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【イケア】IKEAカタログを終了!変化の難しさは「巨人・阪神ファン」から学べる?

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■世界最大手の家具チェーンのイケアは7日、70年近く発行してきた冊子「イケア・カタログ(IKEA catalog)」の制作を終了することを発表した。

消費者の多くがネットを使って買い物するようになり、家具販売でもカタログなどの印刷物の必要性が薄れつつある時代の流れに合わせる。

また無料となる200ページのフルカラー・カタログを終了することでコスト分をオムニチャネル等のIT投資に充てるのだ。

イケアがカタログを最初に発行したのは創業者のインヴァル・カンプラード(Ingvar Kamprad)氏がイケアを創業して8年目となる1951年。当時のカタログは全68ページで28万5,000部が印刷され、スウェーデン南部で配布された。

1998年にはビジネス・オフィス用の家具のみを掲載した特別版で、インターネットで入手可能な最初のカタログ「イケア・アット・オフィス(IKEA at office)」を発行した。

2000年には印刷版とオンライン版を発行し、最盛期となった2016年には32ヶ国語からなる69バージョンが制作され、延べ2億冊のカタログが50以上のマーケットで配布されたのだ。

イケアは数年前からネットで注文してお店でピックアップするボピス等、オムニチャネル化に注力したことからカタログ需要も減少していた。

これによりイケアのオンライン売上高は直近の決算で前年比45%増となり、ホームページ等へのアクセス数も40億件以上を達成している。

また拡張現実(AR:Augmented Reality)を利用した新モバイル・アプリ「イケア・プレイス・アプリ(IKEA Place app)」を導入するなどモバイルなどのネット上での顧客体験を充実させている。

3年前に導入したイケア・プレイス・アプリはAR技術を活用して、部屋の中に実寸大の家具を「設置」できるアプリだ。

使い方は机やソファ、コーヒーテーブルなどイケアのほぼすべての製品が対象となるイケア・プレイス・アプリの使い方はカタログから商品をタップしてスマートフォンを部屋にかざすだけだ。部屋のどこにでもデジタル家具を仮想化して置けるのだ。

なおイケアにはイケア・プレイス・アプリの他に、数年前まで別機能になっていた「イケア・カタログ・アプリ(IKEA Catalog app)」を統合した家具販売でストアアプリの「イケア・ストア・アプリ(IKEA Store app)」がある。

 イケアでは70年に及ぶイケアカタログの歴史を記念した、最後の冊子を2021年の秋に発行する計画がある。

 イケアは世界52カ国に455店舗をもち、アメリカ国内にはニューヨーク・マンハッタンにオムニチャネルで最適化を図った約500坪の小型フォーマット「イケア・プランニング・スタジオ(IKEA Planning Studio)」を含め、52店舗を展開している。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。米国流通視察では変化の重要性をコンサルタントやコーディネーターなどの講師から必ず説かれることになる。米国の流通ITを専門とする後藤は、数年前から逆に変化の重要性を強調する機会を少なくしています。当社のIT&オムニチャネル・ワークショップでは顧客体験を通じたコンサルティングなので、その必要がないからです。顧客の買い物の仕方が日本とは大きく進化しているため、わざわざ強調する必要がないのですね。例えば他のコンサルタントが行う米国研修ではランチでもイン&アウト・バーガーで行列を作ってレジ注文させます。一方、当社の研修ではチックフィレに行く前、参加者全員の注文をモバイル・アプリを介して行い、お店では座っているテーブルのところにまで注文品を運んでもらうのです(「ダイン・イン・モバイル・オーダリング(Dine-In Mobile Ordering)」)。そこで、なぜモバイルオーダーがお店の売上に貢献するのか?さらにどのように工夫すれば売上をさらに上げられるのかをを考えてもらうのですね。

2019年10月9日 – 【流通視察】、ウォルマートで行う最新10のコト!「このままではいけない」意識を育む?

⇒業界団体やコンサルタント主催の研修では、ウォルマート視察も1時間前後を使って売り場を見てもらうだけです。しかし当社ではお店に行く前、ウォルマート・アプリから生鮮品など食品を注文し、同時にテイスティ(Tasty)アプリのショッパブルレシピからも食材を注文します。お店ではカーブサイド・ピックアップを生鮮品を受け取るだけでなく、その場で返品してみたり、店内に入るとピックアップタワーで注文品を実際に受け取ったりするのです。他の研修を受けていた人たちからすれば、ITによる顧客体験の変化に目を丸くするのです。企業トップや経営者からすれば「巨人ファンが阪神ファンになる(もしくはその逆)」ほどの変化を流通の現場で目の当たりにするのです。企業の意思決定者にとって、頭を抱えてしまう現実を突きつけることになるのです。後藤がよく使う「阪神・巨人ファン」は変化の難しさを喩えたものです。コンサルタントが「変化せよ」と言っても長い間、成功体験を通じて感情と深く結びついているコトを変えるのは本当に難しいのです。

⇒見方を変えれば、他人事なら簡単なコトです。自己否定がまさに「言うは易し行うは難し」。自分の価値観や考え方、仕事のやり方、生き方、自分が拠り所にしてきたコトを否定するのは本当に難しいと思います。ただこれをやらなければ生き残れません。他人事としてアメリカ小売業は変われない私達にこれを見せてくれているのです。イケアも70年続いたカタログを終了します。他人事で見れば「ネット時代なんだから紙の印刷物なんて廃れていくのは当たり前じゃん」という考え方もあるかもしれません。しかしこれを作り上げて成功の糧にまで培った本人にとっては「阪神・巨人ファン」です。感情面ではかなり辛いものがあると思います。まさに断腸の思いでしょう。流通業でも専門誌の出版に携わる仕事をしている人たちにとってはイケア・カタログの終了は他人事ではありません。自己否定をしなければならないときが必ずきます。紙の印刷を止めて「全てのコンテンツをネットに移行すればいいじゃん」というものではありませんからね。ビジネスモデルとして成り立たないですし...
 ただ破壊しないかぎり新しく創造できないのも、歴史から学べることでもあります。過去の成功にしがみついていては未来がないことを先人たちが教えてくれます。


「激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ」より転載
http://blog.livedoor.jp/usretail/

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