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上昇気流 rss

作家安部公房が亡くなって、今年で20年。…

 作家安部公房が亡くなって、今年で20年。安部の愛人だった女優の山口果林さんが書いた『安部公房とわたし』(講談社)を読むと、安部をめぐる興味深いエピソードが記録されている。

 めったに他人の作品をほめない安部が、芥川賞作家丸山健二氏の新作にひどく感銘して、電話で伝えることになった。番号がわからないので、出版社に教えてもらって電話したのだが、丸山氏の反応は「誰ですか、あなた?」の一言だった。

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「芸術の力を世界に発信しよう」と…

 「芸術の力を世界に発信しよう」と2007年4月に始まった東京藝術大学の企画「学長と語ろうこんさーと」が、今回で14回を数え、先週末、同大学奏楽堂で作家の夢枕獏さんをゲストに迎えて開かれた。

 テーマは「人はなぜものを創るのか?」。宮田亮平学長はイルカをモチーフにした「シュプリンゲン」シリーズで知られる金工作家。夢枕さんは『陰陽師』シリーズなど、漫画化・映像化された作品も多い。

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科学上の新発見を競い合うグループ間で…

 科学上の新発見を競い合うグループ間で「実験装置のノウハウについて、自分たちが一定の結果を出すまでは外で使われないよう」に気遣いすることは常識だ(鈴木洋一郎著『暗黒物質とは何か』)。

 それほどでないにしても、原子力発電事業の現場なども技術革新や安全性確保を追究するため、各国間で競争意識が働き、互いに手の内を見せたがらない。このことが事故のデータなどを広く共有できない理由の一つにもなってきた。

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<くらがりへ人の消えゆく冬隣>角川源義。…

 <くらがりへ人の消えゆく冬隣>角川源義。夕方4時半の待ち合わせで外に出て、もう辺りが真っ暗なのに驚くこのごろである。今年もあと2カ月を切り、立冬が明後日に控えている。

 先々月下旬の10日間に行われた今年の秋の交通安全運動は、期間中の交通事故による死亡者が昨年より4人減り121人。106人だった一昨年に次ぎ、過去2番目に少ない結果を残したが、課題の子供と高齢者の事故防止では、15歳以下の死者は昨年より2人多い4人、65歳以上の死者は3人多い56人と果たせなかった。

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元ラグビー日本代表監督の平尾誠二さんが…

 元ラグビー日本代表監督の平尾誠二さんが将棋棋士の羽生善治さんとの対談で、スポーツ選手の「集中力」について日本人と外国人の違いを話している(『簡単に、単純に考える』PHP研究所)。

 外国人は「自分のために、倒される前に倒してやる」と「闘争本能」を前面に出すことで集中力を高めていく。それに対し日本人は「チームのために今ここで自分が頑張らないといけない、というようなところからじわじわ出て」きていると。いわゆるフォア・ザ・チームだ。

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きょうは「文化の日」。…

 きょうは「文化の日」。案外、知っているようで知らないのが「文化」という言葉の意味ではないだろうか。広辞苑では「文徳で民を教化すること」「世の中が開けて生活が便利になること。文明開化」などとなっている。

 これで何となく分かったような気持ちになるが、冒頭の「文徳」は今ではほとんど使われていない言葉だ。これも調べてみると「学問によって教化し、人を心服させる徳」とある。野蛮な風習をやめさせ、文化的な生活をさせることと言えるだろうか。

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19世紀英国の名随筆家チャールズ・ラムは…

 19世紀英国の名随筆家チャールズ・ラムはその『エリア随筆』で、人間には「借りる人と貸す人」の二つの種族があると述べている。もっともラムがそこで具体的に取り上げているのは、お金ではなく本の貸し借りである。

 ラムは言う。「書物の所有資格は、その書物の要求者の理解力、並びに鑑賞力に正比例する」。この説に従い友人に本を貸すため、ラムの書棚は、例えばボナヴェントゥーラ全集など櫛の歯が抜けたようになっている。

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みのもんたさんが先月、息子の犯罪による…

 みのもんたさんが先月、息子の犯罪による報道番組降板に関して会見した。成人した息子が起こした事件に、親がどれだけ責任を問われるのかが焦点の一つとなった。が、みのさんという特定の個人が置かれた立場を考えると、通常とはやや違った側面も見えてくる。

 スタジオに政治家を呼んで時にどなりつけるのは、報道番組の司会者という地位があってはじめて可能なこと。その意味で、みのさんは権力者だった。収入も莫大だっただろうし、豪邸もそれにふさわしいものだった。

