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内需振興策の充実で景気回復図れ

 日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、景況感は大企業と中小企業の非製造業で改善したものの大企業製造業では横ばいと、製造業を中心に足踏み状態にある。3カ月後の先行きはいずれも悪化を予想した。

 円安・原油安による収益改善は業種によりまちまちで、まだら模様の景気回復は依然力強さを欠いている。2017年4月の消費税再増税までに本格的に回復できるか。春闘の高額ベア回答が伝えられるが楽観は禁物である。

消費に力強さ戻らず

 最近の国内総生産(GDP)と同様、今回の短観についても多くの民間調査機関の予測は外れた。大企業製造業の景況感は、円安が自動車などの輸出企業に追い風になるほか、原油安による燃料コストの低下もプラスになるとして、17社中16社が改善を予想していた。

 3カ月後の先行きについても、春闘での賃上げムードが広がり、内需の持ち直し期待から改善するとの見方が多かったが、結果は前述の通り、会社の規模や製造業、非製造業を問わず軒並み悪化の予想である。

 なぜ民間調査機関は予測を外したか。逆に言えば、なぜ企業は慎重姿勢を崩さず、先行きに自信が持てないのか。

 業界別にみると、円安の恩恵が大きい自動車や電気機械でさえ、景況感は横ばいにとどまった。土地投資を含む設備投資は、大企業全産業で14年度(見込み)は前年度比8・2%増と高い水準を維持したが、15年度(計画)は1・2%減である。

 原因として考えられるのは、やはり国内需要、特に消費の弱さであろう。昨年4月の消費税増税から1年が経過したが、依然として消費には力強さが戻らない。増税が消費の勢いを止めた上に、賃上げが円安による物価上昇に追い付かず、実質賃金は19カ月連続でマイナス。相応の国内需要の伸びが見込めなければ、設備投資に積極的になれないのも道理である。

 また、収益が好調な自動車業界などは、熾烈な国際競争にさらされていることもある。輸出や海外生産にも注力したいが、中国や新興国などの経済成長には陰りも見られる。

 非製造業では確かに、円安による訪日外国人の増加を受け、小売り業界などで景況感の改善が見られる。百貨店業界では今春闘で大企業を中心に賃上げの動きが広がっていることへの期待も小さくない。

 景気の本格拡大には、企業の設備投資を促す意味でも消費の回復が不可欠である。賃上げの動きが地方や中小企業にどこまで波及するか注目したい。地方に対しては、14年度補正予算で1589億円規模の「プレミアム商品券」が創設され、1700以上の自治体が予定している。ただ十分な額とは言えず、今後の状況次第では15年度補正での追加など新たな消費刺激策の検討も必要となろう。内需振興に全力を尽くすべきである。

金融政策で柔軟な対応を

 今以上の円安は輸入原材料価格をさらに引き上げ、実質賃金にもデメリットである。日銀には金融政策で柔軟な対応を望みたい。

(4月4日付社説)

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