高永喆の半島NOW
韓国の選択は米日しかない
同盟国の間にも突発的な事態は発生するが、同盟国としての対処の仕方がある。
1994年6月、環太平洋合同演習(リムパック)で日本の護衛艦が米艦載機A6機を標的と誤認し撃墜したことがある。しかし、事態は日本の遺憾表明で早期収拾された。

北延命の道は非核化だけだ
昨年、米朝間は戦争前夜を彷彿させるほど緊張が高まったが、今年6月の首脳会談を境に緊張緩和ムードに転じた。しかし、11月の米中間選挙の後も両国の非核化交渉は膠着(こうちゃく)状態に陥り、再び緊張が高まる状況を呈している。それでも、トランプ米大統領は余裕満々のスタンスである。
トランプ氏が金正恩朝鮮労働党委員長の親書をもらって気軽に首脳会談に転じた背景には、北朝鮮が「中国の覇権を抑える米国の外交路線に前向きに協力する」と約束した可能性が考えられる。即ち、北朝鮮は米国の覇権を脅かす中国を封じ込めたい米国の本音を突いて、自ら「米国の味方になる見返りとして、CVID(完全かつ検証可能、不可逆的な非核化)より段階的な非核化を配慮してほしい」と要請した可能性を否定できないのだ。

核固執は金体制崩壊の火種
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が今年6月12日、米朝首脳会談に応じた狙いは米国から体制を保証してもらうことだった。
年初、金委員長は「米国の全域がわれわれの核攻撃の射程圏内にあり、核のボタンは私の事務室の机に常に置かれている」と脅迫したが、米朝首脳会談に応じたのは米国に降伏したのに等しい。

“晴れ時々曇り”の韓日感情
韓日の有職者が指摘する両国関係にはユーモアが溢れる。
韓日感情は「建前では嫌いだが本音では大好きな恋人関係だ」「儒教習慣の韓国は兄(中国)から殴られたことは許せるが、弟(日本)から殴られたことは許せない」。それが本質なのだという。

高まる米の対北非核化圧力
中間選挙が終わり、米国で北朝鮮への非核化圧力が強まっている。
有力シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は12日、北朝鮮が公表していない推定20カ所の弾道ミサイル基地のうち、少なくとも13カ所を特定したとする報告書を発表した。

危険水位に向かう韓国の安保
スターリン、毛沢東の独裁政権は権力争奪戦で大量虐殺を犯した共通点がある。金正恩3代世襲・長期独裁政権も叔父、兄、側近140人以上を殺した。今回の南北首脳会談はこのような独裁者と偽装平和ショーを演出しながら、韓国の武装解除を招いたという否定的な見方が多い。
北朝鮮は今回、ウラン濃縮核に全然言及しておらず移動式弾道ミサイルについても言及しなかった。従って、米韓を騙すためのその場しのぎのショーであり、見せ掛けの非核化意志ではないか、と疑われている。

非核化へ手詰まりの北朝鮮
北朝鮮の非核化をめぐり楽観的な見方と悲観的な見方が交錯している。
6月12日、金正恩国務委員長がクーデターと暗殺の危険を覚悟してシンガポールに行った目的は、命の保全と体制保証だった。結果的に、彼は命を保全し、戦争勃発の火種も一応、消し止めた。

米国接近で揺れる北朝鮮内部
北朝鮮の体制を支える二本柱は反米主義と反日主義である。金日成は日本帝国と戦った抗日戦争の英雄であり、米帝国と戦った抗米戦争の英雄だと宣伝する。
外に敵をつくって国民の敵愾心を高め、国民結束を図るのが独裁政権の常套手段だ。従って、北朝鮮の最高権力機関は労働党の組織指導部と宣伝扇動部になっている。

北が米中間で二股外交へ
北朝鮮外務省の崔善姫副相は5月24日、核問題のリビア方式の処理を主張したペンス米副大統領を「間抜け」と非難し「米朝首脳会談を物乞いしない」と発言した。この発言が引き金となり、トランプ米大統領は5月25日、米朝首脳会談を取り消したが、6月1日、北朝鮮の金英哲労働党副委員長がトランプ大統領を礼訪して金正恩労働党委員長の親書を手渡すと、自ら米朝首脳会談の開催を発表した。

経済再建のカギは核放棄だ
米朝首脳会談に向けて韓半島周辺の動きが活発だ。東京での韓中日首脳会談に先駆けて、金正恩労働党委員長が専用機で中国・大連を訪れ習近平主席と最近、2度目の会談。ポンペオ米国務長官も急きょ平壌を訪れ、首脳会談の最終調整を行っている。
米朝首脳会談はドラマチックで歴史的な世紀の会談だと言われている。

