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9月日銀短観 悪化歯止めも回復に鈍さ

 新型コロナウイルス禍による景況感の悪化に歯止めはかかったが、回復のペースは鈍く、ばらつきが目立つ――9月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)が示す企業の現状である。

 経済活動再開で最悪の状況は脱したが、感染拡大の収束が依然見通せず、先行きは不透明だ。資金繰り支援や消費喚起など政府・日銀はきめ細かな政策対応を続けることが重要である。

自粛ムード一掃は困難

 企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でマイナス27と、前回6月調査から7ポイント上昇した。2年9カ月ぶりの改善で、コロナ禍による景況感の悪化にひとまずは歯止めがかかった。同非製造業もマイナス12と5ポイント改善した。

 国内外での経済活動の再開により、自動車などで輸出や生産が回復。非製造業では政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」などが寄与して、宿泊や飲食がようやく持ち直しの気配を見せている。

 しかし、リーマン・ショック以来の低水準から持ち直したとはいえ、大企業製造業は3期連続、同非製造業も2期連続で大幅なマイナスに沈んでおり、回復ペースは緩慢で規模・業種にばらつきも見られる。ワクチンや治療薬が開発されていない状況では、国民の自粛ムードを一掃するのが難しいからである。

 先行きについても、予断を許さない。大企業製造業はマイナス17と回復ペースはやや加速する見込みだが、同非製造業は1ポイントの改善にとどまり、中小企業非製造業では逆に5ポイントの悪化を見込む。これまで好調だった「巣ごもり需要」やテレワーク需要の一巡を見越して、小売りや情報サービスで先行き懸念が強まっているからである。

 さらに気になるのは設備投資である。先行きの不透明感から大企業は慎重で、2020年度の設備投資計画は全産業で前年度比1・4%増と、前回調査(3・2%増)から下方修正された。そうした姿勢は中小企業にも波及しており、全規模全産業のそれは同2・7%減と、9月調査時点で10年ぶりに前年度を下回るなど回復にブレーキとなりそうな情勢なのである。

 企業の慎重姿勢は雇用に関する指数にも表れ、大企業、中小企業の全産業とも人手の過剰感を示す指数が1ポイントずつ上昇しており、雇用環境悪化への懸念もくすぶる。

 企業の慎重姿勢を裏付けるのが、経常利益見通しの悪化である。大企業製造業で20年度は前年度比27・6%減、非製造業でも同15・3%減、中小企業では製造業、非製造業ともそれぞれ同47・5%減、同45・4%減とほぼ半減の見込み。全産業でも同28・5%減と前回調査より厳しい予想なのである。

きめ細かな政策対応を

 ただ、そうした厳しい環境の中で支えになっているとみられるのが、金融機関の貸出態度判断で、中小企業でも20ポイントと融資を受けやすい状況にあることである。当面は感染対策と併用して資金繰り支援を継続すべきだということである。「Go To」などの需要喚起策とともに雇用調整助成金や持続化給付金の拡充など当局としてきめ細かな政策対応が求められる。

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