えなくなり、地図からも消えた。

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首脳宣言採択も見送られ、成果の乏しい先進…

 首脳宣言採択も見送られ、成果の乏しい先進7カ国首脳会議(G7サミット)だったが、初参加のジョンソン英首相にとっては国際外交舞台へのデビューとなった。安倍晋三首相との初会談では、欧州連合(EU)からの離脱問題で「円滑な離脱に努力したい」と述べた。しかし、実際のところは「合意なき離脱」も辞さない構えだ。

 離脱後を見越し米国との自由貿易協定(FTA)締結にも乗り出しているという。トランプ米大統領との会談で「英国は羊肉も牛肉もポークパイも米国に売っていない」と語り、市場開放を求める構えを示したが、ここで「ポークパイ」が出てくるところが、この首相らしい。

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さすがにここまでやるとは思わなかった――…

 さすがにここまでやるとは思わなかった――というのが正直なところだ。日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を決定した韓国の文在寅政権である。

 協定破棄は中国やロシア、北朝鮮に付け込むスキを与えることになる。米国のポンペオ国務長官は「強烈な失望」を表明したが、極めて異例の事態と言えよう。日韓が軍事情報を共有できなければ抑止力の低下にもつながり、韓国は自分の首を絞めることにもなりかねない。事ここに至って韓国内でも賛否が真っ二つに割れている。

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大手玩具メーカーのバンダイが今夏、小中学生…

 大手玩具メーカーのバンダイが今夏、小中学生の子供を持つ親900人に子供の防災対策に関して尋ねた結果を、来月1日の防災の日を前に発表した。その中で、災害が起きた時の集合場所や連絡手段について子供としっかり話し合えている家庭は、わずか5・9%しかなかった。

 約7割の家庭が何らかの対策をしていたが、その一方で災害時について子供と話し合っているかどうかについては「全く話し合ったことはない」が23・2%、「あまり話し合えていない」が57・9%と多数を占めた。

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「朝顔のしづかにひらく折目かな」(片岡…

 「朝顔のしづかにひらく折目かな」(片岡片々子)。蒸し暑い日々が続くが、早朝は少し涼を感じることができる。朝に花開くアサガオは、その青や赤の色彩で涼しさを感じさせてくれる。

 夏の風物詩といえばいろいろあるが、花ではアサガオを外すことはできない。家の庭にアサガオが植えられ、添え木をはい上るように巻き付いている光景がよく見られた。だが最近は、その姿を見る機会が少ない。

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占領期に初代宮内庁長官として昭和天皇に…

 占領期に初代宮内庁長官として昭和天皇に仕えた田島道治の「拝謁記」が発見され、NHKスペシャルで紹介された。資料の一部は他の報道機関にも公開された。昭和天皇が、先の大戦とこれからの日本についてどう考えておられたか、またその御意向に時の政治家がどう対したかを知る貴重な資料である。

 サンフランシスコ講和条約発効を祝う昭和27年5月3日の式典に際しては「どうしても反省といふ字をどうしても入れねばと思ふ」と、先の大戦を悔やむ言葉を入れることに拘られたが、吉田茂首相の反対で削除されたことも明らかになった。

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人に何かを頼む場合、丁重にやると断られる…

 人に何かを頼む場合、丁重にやると断られることがある。むしろ威張って対応すると、うまくいく。大したことのない画家でも、1枚何百円(明治30年代)という値を付けると、案外その値で売れることがある。

 小堀桂一郎訳・解説「森鴎外の『智恵袋』」(講談社学術文庫)に出ている言葉だ。強気でいった方がいい結果になるという話だ。『智恵袋』は鴎外が30代後半のころに書かれたものだが、陸軍軍医として勤務した実体験を踏まえているのは当然だろう。

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2016年に日本で公開されたブラジル映画…

 2016年に日本で公開されたブラジル映画「ストリートオーケストラ」は、スラム街に住む学生たちが交響楽団を作り上げていく物語。暴力、麻薬、貧困などを抱えた社会だが、音楽を通して若者が未来に夢を抱いていく。

 この映画に特別出演したのは、サンパウロ交響楽団とその音楽監督マリン・オールソップさん。楽団は世界中のツアーで予定が詰まっていて、撮影は本編の撮影が終わってから6カ月後。

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水難事故が続いている。昔に比べ海や川に…

 水難事故が続いている。昔に比べ海や川に出掛ける人たちが減っている分、事故数は減少傾向だが、遊泳や水遊びに油断は禁物。その注意点は昔とあまり変わっていないように思う。

 連れ立って行く友人仲間とは、気心は知れていても水泳の技量は互いに違い、それが認識されていないことが少なくない。これが落とし穴で、劣る者が無理をして事故を起こすことも。遊泳は自制が必要で、基本的に自己責任だ。

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夏休み終盤、新学期へのカウントダウンが…

 夏休み終盤、新学期へのカウントダウンが始まるこの時期に、子供たちの自殺の心配が言われだしたのは平成27(2015)年からである。この年の内閣府の自殺対策白書によれば、過去約40年間の18歳以下の自殺者数を日付ごとに分類すると、9月1日前後の3日間が最多だった。

 自殺総合対策推進センターの平成27年度までの10年間のデータでも、同じような傾向が見られる。この間に自殺した小・中・高校の児童生徒の死亡時期も、最も多いのが8月下旬の153人で、これに9月上旬122人、4月中旬108人が続いた。

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犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする…

 犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案をめぐり始まった香港の民主化を求める抗議デモ。10週間以上にわたるが、鎮静化の兆しは見えていない。

 複数の地域のデモ参加者には若者の多さが目立つ。インターネットを介して拡大しているデモのあり方は、2014年に起こった雨傘運動の時の経験を生かしているようだ。当局は抗議行動の先行きを見通せず、押さえ込むのは容易でない。

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毎日、暑い日が続き、まさに真夏という感じ…

 毎日、暑い日が続き、まさに真夏という感じだが、少し物足らない感じがしていた。セミの鳴き声がしなかったからだ。最近になって、ようやく耳にするようになった。

 昨年の夏は、もう少し早い時期に鳴いていた気がするのだが、猛暑続きでセミも出番を遅らせたのかも。そんな思いになるほど、今年はセミの声がおとなしい。

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作家の沢木耕太郎氏が、JR東日本の車内誌…

 作家の沢木耕太郎氏が、JR東日本の車内誌「トランヴェール」8月号の巻頭エッセー「旅のつばくろ」で「書物の行方」と題する一文を寄せている。軽井沢の堀辰雄文学記念館を訪ね、堀が亡くなるまで完成を心待ちにしていたという書庫を見ての感慨が語られる。

 記念館を出た後、近くの古書店にふらりと入って店の人と話をする。店の番頭さんは、今古書業界は供給過剰で仕入れに困ることはないという。

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