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経済安保 中国念頭に体制強化を急げ

 中国が軍事・経済両面で影響力を強める中、伝統的安全保障の枠を超え、経済的影響を考慮した「経済安全保障」 の体制強化が急務となっている。

自民が法制定求める

 中国の人民解放軍は世界中の通信ネットワークを通じて、攻撃的なサイバースパイ活動を実施。米国などから情報や技術を窃盗して強化した軍事力を背景に、覇権主義的な膨張路線を露骨に展開している。

 経済安保を重視するトランプ米政権は、安保上の懸念があるとして、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など中国企業の排除に動いた。日本や欧州などにも同様の動きが広がっている。

 こうした情勢を受け、日本政府も外交・安保政策と経済政策に一体的に取り組む経済安保推進の方針を掲げてきた。今年4月には、政府の外交・安保政策の司令塔を担う国家安全保障局(NSS)の「経済班」が約20人体制で始動した。

 さらに外務省は今月、経済や技術、サイバーの分野で外交政策を強化するため「新安全保障課題政策室」を新設。軍事面に応用可能な技術力を高めている中国を念頭に置いた対応だと言える。

 外務省の2021年度予算概算要求では、新型コロナウイルス感染収束後の国際社会を見据え、経済と安保の両面で主導権確保を目指す菅政権の狙いが明確になった。

 具体的には、途上国のサイバー能力構築を支援する「サイバー信託基金」を創設。人工知能(AI)ロボット兵器や宇宙開発などの分野で、国際ルールの策定と普及に関与していく。安保分野では、安倍前政権が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想を継承。同盟国の米国に加え、価値観を共有して「同志国」と位置付ける英国やフランスなどの欧州諸国、オーストラリア、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)などとの対話を進める。こうした外交推進のため、関連経費1857億円を計上した。

 自民党の新国際秩序創造戦略本部は9月、経済安保に関する国家戦略の確立に向け、議論の「中間取りまとめ」を策定。民間を含めた社会全体で取り組むために「経済安全保障一括推進法(仮称)」の制定を求めた。

 中間取りまとめは、中国を念頭に「デジタル監視型・国家資本主義型の新たな国際秩序が伸長しつつある」と指摘した上で「わが国としての経済安保戦略の策定が必要だ」と強調した。政府と与党が連携して戦略を構築すべきだ。

 NSSの経済班は現在、 日本のどの企業がどのような技術を持っているかを調査している。各国との情報交換や各省庁の調整を進め、日本の経済安保のチェック機能を働かせる必要がある。経済スパイを取り締まる「経済安保取締局」の新設は現行法でも可能とされる。

国益守り存在感を高めよ

 菅政権は経済安保の観点からわが国の国益を守り抜かねばならない。それと共に、コロナ後の厳しい競争環境の中での国際秩序構築を見据え、日本の存在感を高める取り組みを進めるべきだ。

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