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「いくつになっても童女の心を持っていた…

「いくつになっても童女の心を持っていた越路さんは、パーティーのさなかに私をベッドルームへ引っ張って行き、小さな声で、『私いくつになったの? 本当にいくつ?』と耳元でささやくこともあった」

 先日亡くなった作詞家の岩谷時子さんは『愛と哀しみのルフラン』の中で、シャンソン歌手・越路吹雪さんの思い出を綴った。岩谷さんはマネジャーで、「私のことを書いてね」という越路さんとの約束を果たしたのだ。

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通勤時に通る商店街の街灯に、… 

 通勤時に通る商店街の街灯に、地元の小学生の「リニア」と題した乗り物の絵が釣り下がっている。これを見て、気流子が小学生の時、新幹線「こだま」の絵を夢中で描いたのを思い出した。あこがれの夢の乗り物は今、リニアモーターカーなのだろう。

 少年の心に抱かれる「夢」は、生活の中で見聞きする身近な情報が基になっている。まったくの空想だったり、遠く手の届かないものだったりすることはないようだ。

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伊豆大島に子供たちの笑顔、台風通過で学校再開

 昨日の夕刊に掲載された登校する通学路や小学校ではしゃぐ子供たちの笑顔の写真に、心が躍った。台風26号の局地的豪雨による土石流で甚大な被害を受け、27号の通過で避難指示が出て休校が続いていた伊豆大島(東京都)で、小、中学校が4日ぶりに再開。

 久しぶりの秋晴れの下では、島外に自主避難した住民らの帰島が始まり、中断していた自衛隊、消防、警察などによる行方不明者の捜索や住民らの家の片付けも再開された。島に一日も早く安心できる日常生活が戻るよう、国や自治体などの迅速な措置を願いたい。

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国家主導で起業への追い風

 安倍政権は大胆な規制緩和を進めて新たなベンチャーの起業を支援するという。そのこと自体はいい。だが、わが国の起業、創業活動の歴史を見ると、話は簡単ではない。

 1970年代前半と、80年代半ばに「ベンチャーブーム」と言われるほどの多くの起業があり、それぞれの専門性、開発力が注目された。しかし、倒産する企業も多く、むしろ中小企業を含む産業構造の脆弱性をさらけ出した。

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本と旅する 本を旅する、きょうから読書週間

 「辞書閉ぢて音の重さや秋灯下」(水本みつ子)。きょうから11月9日まで第67回読書週間。標語は「本と旅する 本を旅する」。旅行に本を持参し、そして本の中で知的な旅を、ということだろう。いかにも読書週間にふさわしいが、ふと疑問も。

 本は、かさばり重量がある。旅行に持って行くとしたら、カバンに詰め込めるのはせいぜい数冊だろう。文庫本でも5~6冊がいいところ。本と旅するとすれば、肩こりを覚悟しなければならない。

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東京・神田で、恒例の「神田古本祭り」始まる

 東京・神田の古書店街は、世界一の規模を誇る。ここで恒例の「神田古本祭り」がきょうから始まる。今や東京の秋の名物となったこの催し、掘り出し物を求めて全国から本好きが集まってくる。

 東京には神田の他に、本郷と早稲田にまとまった古書店街がある。東大キャンパスに近い本郷古書店街は、学術専門書を扱う店が中心。早稲田の方は、文学や政治関係の本の店が多い。月に1度、早稲田古書店合同で古書市を高田馬場駅近くのビルで開いている。

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来年のNHK大河ドラマは「軍師官兵衛」。…

 来年のNHK大河ドラマは「軍師官兵衛」。豊臣秀吉の側近、黒田官兵衛を描く。ドラマを当て込んだ本も多く出版されている。この種の「当て込み本」は、昔はあまりなかったが、最近はよく見られるようになった。

 官兵衛は伝説の多い人物だ。本能寺の変で織田信長の死を知った官兵衛が「これでご運が開けますね」と秀吉に向かって言った、と岡谷繁実著『名将言行録』にはある。

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歴史上の人物にはさまざまな謎がある。…

 歴史上の人物にはさまざまな謎がある。それを解こうと歴史家たちは資料の森に分け入る。しかしそれでも謎が残る。そのようなところで作家は想像力の羽を広げるのだ。

 「侘び茶」の完成者、千利休は秀吉から切腹を命じられて自刃したが、その理由も諸説あってはっきりしない。歴史小説『利休にたずねよ』で直木賞を受賞した山本兼一さんも利休の謎に挑んだひとり。

