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アベノミクスの「推進」か「転換」か政策競え

 来月の参院選へ向けた主要政党の公約が出そろった。経済政策では約3年半にわたる「アベノミクス」の推進か転換かが大きな争点である。

 少子高齢化が著しく進み、人口減少時代に入った日本の経済をどう舵(かじ)取りしていくか。あるべき姿を掲げ、その実現に向けた政策を競ってほしい。

消費増税で歯車狂う

 大きな争点はやはり、政権与党が進めてきたアベノミクスをどう評価するかである。

 第2次安倍政権が2012年12月に成立してから約3年半。同政権が進めたアベノミクスは「3本の矢」、具体的には大胆な金融緩和と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略で、長年続いてきたデフレからの脱却を目指した。

 その結果としての現状はどうか。安倍晋三首相が強調するように、雇用は回復し、春闘では3年連続の賃上げが実現した。求職者1人当たりに企業から何件の求人があるかを示す有効求人倍率は上昇基調が続き、今年4月には初めて全都道府県で1倍を上回って「完全雇用」に近い状態を実現した。これは確かに「成果」として評価できよう。

 「黒田バズーカ」と言われた大胆な金融政策により、11年3月の東日本大震災後に1㌦=75円台まで進んだ円高は一転して円安に向かい、株高をもたらした。機動的な財政出動では、政権発足直後の13年初めに13・1兆円規模の大型補正予算を組んで景気刺激策を実施。15年度には名目国内総生産(GDP)はリーマン・ショック前の07年度以来となる500兆円を回復、税収も二十数兆円増加した。

 景気の現状はしかし、プラス成長とマイナス成長を繰り返す足踏み状態である。GDPの6割弱を占める個人消費は低迷が続き、新興国の経済減速もあって輸出も冴えず、景気の牽引役が見当たらない状況である。

 円安・株高を演出して企業収益を向上させ、「官製春闘」で賃上げも実現させて「経済の好循環」を目指したアベノミクスはどこで歯車が狂ったか。

 14年4月の消費税増税である。この影響などから、折角の賃上げも物価上昇に追い付かず、実質賃金は5年連続で減少。個人消費低迷の主因となり、需要の落ち込みから企業は設備投資に積極的になれずにいる。

 14年の増税は、旧民主党政権時代の12年6月の3党合意によるものであり、安倍政権が律儀に実施した結果とも言える。同政権が増税の悪影響を見誤ったことは確かだが、3党合意という形で増税を主導した旧民主党すなわち今の民進党の責任も決して小さくない。「アベノミクスの失敗」を言える立場ではない。同罪である。

経済立て直しの有効策を

 安倍首相は第2ステージのアベノミクスとして「成長と分配の好循環」を掲げ、実質的に変容しつつある。完全雇用に近いとはいえ、非正規雇用の割合が約4割に達し、格差拡大など負の影響も出ている。マイナス金利の弊害も出始め、社会保障改革や子育て支援策は待ったなしである。そして何より、低迷する経済をどう立て直すか。各党とも政策を戦わせて有効策を示してほしい。

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