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訪日客目標倍増、日本の魅力の発信強化を

 政府は、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年の訪日外国人観光客数目標を2000万人から4000万人に倍増させた。昨年の訪日客数が1974万人に達したことを受けてのものだが、新たな目標の達成に向けて日本の魅力をさらに発掘し、発信を強化したい。

 20年に4000万人

 政府は訪日客の誘致拡大に向けた観光ビジョンをまとめ、20年の目標を4000万人としたほか、宿泊・飲食代などの消費額の目標を「20年に8兆円」とした。30年にはそれぞれ6000万人、15兆円としている。

 安倍晋三首相は「観光はわが国の成長戦略の柱の一つ、地方創生の切り札だ」と語り、観光を基幹産業とする「観光先進国」を目指す方針を示した。これまで事前申込制だった皇居や京都御所など日本を象徴する施設を、当日受付で公開することも決まった。日本の魅力を一層高め、新たな目標を着実に達成することが求められる。

 先月の訪日外国人数は、前年同月比36・4%増の189万1400人だった。円安や燃油安に伴う訪日旅行の割安感、航空路線の拡大などを追い風に、単月では昨年7月(191万8400人)に次ぐ2番目に多い水準となった。

 国・地域別では、首位が中国で前年同月比38・9%増の49万8900人。景気減速が指摘される中、訪日意欲の衰えは見られなかった。だが、先行きは予断を許さない。中国人客の観光需要だけに頼らない戦略が必要となろう。

 観光ビジョンでは、来日2回以上のリピーターの目標数を、20年に2400万人、30年に3600万人とした。リピーターを増やす上で、東京や大阪など「ゴールデンルート」に偏る訪日客の地方への誘致は大きな課題だ。

 ゴールデンルートだけでは、ピーク時には宿泊施設や交通機関が混雑するため、満足感を得にくい。それらを確保できずに訪日を諦める人もいるとみられている。観光ビジョンでは、文化財を核とする観光拠点を200程度整備するとしているが、いかに地方の魅力を発信するかが問われる。

 多くの言語によるガイドの充実や地方空港の格安航空会社(LCC)の路線増なども不可欠だ。こうした取り組みを地方創生にも結び付けたい。

 日本の生活に触れたい訪日客のために、住宅の空き部屋を有料で貸し出す「民泊」の規制緩和を進めることも大切だ。政府は家主が同居する「ホームステイ型」に関して、将来的には自治体の許可を得なくても届け出のみで営業を可能とする方針を決めた。

 家主との交流などを通じて、訪日客の満足度を高めることができれば、リピーターの増加にもつながろう。治安維持にも留意しつつ、規制緩和に向けて詳細を詰めてもらいたい。

 テロの防止も重要だ

 日本では今年5月に伊勢志摩サミット(先進国首脳会議)を控え、テロへの警戒を強化している。テロが起きれば観光も大きな打撃を受ける。訪日客数の目標を達成する上でも防止は重要だ。

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