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近年、世界各地で締結されている自由貿易協定は、…

 近年、世界各地で締結されている自由貿易協定(FTA)は、同一の経済秩序の下での“有志連合”を形成する2国間以上の国際協定だ。

 先日、欧州連合(EU)とカナダのFTA交渉が大筋合意に達した。EUが主要先進国と締結するのは史上初めて。協定が発効すれば99%強の関税が撤廃され、双方間の物品・サービス貿易の規模は20%以上拡大すると予想される。

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10月の3連休初日の東京は…

 10月の3連休初日(12日)の東京は季節外れの暑さで、前日の98年ぶりに塗り替えた観測史上最も遅い真夏日(最高気温30度以上)記録をさらに更新した。4年続きの記録的な猛暑となった今夏の勢いは、朝晩は涼しく感じるような晩秋に入っても顔を出してきた。

 そうかと思うと、先週は台風26号による記録的な大雨で伊豆大島が、土石流に襲われ死者・行方不明者48人という大被害を被り、ぐずついた少し肌寒い日が続いた。

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1957年建造の砂防会館の建物の前に…

 1957年建造の砂防会館(東京都千代田区平河町)の建物の前に脚絆をつけた紳士の銅像が立っている。土砂災害を防止する「砂防」事業に尽力した赤木正雄翁(1887~1972)だ  わが国は明治以降、主に堤防設置によって河川の氾濫防止に努めた。その一方、山林が国によって民間に乱売されたことで荒廃したり、伐採されたりしたことが水害や土砂災害を誘発する原因となった。

 これに対し、国が総合的な砂防工事に力を入れ始めたのは大正末期で、これを指導したのが赤木だった。赤木は大学の林学科を出た森林の専門家だが、「治山のためには砂防を、砂防のためには上流に森林を」が信条でその通り実践した。

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「肌寒も残る暑さも身一つ」(高浜虚子)。…

 英国は経験論哲学の生まれた国として知られる。フランシス・ベーコンがその祖といわれる。これは哲学の入門書に書いてある通りだが、その経験主義の伝統は現代の英国にも生きている  卑近な例だが、それを一番感じるのは、横断歩道での信号待ちの時。英国人は赤信号でも、周りの状況を見て安全と判断すれば、さっさと渡ってしまう。律義に信号待ちをするドイツ人とは対照的である。日頃のちょっとした行動も伝統や国民性と分かちがたく結びついている。

 日本は昔から台風や地震の多い国で、災害に関しては経験豊富な民族といわれる。しかし、最近の異常気象は、かつての経験だけで判断しては危ない、ということを痛感させられるものばかりだ。最近よく聞く「これまでに経験したことのないような……」という言葉がそれを象徴している。

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英国は経験論哲学の生まれた国として知られる。… 

 英国は経験論哲学の生まれた国として知られる。フランシス・ベーコンがその祖といわれる。これは哲学の入門書に書いてある通りだが、その経験主義の伝統は現代の英国にも生きている。

 卑近な例だが、それを一番感じるのは、横断歩道での信号待ちの時。英国人は赤信号でも、周りの状況を見て安全と判断すれば、さっさと渡ってしまう。律義に信号待ちをするドイツ人とは対照的である。日頃のちょっとした行動も伝統や国民性と分かちがたく結びついている。

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森鴎外が亡くなったのは大正11年、…

 森鴎外が亡くなったのは大正11(1922)年、60歳の時だ。代表作は「阿部一族」とされる。この短編を含む『阿部一族・舞姫』(新潮文庫、平成24年)には、70ページに及ぶ「注」がついている。同じ文庫の平成12年版では8ページ。12年の間に9倍近くに増えた。鴎外の作品は最近の読者には読みにくい、ということだろう。

 24年版には「阿部一族」だけでも「肥後」「荼毘」「三途の川」「加藤清正」「新免武蔵」「いかい時が立つ」などに「注」がつく。

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クラシック音楽の世界では、…

 クラシック音楽の世界では、演奏活動と共にそれを支える学術研究が行われ、相互協力の中で上演が進められている。上演史が記録されてきたように新たな上演は新しいページを開く。

 先週、日本ロッシーニ協会(水谷彰良会長)の主催により、東京・紀尾井ホールで歌劇「マオメット2世」抜粋の公演が行われた。近年評価の高いオペラ・セリアの頂点をなす名作で、1820年ナポリで初演。

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