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【2020年総括】未曾有のイベントで前代未聞の大変化!鎖国状態で情報にタイムラグも?

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■アメリカ流通業界は今年、100年に1度となる新型コロナウイルス感染拡大で勝者と敗者を大きく分けてしまう1年となった。

アメリカは3月、感染拡大していることを受けて国家非常事態を宣言、多くの地域で市民の外出を原則禁止する命令が出された。

これを受け食品スーパーでは買いだめをする客が殺到し、トイレットペーパーなどさまざまな日用品が品薄になった。

その一方で、不要不急(米国では非エッセンシャルビジネス)に分類された小売店やチェーンストアは臨時休業に追い込まれ多くの企業がこれにより倒産を余儀なくされる事態となった。

店に入るのも入店規制で長い行列ができることも珍しくなく、ソーシャルディスタンシングが日常用語になり、入店にはマスク着用の義務という非日常的な習慣がアメリカで拡大することになった。

それでも全米で新型コロナウイルスのまん延が止まらない。コロナ感染者は12月30日現在、累計で2,000万人近くとなり死亡者数は34万人にも上っている。

アメリカ国民(約3.3億人)のうち、1,000人に1人の割合でコロナ感染により亡くなった計算となる。

商業用不動産業界で分析等を行うコスター・グループ(CoStar Group)の調査によると今年、破綻した大手小売店やチェーンストアなどは40社以上を数え、1.1万店の店舗閉鎖が発表されたのだ。

その中にはJCペニーやニーマンマーカス、ロード&テイラーなどが含まれている。

と同時に外出を自粛した消費者がネット通販で買い物を増やしたことでオムニチャネル化が飛躍的に進み、記録的な売上を計上する大手チェーンも相次いだ。

エッセンシャルビジネスとされたスーパーマーケットでもネットスーパーの未曾有な成長を見ることになった。

宅配やカーブサイド・ピックアップのネットスーパーは今年、パンデミックの影響で急成長した。

サンフランシスコで2012年に創業したオンデマンド買物代行&宅配サービスのインスタカートはスタッフ数も爆発的に増え、評価額で100億ドル(約1.1兆円)を突破したデカコーン企業となった。

 デジタルマーケティング調査企業のeマーケッターが行った調査によるとネットスーパーは今年、892.2億ドル(約9.3兆円)市場になるとの試算だ。308.6億ドルとなった昨年から実に53%の伸びとなっている。

小売企業にコンサルティング等を提供しているオラクル・リテール(Oracle Retail)の調査でも今年、ネットスーパーを53%の人が利用したと発表した。コロナ禍が終息しても93%がネットスーパーを利用すると答えており、そのうち74%がネットスーパーでの支出が同じかそれ以上と回答している。

コンタクトレスなネットスーパーがコロナ禍で定着するのだ。

サービスに非接触が求められるようになったことでこれまで雇用を奪うと嫌われていたロボットの活用が目立って増えた。

MFCやCFCのロボット物流の拡大にラストワンマイルの自動運転車宅配やドローン宅配のテスト、店内でもピックアップタワーやサラダやスムージー自販機などがある。

 店舗展開で今年、最も目立ったのは ネット通販最大手のアマゾンだ。大手IT企業がスーパーマーケットを開発し今年後半にかけて5店舗もオープンしたのだ。

アマゾン傘下のホールフーズ・マーケットとは異なり、一般的なスーパーを目指したアマゾン・フレッシュが多店舗展開する目的は、チェーンストア展開によるものではない。

スマートカートを導入した最先端のスーパーは、ピックアップ拠点を増やすオムニチャネル化の推進であり、アマゾンのエコシステムの重要なプラットフォームになるのだ。

他方でアメリカ小売業界の巨人のウォルマートは今年、サブスクリプションサービスを開始した。

ウォルマートの国内店舗数は10月31日現在で5,347店(サムズクラブ含む)で1年前より5店舗少ない。2年連続で店舗数を減らしていることになり、サブスクローンチを含め脱チェーンストアを鮮明にしているのだ。これもパンデミックで加速された動きといえるのだ。

 パンデミックという未曾有のイベントで流通業界は前代未聞の変化の速さを実感した年ともいえる動きとなったのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。2020年はまさに「阪神ファンが巨人ファンになる(もしくはその逆)」を見せられた年になりました。阪神ファンが集まる居酒屋さんで「今から(Jリーグの)浦和レッドダイヤモンズのファンになる」ではダメなんですね。一瞬で阿鼻叫喚のルツボと化す「巨人ファン」を公言しなければならないのです。しかも今年は自己否定の動きをしないと外から矯正されるという事態です。野球ファンでもない、他人事でみると大したことはないのですが、当事者・関係者にとっては大問題となる変節です。来年はさらにこの速度が加速されるということでしょうね。流れに逆らってじっとしていても「いつぞやのはんこ屋」です。流通コンサルティング業界でも同じでしょうね。例えば流通業界に関係するコンサルタントの多くはITに関してスルーできました。一方、世界で最も変化の速いアメリカではスマートフォン・アプリにおける大手チェーンストアの動きは無視できません。いつまでも放置するわけにはいきませんから。
 渡航制限があるためある意味、鎖国状態ですから情報のタイムラグが逆に伸びるかもしれませんね。

 ということで、今年もありがとうございました!みなさん、良いお年をお迎え下さい。


「激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ」より転載
http://blog.livedoor.jp/usretail/

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