シリア空爆は対北軍事行動の予告編だ
今回、米、英、仏の海・空戦力のシリア空爆は迅速かつ完璧な戦果を上げた。シリア駐屯ロシア軍の新型対空ミサイルS400が反撃できなかった理由は、米英仏連合軍を刺激すればロシア軍も空襲を浴びる恐れがあるからだろう。
中国もロシアも米国に対抗して戦争に巻き込まれたら経済が崩壊する恐れがある。米国は中露が米国に対抗出来ない厳しい経済状態であることを見抜いている。

北の偽装平和戦術は不変
北朝鮮の積極的な融和姿勢は、国際社会の制裁と米軍戦力の最大の圧力が効果を発揮していることの証である。北朝鮮は住民の生活難による不平不満が爆発することへの恐れから融和路線に舵(かじ)を切ったと考える。

スリーパーセルの知られざる脅威
1904年、日露戦争の開戦後、中立国スウェーデンに本拠地を移したロシア駐在武官、明石元二郎大佐(当時)はレーニンを包摂して帝政ロシアに送り込み、ストライキやサボタージュなどの工作活動を通して厭戦(えんせん)気分を増大させ、日露戦争を勝利に導いた。
当時、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は「明石大佐は1人で日本軍20万人に匹敵する戦果を上げた」と賞賛した。

米が準備する“鼻血作戦”
北朝鮮は昨年12月、習近平中国国家主席の特使を門前払いするなど米・中の対話プロポーズを拒み続けたが、年が明けてからは平昌五輪参加をはじめ融和ムードを造成し米国の軍事行動にブレーキを掛けようと懸命だ。
先日は李容浩外相が国連事務総長に米国の核戦争挑発を止めてほしいと書簡を送ったりもした。

北朝鮮と“無限核競争”
国際社会では国連安全保障理事会の常任理事国5カ国だけに核保有が認められ、これ以外の国の核保有はNPT(核拡散防止条約)によって禁止されている。
しかし、インド、パキスタン、イスラエルは既に核保有国家であり、北朝鮮も事実上の核保有国である。米国務省は北朝鮮を核保有国と認定はしていないが、米国防総省は核保有国として受け止めているというのが事実である。いわば、「ダブルスタンダード外交」路線である。

臨界点近づく対北軍事行動
北朝鮮は12月24日、国連安全保障理事会の追加制裁に賛成した国々、つまり欧米諸国はもとより中国とロシアに対しても恫喝まがいの警告を行った。これは自滅を招きかねない危険過ぎる冒険である。

安保危機招く中国傾斜
韓国の文在寅大統領は13日から中国を国賓訪問する。
北朝鮮の核問題の平和的解決や朝鮮半島での平和定着に向けた連携などを協議するとのことだが、中国は10月末、韓中両国が暫定合意した「3不」の立場を守るべきだと強調している。THAAD(高高度防衛ミサイル)追加配備、米MD体制参入、日米韓同盟発展の三つは「不可」という要求だ。

平和解決望むなら石油禁輸
中国は国境紛争で対峙するインドを牽制(けんせい)するために隣国パキスタンの核武装を間接的に支援した先例がある。それもあって、北朝鮮の核武装も日本を牽制するために「暗黙の了解」を与えているのではないかと疑問視されている。

テロ支援国再指定、対北軍事行動の可能性高まる
米国は中国特使が訪朝を終えた段階で北朝鮮をテロ支援国に指定した。北朝鮮を「殺人政権」と認定し、9年ぶりの再指定だ。
今後、北朝鮮が米国と国際社会の圧力に屈しない場合、米国の軍事行動の可能性がますます高まるはずである。

軍事行動に自信持つ米国
今回、トランプ大統領は韓国国会での演説で「(朝鮮戦争で)3万6000人の米国人が戦死し、15万人が負傷」してまで守った韓国を命掛けて守ると述べ、韓国国民に心強いメッセージを与えた。さらに、残酷な悪党の体制は絶対容認しないと警告した。
米国は3隻の空母打撃戦団を日本海(東海)に出動させ対北軍事圧力を強めている。

北朝鮮が核保有で高まる崩壊の可能性
北朝鮮が核を掴(つか)んで放棄しない理由は72年間、孫の代まで継承してきた長期政権を守るためである。ルーマニアのチャウシェスク、イランのフセイン、リビアのカダフィーの長期政権は核を持ってないから崩壊したと、北朝鮮は教訓にしている。
しかし、その核が、むしろ北朝鮮の政権を崩壊を呼び込む恐れがあることを、北朝鮮の指導層は自覚しているだろうか。彼らはでたらめでも愚かでもないはずだ。

トランプ発言は対北心理戦
2003年、イラク戦争で、米軍は潜伏するフセイン大統領親衛隊(最大2万人超)に投降勧告のビラを大量散布した。ビラの内容は「降伏する兵士は皆最大限優遇する」というもの。その結果、フセイン親衛隊の兵士も多く米軍に投降した。
フセインは逃亡生活の末、国内の隠れ家の地下穴で米軍に拘束され特別法廷により死刑宣告を受け絞首刑となった。血を流さない情報心理戦が成果を挙げた実例である。
