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かんぽ不正販売 全容解明と被害者救済を急げ

 かんぽ生命保険の不正販売問題で、不利益を受けた疑いのある顧客が新たに約6万人判明した。契約数は約22万件に上る。

 問題の根深さに唖然とさせられる。日本郵政グループは全容解明と被害者救済を急がなければならない。

高齢者狙い新規件数稼ぐ

 今回の事例は、保険を10件以上契約し、そのうち3割以上が解約や失効で消滅した「多数契約」や、65歳以上で月額保険料を10万円以上支払っている「多額契約」、被保険者を短期間で繰り返し変更する「被保険者変更」(ヒホガエ)などだ。

 いずれも主に金融知識の乏しい高齢者を狙い、複数の保険を販売して新規契約件数を稼いでいたようだ。契約者は高額の保険料支払いを迫られたり、解約の際の返戻金が既に払い込んだ保険料を下回ったりするなどの不利益を受けた。

 多数契約では、1人で累計122件もの保険に加入していたケースもある。多額契約では、月額保険料の平均が約19万円、最高額は148万円に上る。

 顧客に損害を与えてでも営業実績を上げようとする姿勢が、改めて浮き彫りになったと言えよう。悪質な手法が次々と明らかになる事態には、開いた口がふさがらない。

 追加調査のうち、過去5年間で15件以上の保険に加入した約900人については2月中に訪問調査を終わらせる。顧客の不利益解消を急ぐべきだ。

 郵政グループは昨年8月から乗り換え契約時に保険料を二重徴収するなど約18万3000件(顧客数15万4000人)に上る不適切な契約を調査。これまでに法令や社内規定に違反した疑いのある契約が1万3215件発見された。このうち4割近くは販売員への調査を終え、1412件を法令・社内規定違反と認定している。

 ただ、不正販売をめぐる調査が後手に回ってきたことは否めない。昨年6月にこの問題が報道された際、日本郵政の長門正貢社長(当時)は違法性を否定したが、総務省などの要求で調査を開始し、不正を認めた経緯がある。

 新たな事例が明らかになったのも、今年1月6日に就任した増田寛也社長が調査対象を見直したためだ。増田氏は「(対応の遅れは)組織の問題が凝縮されている」と述べた。

 金融庁は昨年末、かんぽ生命と日本郵便の2社に初の一部業務停止命令を発動した。業務停止3カ月の厳しい処分は、一連の不正が全国に広がっていた実態を踏まえたものだ。

 郵便局の現場では、顧客に不利益を与える契約で成績を上げた営業マンを優秀者として表彰してきた。背景には、新規契約獲得に偏った手当体系や達成困難な営業目標があった。増田氏には、こうした企業体質の改善が求められる。

まずはうみを出し切れ

 今回22万件を調査対象に加えたため、契約者への確認作業は6月末までかかる見通しだ。業務停止命令は3月末までだが、増田氏は保険販売の再開について明言を避けた。

 まずは、不正の全容を解明してうみを出し切らなければならない。

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