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12月日銀短観 景況感改善の鈍さ浮き彫りに

 足元の景況感は製造業、非製造業とも大企業から中小まで改善したが、先行きは新型コロナウイルス感染の再拡大で不透明感が増しており、非製造業では悪化を見込む――。12月の日銀短期経済観測調査(短観)が示す企業の景況感である。

 改善はしたものの、水準は依然マイナス圏でコロナ前には遠く及ばず、改善の鈍さが浮き彫りになっている。感染拡大がさらに深刻になれば、景気回復が頓挫しかねない状況である。

 2期連続の改善も低水準

 企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス10と前回9月調査から17ポイント上昇。大企業非製造業もマイナス5と7ポイント上昇し、いずれも2期連続で改善した。

 大企業製造業は、裾野の広い自動車産業の好調さが鉄鋼や非鉄金属など幅広い業種に波及。大企業非製造業は政府の観光需要喚起策「Go To」キャンペーンの効果もあり、宿泊・飲食や運輸・郵便など、建設を除く全業種で改善がみられた。

 こうした足元の景況感は中小企業でも製造業、非製造業いずれも改善した。ただ、水準はいずれも依然マイナス圏にとどまっており、コロナ前の状況とは程遠い。業種や規模による回復ペースの格差も広がっている。

 懸念されるのは、先行きである。コロナ感染が再拡大し、その防止策として「Go To」の見直しや時短営業などが要請されているからである。製造業では大企業や中小で小幅ながら改善を維持したが、非製造業では全規模で悪化に転じ、特に飲食や宿泊などの割合の多い中小でマイナス20を予想。全規模全産業での先行き見通しは3ポイント悪化のマイナス18となった。

 感染者数が一段と増加したため、28日から1月11日まで「Go To トラベル」の全国一斉一時休止が決まったが、今回の短観の先行き見通しは、最近の感染拡大の影響を十分に織り込んでいないことから、一層の悪化が懸念される。

 それでなくても、短観では20年度の設備投資計画が大企業全産業で前年度比1・2%減(前回調査は1・4%増)に下方修正され、全規模全産業では3・9%減となった。12月調査でのマイナスは、リーマン・ショック後の09年以来11年ぶりである。デジタル分野などのソフトウエア投資額は何とかプラスを維持したが、業績の悪化から不要不急の投資を先送りする傾向が目立っており、経済の回復力を弱める恐れがあると指摘する専門家もいる。

 感染拡大で先行き厳しく

 投資の減速は業績の悪化を通じて雇用にも影響。21年度の新卒採用計画は、全規模全産業で6・1%減、大企業だけでも7・5%減となり、若者の雇用に影を落としているのである。

 政府は閣議決定した20年度第3次補正予算案で、コロナ感染拡大防止策に4・3兆円、コロナ収束後を見据えた経済構造の転換に11・7兆円を計上。21日に閣議決定する21年度予算案と併せてコロナ対策を講じる。「Go To」の全国一斉停止など感染拡大防止と経済の両立をどう実現するか先行き厳しい状況が続くが、景気回復の頓挫は何としても避けたい。

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