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懸念深まる景気の先行き

 日銀が発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感が大企業製造業で3期ぶりに悪化し、先行き見通しは非製造業でも悪化と慎重なものになった。

 中国などの景気減速が、国内景気にも悪影響を与えている。4~6月期にマイナス成長になり、牽引(けんいん)役を見いだせない日本経済は、先行きに一段と警戒を要する状況に至ったと認識すべきである。

3カ月後の見通し悪化

 企業の景況感を示す業況判断指数(DI=「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた指標)は、大企業製造業でプラス12となり、前回6月調査を3ポイント下回り3期ぶりに悪化した。

 中国をはじめとする新興国経済の減速などで輸出関連の生産用機械などを中心に企業心理が冷え込んだ。機械関連以外の業種でも、中国の供給過剰で鋼材価格が下落する鉄鋼などが悪化。悪化は16業種のうち11業種に上った。

 一方、大企業非製造業は12業種中8業種で景況感が改善。DIは2ポイント上昇してプラス25と高い水準になった。訪日外国人旅行者が増加し、中国人によるいわゆる「爆買い」などで宿泊・飲食サービスや小売りが好調だったことが主因である。

 問題はそうした好調さが、いつまで続くかである。それは企業も感じているようで、今回の先行き見通しにも表れた。3カ月後の見通しは、大企業製造業がプラス10で2ポイント、大企業非製造業はプラス19で6ポイントの悪化になっている。

 大企業製造業では、海外経済の先行きが不透明な点や、輸出の落ち込みから在庫調整が長引くことに対する懸念も少なくない。大企業非製造業で先行き見通しが大幅悪化となったのは、もともと業況判断DIが高いこともあるが、中国経済の減速などの影響を無視できないからであろう。

 2015年度の設備投資計画は好調な企業収益から、大企業全産業で前年度比10・9%増と前回調査(同9・3%増)より高い伸びになった。しかし、先行き悪化の見通しもあり、そのまま実施されるかは確かでない。前年度(実績は5・9%増)と同様に計画倒れになる可能性も十分ある。

 機械受注をはじめ、最近発表される経済指標はいずれも芳しくない。4~6月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比0・3%減、年率では1・2%減となったが、このままでは7~9月期も2期連続のマイナス成長に陥る恐れも否定できない。

 昨年4月の消費税増税以降、個人消費が低迷を続けることで設備投資も勢いを失い、経済の好循環が途切れたばかりか、逆に悪循環が生じている。そこに不運にも海外経済の減速による負の影響が及んでいる。景気は警戒を要する状況になりつつあり、経済対策の早急の検討が必要である。

補正予算での対応不可欠

 景気てこ入れには実需が伴う補正予算での対応が不可欠だ。円安から輸入物価を押し上げ、食料品など生活必需品の値上げにつながる追加金融緩和は不要であるばかりか逆効果である。

(10月3日付社説)

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