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増税まで10日、強まる景気後退入りの懸念

 消費税増税まであと10日。政府が経済対策として実施するポイント還元や軽減税率の線引きの複雑さが課題だが、実施する以上は消費者の負担軽減策が不可欠であり、関係業界・各店の一段の努力を望みたい。

 国内景気が振るわず、世界経済も減速化の傾向を強める中での増税実施に懸念は尽きない。想定外、想定以上の事態への対処など政府は覚悟を持って臨む必要がある。

 ポイント還元は9カ月間

 増税実施が間近となり、流通・小売り・外食業界などの対応がほぼ定まってきた。関係業界、各店が対応に頭を痛めたのは、政府が経済対策とともにキャッシュレス決済普及のために行うポイント還元と、今回初めて導入する軽減税率である。

 ポイント還元は中小の飲食店や小売店が対象で、キャッシャレス決済を利用すると支払額の最大5%がポイントとして還元される。

 ただ、制度の対象外になっている大手小売店や外食が、独自のポイント還元やセールなどを実施して実質的な値下げに踏み切る見通しで、消費者に混乱を与える状況になっている。

 軽減税率でも対象品目の線引きと、ファストフード店やファミリーレストランなどで店内飲食か持ち帰りかで税率が異なるといった複雑さや煩わしさが課題になっていた。

 もっとも、こうした対応は増税を実施する以上、経済へのダメージを緩和するために(中身はともかく)欠かせない措置である。関係者の努力を期待するとともに、政府は対応が円滑に進むようきめ細かい支援を最後まで進めてもらいたい。

 懸念はもちろん、ある。前述の対応上の問題以上に、やはり日本経済への悪影響と実施時期の悪さである。

 経済への悪影響については、これまでも何度か言及してきた。今回は確かに政府は前回(2014年4月)の苦い経験を踏まえ、経済対策と軽減税率を導入して備え、予想以上の事態にはさらなる対策を施すと首相は明言している。

 当然の対応である。経済を傷めて景気をさらに悪化させれば、所得税や法人税の減収を招き、全体の税収が逆に減少するという事態に陥らないとも限らないからである。

 経済対策については、ポイント還元は対象がクレジット払いなどに限られ、しかも20年6月までの9カ月で終了するため、消費の低迷防止にどれほどの効果を挙げるか。また、幼児教育無償化などに充てられる対策も、所得の伸び悩みや将来不安からかなりの部分が貯蓄に回ることも予想される。増税の負担が網羅的で半永久的に続くのに対して、対策は一時的で効果も半端にとどまる恐れがある。

 実施時期の悪さも問題

 実施時期の悪さは言うまでもない。国内経済が景気の牽引(けんいん)役を失くしつつある中、世界経済が減速感を強めて、各国中銀が利下げに動き、ドイツでは財政出動が焦点になろうとしている時である。五輪需要がなくなり、ポイント還元が終了する来年7月以降、増税が景気後退入りの引き金になっている恐れがあることを懸念している。

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