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山田寛の国際レーダー rss

国際法破りの中国、日本もモンスターを育てた

 南シナ海に関する中国の主張を否定した国際仲裁裁判所の判決から半月、中国は強引な外交工作と軍事的示威で、断固拒否姿勢を貫いている。1989年の天安門事件の武力鎮圧に反対して失脚した趙紫陽・元総書記の極秘回想録の表現を借りれば、「法も天も恐れない党」の本領発揮だ。

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猫選手を応援するわけ

 先日、リオ五輪選手団壮行会で、森喜朗・東京五輪組織委員長が「国歌を歌えない選手は、日本代表じゃない」と苦言を呈した。朝日新聞のコラム「天声人語」は「国を背負わされることで失われる豊かさがある」と批判し、「国境を忘れるほど」競技自体を楽しもうと呼びかけた。

 壮行会でいまさらこんな苦言が出るのも、それが批判されるのも、日本だけだろう。

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共産党の連合政府構想、世界の例から考える

 40年前の7月2日、ベトナム社会主義共和国が成立した。ベトナム戦争が、北ベトナム主導の共産側の完全勝利で終わってから、わずか1年2カ月後。戦争終結まで、共産側は「南ベトナムでは、民族解放戦線の政府『臨時革命政府』(PRG)を中心に、第三勢力など広範な勢力による『民族・民主革命』を進める。社会主義革命は急がない」と明言していたが、武力勝利したとなると、大急ぎで北による南併合、社会主義革命へと突進した。民族・民主…などは反古(ほご)にされた。

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中国ルールに対抗 日本は開発支援と台湾との協力強化を

 今月、シンガポールでのアジア安保会議で、孫建国・中国軍副参謀長は、ハーグの仲裁裁判所から南シナ海問題で判断が出ても、「そんなものには従わない」と明言した。昔、「おれがルールブックだ」と言ったプロ野球名審判がいたが、中国のルールブックには、自分勝手に書き込んだ、力のルールしか記されていない。

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伊勢志摩サミットの最重要命題と北方領土・対露経済協力

 今週の伊勢志摩サミットで最も重要なのは、「力による現状変更は絶対容認しない」と、最大限強力に再宣言することだろう。

 昨年も、ロシアのクリミア編入を非難し経済制裁継続を決め、中国を名指しはせずに、海の大規模埋め立てなどに反対した。だが中ロの振る舞いは変わらない。中国は昨年、南シナ海の埋め立て面積を6倍以上に拡大したという。

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大きなステップ、オバマ大統領が広島を訪れる時

 今月末の伊勢志摩サミットを機に、オバマ米大統領の広島訪問が実現する。2009年の就任直後の演説で、「核兵器を使用した唯一の核保有国」として、「核のない世界平和・安全」追求の先頭に立つと宣言し、ノーベル平和賞も受賞したオバマ氏。その後、実行面では大した成果を挙げられなかったが、最近もそれに向けての「米国の道徳的義務」に言及している。広島を訪れることにより、その姿勢は貫徹される。

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日本の報道の自由度ランク、なぜそんなに低い?

 世界で72位。国際NGO「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)が先日発表した、2016年版「報道の自由度ランキング」での日本の順位だ。アジアでも、台湾、モンゴル、香港、韓国より下というのである。

 私も、日本の報道の自由度が世界最高レベルとは思わない。新聞記者時代、社内の自己規制ムードに辟易(へきえき)したこともある。だが、RSFの数字には、以前から首をかしげてきた。

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トランプ認識は周回遅れでも、彼の提起する問題は無視できない

 1992年の米大統領選予備選の最中、米南部のオクラホマ州の町を訪れ、「日本車たたき」場面に出会った。日本車の「侵略」が、米自動車産業に打撃を与え、日本の政治家の「米労働者は怠け者」発言なども伝わり、日本への怒りがあちこちで噴出していた。その町では、米中古車販売店主が、店先にいけにえの古い日本車を置き、1回1㌦で通行人に憂さ晴らしをさせていた。中年の大男が、重いハンマーでぶったたいていた。近くにGMの工場があり、1日5人以上がたたいて行くとか。ドンという音と共に、日米両方が傷ついて行く気がした。

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伊勢志摩サミットまで2ヵ月、難民・移民政策構築の好機

 5月26、27日の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)まで、2カ月余りとなった。会議の一大テーマは、欧州を覆う難民・移民危機だろう。

 欧州が分裂し、「歴史家は、2015~16年に、欧州崩壊が始まったと記すだろう」(仏ルモンド紙)とすら言われている。

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闘うナディアと女性たち

 今年のノーベル平和賞候補は、2月初めに推薦が締め切られ、同月末から委員会の選考作業が始まった。376の候補の中に、21歳のナディア・ムラドの名がある。イラク政府やノルウェー国会議員など、複数の推薦による。

 「今この瞬間も女性たちがレイプされている。でも救いは来ない。どうかIS(「イスラム国」)をせん滅してください」。

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中韓蜜月と日米韓協力の間 振り子はどこまで振れるか

 UPFの会議に参加する機会があり、韓国を訪れた。

 北朝鮮の核、ミサイル実験に対し、朴槿恵政権が南北協力の開城工業団地を閉鎖した。中国が猛反発する米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備への公式協議にも踏み切った。そんな重大決断直後のソウルは、重苦しい空気を感じさせた。

