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消費減少抑制へ軽減税率の導入は不可欠

 自民、公明両党は2017年4月に実施予定の消費税率10%への増税と同時に導入する軽減税率で、対象を「酒類、外食を除く飲食料品」とし、税率を8%に据え置くなどとする16年度税制改正大綱を決定した。

 景気の実勢からすれば、消費再増税は延期が望ましいが、実施するならば消費の減少抑制へ痛税感を緩和する軽減税率は不可欠。財源問題のほか線引きで多少の混乱もあるが、実施に向けた準備は丁寧に進めたい。

 インボイスは21年に

 軽減税率の趣旨は、消費税増税による消費の落ち込みを、文字通り軽減し抑制すること。1997年度と2014年度の消費増税とその後の消費減少を主因とした景気低迷の経験からの教訓である。

 その意味で、軽減税率の対象が酒類、外食を除く飲食料品になったことは妥当であろう。消費税は、所得が低い層ほど負担が大きい逆進性の問題があり、その軽減には生活必需品が対象になるのは自明であるからだ。

 これで恩恵を受けるのはむしろ高所得層で低所得層対策にはならないとの指摘がある。確かに飲食料品だけをみればそうだが、高所得層の可処分所得に占める飲食料品の割合は低所得層ほど大きくない。飲食料品以外の標準税率での消費が多いとみるのが妥当であり、高所得層優遇ではない。木を見て森を見ない議論である。

 品目ごとに税率や税額を記載し、納税額を正確に把握するインボイス(税額票)制度は21年4月に導入し、それまでは簡易な経理方式を採用することになった。事務作業が増えるためやむを得ないが、可能な限り早期のインボイス導入に努めたい。

 軽減税率を適用することによって、消費税増税による税収は約1兆円減少する。財源については、これまでの自公の協議で6000億円の見通しがつかず、16年度末までに確保することになった。

 軽減税率の対象だけ決めて、財源問題を先送りしたことに無責任、選挙目当てとの批判もある。だが先述の通り、軽減税率の導入は欠かせない。

 財源は早く決められるに越したことはないが、消費再増税は景気ひいては税収全体に影響する。それだけに、消費税収の用途とされる社会保障費にこだわらず、他の税目も併せて広く考えるべきである。現在検討が伝えられるたばこ税の増額も一案である。

 自公は新聞も軽減税率の対象に含めることにしたが、既に軽減税率を導入している欧州各国では、対象の設定はそれぞれの国柄を反映したものになっている。日本でも単に財源だけでなく、国柄を考慮した対象の検討を望みたい。

 再増税見直しの検討も

 一番の問題は、経済の実勢から17年4月に消費再増税が実施できるかである。

 日銀が発表した全国企業短期経済観測調査によれば、大企業製造業などで景況感は横ばいだったものの、先行きは中国経済の減速を主因に業種や企業規模を問わず軒並み悪化し、不透明感が強く漂うものになっている。再増税実施見直しの検討も必要である。

(12月17日付社説)

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