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国内景気 先行き懸念一段と強まる

 世界景気の減速から日本経済は停滞し、10~12月期は消費税増税の影響が加わりマイナス成長へ――。内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、改めて日本経済の弱さを浮き彫りにし、今後に強い懸念を示すものとなった。

 政府が検討する経済対策では、台風など被害を受けた被災地の復旧が第一だが、増税によるダメージを最小限に食い止めるためにも重要である。実のある対策づくりを期待したい。

増税前から消費心理萎縮

 7~9月期は増税前の期間である。増税により消費の低迷が長引いた過去の経験から、今回はポイント還元策の他、食料品など一部で税率を据え置く軽減税率を初めて導入して景気腰折れ対策に努めている。増税前の駆け込み需要と実施後の反動減を抑える景気平準化策である。

 こうした対策もあってか、7~9月期の個人消費は前期比0・4%増と、駆け込み需要は前回(14年4月)ほどではなかった。ただ、駆け込み消費が盛り上がった14年1~3月期の伸び率(2・0%増)との開きが大きく、増税前から消費マインドは萎縮していたとみるのが適当であろう。消費の基調自体が弱いということである。

 7~9月期GDPは、実質前期比0・1%増と辛うじてプラス成長を維持した。長引く米中貿易摩擦から世界経済が減速傾向を強めているため、外需が輸出、輸入とも冴えない中、弱いとはいえ消費の一定の駆け込み需要に支えられた形である。

 しかし、今後は消費の基調的な弱さに加え、一定の反動減が待ち構えており、既に経済産業省の商業統計には顕在化してきている。世界経済も相変わらず不透明で厳しい。長引く米中貿易摩擦や混沌を極める英国の欧州連合(EU)離脱問題、中国経済の減速、さらに日韓関係悪化による訪日外国人消費の減少など外需に明るさは見えない。

 10~12月期はマイナス成長になるというのが大方の見方で、間違いあるまい。本紙が以前から指摘し、懸念してきた通りであるが、今回明らかになった(一定の駆け込み需要があったにもかかわらず0・4%増にとどまった)消費の実勢の弱さには一段の先行き懸念を深めるざるを得ない。

 政府は甚大な被害をもたらした台風19号をはじめ大型自然災害の復旧・復興を柱にした新たな経済対策づくりの検討に入った。当面は予備費で対応しているが、それだけでとても賄えるものではなく、対策の検討は当然である。政府は19年度補正予算と20年度当初予算を「15カ月予算」として一体的に編成する方針で、総額は5兆円規模に上る見込みである。

実効性ある景気対策を

 新たな対策には経済の下振れリスクへの対処も含まれる。前述した海外経済の不透明感や増税の悪影響に万全を期すためである。景気対策を含めることについては、既に19年度当初予算で対処しており異論もあるが、今回明らかになった景気の弱さを想起すれば、増税の影響が長期化しかねないだけに賢明な対処と言える。あとはどれだけ実効性のある中身を打ち出せるかである。

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