【モバイルオーダー】レジ待ち時間の減少だけでない!スマホで注文は景気を拡大する?
■スマートフォンからの事前注文に対応するスターバックスの新業態「スターバックス・ピックアップ(Starbucks Pickup)」が5日、ニューヨーク・マンハッタンのペンシルバニア・プラザにオープンした。
スターバックス・ピックアップはバリスタがコーヒーを淹れる厨房を含めても1,000平方フィート(約30坪)しかない。
当初はモバイルオーダー&ペイのみの対応としていたが、全米で拡大しつつある「キャッシュレス禁止」やウォークイン客が混乱しないようにレジ対応も行っている。
レジ上にあるメニューボードやクロワッサン等のペイストリーを入れたショーケースなどは置かれない。一方、調理の進捗を表示するデジタル・ステータス・ボードは導入する。
スターバックスのモバイルオーダーをフューチャーした新業態はボストンやシカゴ、ロサンゼルスにも出店が計画されている。
47州に約2,400店を展開するチキン・サンドウィッチ・チェーンのチックフィレは先月、モバイルオーダーしたメニューをテーブルに運ぶサービスを開始した。
チックフィレの「ダイン・イン・モバイル・オーダリング(Dine-In Mobile Ordering)」は専用アプリの「チックフィレ・ワン(Chick-Fil-A One)」からメニューを事前注文し、店舗内のテーブルにある番号でテーブルサービスを行う。
注文の仕方はアプリを起動後、モバイルオーダーを行い、受け取りオプションにある「ダイン・イン(dine-in)」を選択。店に到着したらスマートフォンでテーブルにある番号札を軽くタッチする。専用アプリがテーブル番号を認識して、事前注文した料理がテーブルに運ばれてくる仕組みだ。
モバイルオーダーはスターバックスやチックフィレの他、マクドナルドなどのファストフード等や3大宅配ピザチェーン(ドミノピザ、ピザハット、パパジョンズ)大手の外食チェーンが導入している。またディズニーやユニバーサル・スタジオなどのテーマパーク内のレストランに拡大している。
大手映画館チェーンの売店にも導入され、最近ではNBA(プロバスケットボールリーグ)、MLB(メジャーリーグベースボール)、MLS(メジャーリーグサッカー)などのスポーツ観戦のアリーナやスタジアムでも続々とスマートフォンによる事前注文を採用している。
先に全店に導入を済ませている外食チェーンでは売上の一部がモバイルオーダー経由になっている。例えばスターバックスではすでに16%がモバイルからの注文となり、チックフィレも約20%がモバイルアプリからの注文だ。
アメリカでのモバイルオーダーの急拡大を日本ではその背景をレジ待ち時間の短縮だと指摘する人が多い。
確かにスマートフォンからの事前注文はレジ待ち行列を緩和し、注文の聞き取りミスや勘違いによるヒューマンエラーを回避できる。
その結果、クレームが減少し顧客ロイヤリティが高まる。スタッフもより調理に集中できることで、店内オペレーションの合理化も図れるメリットがある。
最大のメリットは客単価の上昇なのだ。
これはモバイルオーダーを使ってみるまでは分からない。なぜなら注文のボトルネックが明確になるからだ。注文のボトルネックとは他者を慮ることを意味する。
他者に迷惑になると、カスタマイズな細かい注文がこれまでできなかった。
しかしモバイルオーダーでボトルネックを意識することなくカスタマイズ注文が可能となる。
つまり店側はトッピングやサイドメニューなどの有料のアドオン・オプションを増やしておくだけで客単価が上がることを意味するのだ。
モバイルオーダーは単にレジ待ち時間を減少させるだけではない。客単価の上昇に比例して売上が伸び、ひいては景気を拡大することになる。
景気を拡大するモバイルオーダーは税収の増加を意味する。小さな飲食店でもモバイルオーダーを導入できるように政府は直ちに策を練るべきなのだ。
トップ画像:当社のIT&オムニチャネルワークショップでモバイルオーダーする参加者。モバイル体験によって、モバイルオーダーでなぜ客単価が上昇するのか腹に落ちることになる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本人は他の国の人に比べて他者目線を凄く気にしていると思います。「他人に迷惑をかけてはいけない」と強く教え込まれている人も少なくなく、飲食の注文など普段の何気ない行為でも、その影響が伺えます。自分の好きなようにアレンジせず、既存のメニューからの注文で済ませてしまうのはよくあること。これがモバイルオーダーになると変わります。モバイルによる事前注文ではどんなに時間をかけようが他者に迷惑をかけることはありません。おっとりした人も自分のペースでじっくりカスタマイズできるのです。店はカスタマイズによる有料の選択肢を増やせば客単価が伸びることを直に知ることになります。米国では外食チェーンだけでなく多くの業界がモバイルオーダーを拡大するには打算的な理由があるのです。例えばラーメン屋でも「チャーシュー増量(3枚)」のところを「チャーシュー1枚50円」のオプションをもたせるのです。増量まではいらないけど1枚多めの客は必ずいますから。
景気を拡大させて税収を上げたい議員の皆さんもアメリカでモバイルオーダーしてみることをススメます。
「激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ」より転載
http://blog.livedoor.jp/usretail/
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