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訪日客増加、地方への誘客を進めたい

 今年上半期(1~6月)の訪日外国人数(推計値)は、前年同期比28・2%増の1171万3800人と、過去最高を更新した。半年間で1000万人を超えたのは初めてだ。

 円高で「爆買い」失速

 観光は日本の成長戦略の柱の一つであり、安倍晋三首相は観光を基幹産業とする「観光先進国」を目指す方針を示している。昨年1年間の訪日客は1973万7400人でわずかに2000万人に届かなかったが、今年は現在のところ2000万人を上回るペースだ。

 政府は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年の訪日客数の目標として2000万人を掲げてきたが、現在は2倍の4000万人に引き上げている。この目標に向け、まずは今年の2000万人超えを着実に達成する必要がある。今月はマレーシアやインドネシアでイスラム教の断食月(ラマダン)明けの旅行シーズンを迎えるため、訪日客増加が期待される。

 上半期の主な国・地域別の内訳は、中国が41・2%増の307万6600人で首位。韓国は238万3000人(31・0%増)、台湾は215万5800人(20・3%増)で上位に並び、香港、米国、タイなども順調に伸びた。

 航空路線の拡充などが寄与したものだが、牽引(けんいん)役の一つが中国などからのクルーズ船の来航ラッシュだ。6月の外国船の寄港は156回に上り、前年同月より77%も増えたという。一方、今年4~6月期に訪日客が買い物や宿泊、飲食などに使った旅行消費額は前年同期比7・2%増の9533億円。総額では増えたが、1人当たりでは9・9%減の15万9930円で、2四半期連続で前年を下回った。

 特に、中国人旅行者1人当たりの支出額はピーク時(15年1~3月期)の30万434円から約8万円落ち込み、21万9996円にとどまった。化粧品や香水の購入は増えているが、高額な家電製品は減少する傾向を強めている。これは円高や中国政府の課税強化などが影響したものとみられる。中国人の「爆買い」に過度に依存するのではなく、訪日客に喜ばれる商品・サービスを提供できるよう工夫を重ねることが求められる。

 観光庁は、訪日客がツイッターなどのインターネット交流サイト(SNS)に書き込んだ内容の調査と分析に乗り出す。日本の旅行環境に関する要望や不満を膨大なデータから抽出し、政府の施策に活用することが狙いだ。外国人の目線に立って、きめ細かく対応すべきだ。

 東京五輪に向けて都市整備などが進むため、基本的に訪日客の増加の流れに変化はなさそうだ。今後は、地方での長期滞在や体験型ツアーなどを充実させることが欠かせない。その場合、欧米人は日本の原風景、タイ人は山など、国によって好みが違うことに目を向けることも重要だろう。誘客には、それぞれの地方の特色を生かしたい。

 テロ対策を徹底せよ

 最近は世界各地でテロが続発している。日本でテロが生じれば、訪日客の減少にもつながろう。テロ対策を徹底し、訪日客が安心して旅行できる環境を整える必要がある。

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