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天皇・皇后両陛下のフィリピン御訪問

 天皇、皇后両陛下がフィリピンを訪問され、両国の戦没者160万人を慰霊されている。

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世界はジャングルの秩序 中東の父子鷹はどうする

 1991年1月17日、米軍などが、クウェート侵攻中のイラクへの空爆を開始、湾岸戦争が始まった。ブッシュ(父)米大統領は、「侵攻は絶対許せない。今や新世界秩序が進行しているのだ」と強調した。東西冷戦が終結しそうな中、中東の無法退治で新世界秩序ができる、と考えたのだろう。

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仏メディアにあふれた「カミカゼ」

 テロに明け暮れた今年。IS(イスラム国)の特大テロに襲われたフランスの報道を追っていて、心に刃物が突き刺さった。kamikazeという語がいっぱいだったからである。

 英語その他にも「カミカゼ」は入っている。2001年の米同時多発テロも、「カミカゼ・アタック」と形容された。だが、仏語にはより深く浸透し、形容詞的用法だけでなく、決死テロ実行犯が皆「カミカゼ」と呼ばれる。

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対IS、三つの手術 決断と覚悟が迫られる

 パリのテロ事件後、日本の左派メディアには、対IS(「イスラム国」)空爆強化批判が多かった。「対話と貧困者支援でテロ根絶」から「安倍首相は、『テロ組織加入を考えている諸君…世界をよりよくするため共に歩もう』と呼びかけよ」まで、観念論が目立った。だが、ISは問答無用で支配地の民衆も虐殺し、凌辱(りょうじょく)している。空爆は、そんな“がん”に挑む手術である。

 1979年、カンボジアのポル・ポト国民虐殺政権を倒したベトナム軍侵攻は国際的に非難されたが、それで何十万もの国民が命拾いした。私は直後の現地取材で、「外国が攻めてきて救ってくれるのを願っていた」という声を、多数聞いた。

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スー・チーさん これからが正念場

 世界的に民主主義国が増えない中、ミャンマー総選挙で、アウン・サン・スー・チーさんの「国民民主連盟」(NLD)が超大勝した。スー・チーさんは通算15年も軟禁、投獄された苦難の末、とうとうここまで来た。

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オバマ米国と平和賞の呪縛 南シナ海対決で解けるか

 今年のノーベル平和賞は、「アラブの春」の民主化と過激派テロが同居する国チュニジアで、国内対話を進め、民主化を守ってきた4団体、「国民対話カルテット」の受賞が決まった。地域の民主化運動全体への波及効果が期待される。

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アフガニスタンもまた厳しく

 難民、ロシア軍空爆、イスラム超過激派IS。シリアは混沌の極みだが、アフガニスタン情勢も厳しくなってきた。9月末、反政府ゲリラのタリバンが、北部の州都クンドゥズを一時制圧した。政府軍がその後奪回を発表したが攻防戦は続き、米軍機の病院誤爆も起きた。一方、首都に近い東部ナンガルハル州で、浸透を強めているISの武装勢力が、初めて警察の検問所を襲撃した。

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厳しい写真も直視しよう 難民幼児の死と軍事パレード

 1枚の写真が、欧州と世界をゆさぶった。

 今月初め、トルコからボートで欧州を目指した3歳のシリア難民、アイランくんの悲しい水死体写真。日本の新聞やテレビは海岸の遺体をズバリ出さなかったが、欧米では出したマスメディアも多く、欧州連合(EU)に大きな衝撃を広げた。

 EUはすぐ、計16万人の難民受け入れ方針を決めた。難民・移民受け入れに消極的になっていた英仏首脳も、「義務と道義的責任」を再確認した。

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心配な非民主タイ 中国への傾斜が進むのか

 今月中旬、アジアに響いた三つの爆発・砲撃音。

 天津の超大爆発は、「経済発展の裏の人命軽視と情報統制」を露呈した。タイ・バンコクの爆弾テロは、犯行目的などまだ不明だが、親中国へ傾斜するタイ軍事政権が、ウイグル人難民を強制送還したことへの報復との見方も出ている。北朝鮮の対韓国砲撃は、危機を作って交渉する例の瀬戸際戦術だが、朝鮮半島が常に火薬地帯であることを改めて示した。

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正恩氏が広島にやって来る日

 8月6日を前に広島に行った。平和記念公園と資料館は、山口で開催中のボーイ&ガールスカウト世界大会の参加者が団体で訪れていて、外国の少年少女がいっぱいだった。

 外国人、特に若者が大勢見学に来てくれるのは心強い。資料館の外国人入場者は、昨年度、初めて20万人の大台に乗った。窓口で見て外国人と判(わか)る入場者の合計だから、実数はもっと多いわけだ。

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地中海のボートピープル、ギリシャなどに支援・連帯表明を

 6月下旬、ギリシャとイタリアを回った。金融危機ではなく、地中海の難民・移民のボートピープル問題の調査旅行である。

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サミット今昔感 欧州の主役への復帰がカギ

 先日ドイツで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、中国やロシアの力による現状変更の試みへの明確なNOを、宣言に盛り込んだ。その方向へ強くリードしたのは安倍・日本で、「日本が国際政治のプレーヤーになった」(櫻井よしこ氏)と評価されている。だが、1980~90年代に、記者としてサミットをフォローした私は、今昔の感に堪えなかった。  当時のサミットはレーガン米、ミッテラン仏大統領、サッチャー英、コール西独首相ら大型役者がそろい、東西冷戦の政治でも、経済でも、ガチンコの丁々発止を繰り広げた。欧州首脳は、欧州にかける思い、哲学を強く感じさせた。

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